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アリィ「キールさんに色々聞けって言われたけど…」
ジーク「そもそもキールさんとコフリーさんって、休んでる所見たことないよな。」
アリィ「門番って重要なお仕事だもんね。ご飯も片方ずつ食べてるみたいだし…。…あの二人以外の門番見たことないかも…。」
ジーク「まぁ行ってみるしかないよな。」
コフリー「キール?悪いが昼飯を食べに行ってて…」
アリィ「あちゃあ…。」
ジーク「ダメだったかぁ…。」
コフリー「キールじゃないとダメか?俺も結構答えられると、思うが…」
アリィ「んー…アマラさんにキール、って名指しされてるんだよね。」
ジーク「…なぁそれってアマラがコフリーがどういう経緯で仲間になったかが分からないからなんじゃないか?」
アリィ「ああー。」
コフリー「それは確かにあるだろうな。とりあえず内容だけ聞いてみても?」
アリィ「えっとね。」
アリィはコフリーに近づき耳打ちをする。
アリィ「…どうして恒夜の国じゃなくて永夜の国の情報なの?」
コフリー「なるほどな。…事情が複雑なんだが…ここで話すのは良くないな。」
そう言うとコフリーは少し考える。
コフリー「持ち場を離れる訳には行かないが…もう少しでキールが帰ってくるから、少しここで待っていてくれ。来たら話す。」
ジーク「それならキール本人でもいい気が…」
コフリー「いや…キールは…あまり自由に動けない立場なんだ。」
ジーク「…?」
キール「ただいま。」
キールは帰ってくるなり、紙袋をコフリーに渡す。
コフリー「なんだこれ?」
キール「お土産。食べきれないからもらって下さい。オマケで貰っちゃって。」
コフリー「でもお前のとこ育ち盛り多いだろ?」
キール「…昨日楽しくなって馬鹿みたいな量のカレー作ったから絶対先に腐りますよ…。」
アリィ「嘘そんなことある?」
ジーク「趣味なんだろう。」
キール「お二方。さっきぶりですね。どうしました?」
質問攻めの止まらないキールをコフリーは一声で止める。
コフリー「キール。」
キール「はい。」
コフリー「こいつらが今日のカレーの具材を聞きたいってさ。」
アリィ「え?」
キール「あぁなるほど。最近は色々物が高いのでね。肉なしの野菜カレーです。」
コフリー「いいね。美味そうだ。少し外周の方を見回りしてくる。君達も手伝ってくれ。」
キール「いってらっしゃ〜い。」
アリィ達は何がなんだか分からないまま、コフリーにグイグイと背中を押され門の外、国外に出る。
ジーク「…腹減ったな。」
アリィ「…軽食しか食べてないもんね。後でカレーがある店に行って食べようか。」
コフリー「食欲に忠実だな。いいことだ。」
ジーク「…そうか?」
コフリー「あぁ。我慢し続ければいつか我慢してるってことさえ気づかなくなるからね。幸せ者ってことだ。」
アリィ「さっきのカレーの話なんだったの?急に…」
コフリー「暗号だよ。あそこで堂々と言うわけには行かないからな。見回りってのは都合のいい嘘だ。まぁでも完璧な嘘をつくには少しだけ真実を混ぜた方がいいからな。歩いてもらうことには変わりない。」
アリィ&ジーク「げえっ!」
ジーク「結構歩いてきたし、そろそろいいんじゃないか?」
コフリー「そうだな。君達が聞きたいのは俺が渡した設計図のことで間違いないな?」
アリィ「うん。解決すべきなのは恒陽の国だと思うんだけど…どうしてわざわざ永夜の国の設計図を?」
コフリー「設計者が同じなんだ。物もほとんど一緒。永夜の国は、恒陽の国の技術を流用して出来上がったんだ。機密情報だからうっかり口に出すなよ?」
アリィ「なるほど…。」
(なにか…違和感がある…夜を嫌っている王様が、わざわざそんなことをするとは思えない…。設計者も同じなら…こうなることは分かってたはずだし…機密にしたりする…?)
