🖤💚　自己犠牲からの脱却

翌日、岩本くんに呼び出された。

殴られる事を覚悟してたけど、そうじゃなかった。

💛「阿部に会いに行ったって？」

🖤「はい、すいません」

💛「阿部の気持ち考えろって言ったよな？」

🖤「はい。…傷つけたと思います」

岩本くんがため息をつく。

そして『話していいって言ってたから言うけど』と前置きして、落ち着いた口調で話し始めた。

💛「夜、阿部から連絡あったよ。目黒が来たって、多分痕も見られたって」

🖤「はい」

💛「お前には見られたくなかったって」

🖤「えぇと…」

💛「落ち着いたら自分でお前にちゃんと話すから、それまでは待ってて欲しいって」

🖤「えっ」

それって、それって。

心臓が早く打ち、顔は燃えるように熱くなり、叱られるのを覚悟して無意識に握りしめていた手は汗で濡れている。

🖤「返事聞かせてくれるって事ですかね」

頭がぐちゃぐちゃになった末に絞り出した一言。

岩本くんが真顔というか、お地蔵さんみたいな顔になる。

💛「お前さぁ…」

🖤「あっ、えっと、そうですよね、すいません……」

結局、大したお咎めはなく終わった。

メンバーも誰もこの事は知らないみたいだ。

阿部ちゃんが『めめ、時間ある？』と声をかけて来たのは、それから2日後。

ちょうど練習に復帰したその日の事だった。