アリィはジークの方を見る。ジークはなにか考え込んでいる様子だ。
アリィ(同じことを考えてるみたい…。)
コフリー「下手に壊して大変なことになったら嫌だからな。細かいところは違うが、停止できるボタンの位置は一緒なんだ。だからそれが知りたかったってことだ。恐らく君達は恒陽の国に潜入して、装置を停止させることになると思うからしっかり読み込んどけ。」
ジーク「そりゃ大役だな。」
アマラ「あ。」
アリィ&ジーク「あ。」
アマラ「見当たらないと思ったら…」
アリィ「えへへ…お腹すいちゃって…」
ジーク「どうしても先に腹ごしらえがしたくて…」
アマラ「それなら仕方ないか。育ち盛りみたいだしな。しっかし…アタシってあんた達と嗜好が一緒なのかね?食事屋で会うことが多い気がするな。」
アリィ「何が好きなの?」
アマラ「見た目に似合わないってよく言われちまうけど…甘いデザート系とか。」
そう言うとアマラは味を思い出してるのか、口から舌を出す。
アリィ「私と一緒だ。ジークも好きだったよね?」
ジーク「へ?えっあっ、ごめん聞いてなかった。」
アリィ「…もしかしてさっきの話のこと?」
ジーク「いやまぁ…それもあるんだけど…アリィって辛いのも好きだから…むしろ苦手な食べ物あるのかなって。」
アリィ「メトゥニキスは無理。」
ジーク「なにそれ知らん…怖…。」
アマラ「メトゥニキスは知らんがほんとに好みが一緒みたいだな。そんな偶然もあるんだなぁ。あ、さっきの話…って言ってたけどもう聞いたのか?」
アリィ「あ、うん。コフリーから。」
アマラ「…意外とアイツ深くまで知ってるんだな…。それじゃお前らがこれからどこに行くかも分かったか?」
アリィ「うん。」
ジーク「…なあその事なんだけど。」
ジークが片手を上げる。
アマラ「どうした?」
ジーク「…1番厳重な場所に行かなきゃ行けないんだろ?それなら危険も多い。俺一人で行かせてくれないか?」
アマラ「…理由を聞いても?」
アリィ「ジーク、私これくらいなら…」
ジーク「無茶だ。アリィは少し前に悪魔から大怪我を負わされてる。身軽に動けないんだ。約束を破棄するなんてことはしないが…俺一人じゃダメか?」
アマラ「…アリィはどう思ってるんだ?」
アリィ「えっと…そりゃジークのことなら何でも手伝ってあげたいよ。…でもあくまで気合いだけ。自分の体が無茶出来るほど回復してないのも、私はその時になったら必ず無理するのも…分かってる。だからジークがダメって言うのも…。」
アマラ「手伝いたいか手伝いたくないでいえば?」
アリィ「…手伝いたい。」
アマラ「ジークは?手伝って欲しくないのか、手伝って欲しいのか。」
ジーク「…そりゃ元気な時なら手伝ってもらいたいけど…今は体が…」
アマラ「アリィは手伝いたい。ジークも手伝って欲しい。なら簡単じゃないか。」
ジーク「話聞いてたか?」
アマラ「要はアリィが無茶するような状況を作らなければいいんだろ?私がサポートにつく。計画も一から練り直す。」
アリィ「い、いやそこまでしてもらうのは…」
ジーク「流石にそこまでする必要は…俺はアリィが出ないのであればそれで…」
アマラ「これはな。アタシ一人じゃ完遂できないんだ。なんせ、このナリだが私はそこまで戦えるわけじゃない。王国を敵になんてしたら、それこそ速攻お陀仏だ。」
アリィ「そうなの!?」
アマラ「ああ。驚いただろ?得意分野は人心掌握なんだ。」
ジーク「ほ、ほんとか…?」
アマラ「なんで嘘つく必要があるんだ。ほんとだ。」
アリィ「でも、私達そこまで強いわけじゃ…キール達の方が強いまであるよ?」
アマラ「そうだな。単純な強さなら間違いなくキール達の方が強いだろうな。なんせ国を守る立場だ。」
アマラ「…悪魔って強いよな。」
アリィ「?うん。」
アマラ「単純に力の差じゃ勝てない。でも、この世界には悪魔を倒したことがあるヒトが何人もいる。それはどうしてか、つまりはここだ。」
そう言ってアマラは、自分の頭に人差し指を指す。
ジーク「頭?」
アマラ「お前達相当な場数を踏んでるだろ?」
アリィとジークは顔を見合わせる。
アマラ「まず第一に、私の殺気に怖気付かなかった。鈍感ってのは無理がある。…お前達、あの時アタシに威圧したな?まるでアタシの殺気をも食らっちまって養分にしちまうみたいに。これでも結構実力ある所に属しててね。アタシは目利きがいいんだ。お前達が何者なのかは気になるが…今はそれが本題じゃない。次に適応力だ。即座に話を合わせられる。とっさの応用が出来る。それがお前達に頼む理由だ。コフリーやキールは戦闘に慣れてはいる。それは否定しない。でもあくまはそれで一つの環境に限られている。王家ともなると一筋縄じゃいかないだろうからな。後コフリーはともかく、キールには同時刻別件で動いてもらう予定だからな。納得出来たか?」
ジーク「…でもアリィまでやらせる理由には」
アマラ「あんたらが本領発揮をするにはいつもと同じ条件にできる限りする必要がある。調子が狂っちまったら困るんだ。あんたらに全力でいってもらいたい。」
アリィ「ジーク。」
アリィはジークをじっと見つめる。
ジーク「…はぁ、分かった。でもアリィは何かあれば自分を最優先にしてくれ。」
アリィ「うん。」
アマラ「それじゃ作戦を練り直さなきゃな。」
ジーク「…なぁ凄い堂々と話してるけどいいのか?」
アマラ「あぁそれなら心配ない。この食堂は買収済みだからな。」
アリィ「どれだけお金持ちなんだろこの人…。」
ジーク「人心掌握が特技って言ってたけど…まさか他人から巻き上げてるんじゃ…」
アマラ「?なんで急に離れたんだ?」