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#佐久古
レタスが、取れたっす
240
#かくさんきぼー
アテンション!!
作者はユースメンバー同士の呼び方がそんなに分かっていません!
前回、夢主の跳べる最高難易度のジャンプを「四回転サルコウ」と書いてしまいましたが、本当の設定は「四回転トウループ」でした!自分で読み返してから気づいて急いで訂正しました……。
ここでは「味の素ナショナルトレーニングセンターにスケートリンクがある」という設定になってますが、現実にそんなものはありません!完全な捏造です!
古森元也のキャラが色々と崩壊してます!
誤字脱字についてはコメント欄で優しく教えて頂けると嬉しいです!
Side:古森 元也
バレーボールの全日本ユース合宿が開催されている、味の素ナショナルトレーニングセンター。通称NTC。
ここは、全国から合宿に招集されたメンバーや、他競技のトップ選手達が集まる場所だ。
正直言って、普段の練習の比じゃないくらい体力を使う。
おまけに、会ったこともない初対面のメンバーと合わせるのだから、気力だって削がれるものは削がれる。
午前中の練習が終わり、昼食の為、俺と聖臣は食堂に来ていた。
きちんと栄養管理がされた、美味しくてボリュームのある食事。
食堂のテーブルには、他に稲荷崎の宮侑や鴎台の星海、烏野(っていう高校らしい。練習中に聞いた)の影山もいる。
まぁ、お昼時だから当然っちゃ当然な訳なんだけど。
テーブルにトレーを運んで、椅子に座ろうとした時。
「えっ、カナリアちゃんやん!?なんでここ居るん!?カナダちゃうかったん!?」
宮のデカすぎるくらいデカい声に、食堂の全員がそちらを向いた。
そこで宮と一緒にいる少女の顔を見た瞬間。
………っ、え……?
なんだろう、これ。
心臓が凄く痛くて、目の前のその子だけがやけにキラキラして見える。
そこにいたのは、俺と同い年ぐらいの女の子。
肌は白くて、目は潤んだ琥珀色。
茶色がかった柔らかそうな黒髪に整った顔立ち。
ちょっと力を入れただけで折れそうなほど華奢で細くて小さくて、守ってあげたくなる体躯。
黒いレギンスの上にバレエのレオタードのような薄い生地のスカートを履いて、その上からジャージを着ている。
………あ、これ、ダメだ。
一目惚れとか、迷信だと思ってたのに。
なんなら、恋とかそういうこと自体、そこまで興味がなかったはずなのに。
話したこともない少女に、どうしようもないほど惹かれている自分がいた。
一目惚れ。 しかも初恋。
自分と縁がなかった言葉がこんなにもしっくりくる感覚も中々あったもんじゃない。
「侑くん、声大きいよ。皆びっくりしてるじゃん。もうすぐNHK杯だから、早入りしてこっちで練習してたの」
小鳥が囀るような、高くて綺麗な声。鈴を転がすような声って、こういう声のことを言うんだと思う。
「その子、宮の知り合い?」
意を決して俺は宮と彼女に話しかけた。
果たして、俺の顔は赤くなっていないだろうか。声が裏返ったりしていないだろうか。内心不安でしかない。
「あぁ、元也くん。紹介するな。この子、金本莉愛。フィギュアの選手でな、昔から関西圏のイベントとかでよう会っとる知り合いやねん。金本莉愛やからカナリアちゃんって呼んどるんよ」
「それ、侑くんが勝手に呼んでるだけでしょ?まぁ、別にいいけど」
クスクス楽しそうに笑うその子は、フィギュアスケートの選手らしい。
「はじめまして、金本莉愛です」
ちょっと恥ずかしそうにはにかむ莉愛ちゃんは、やっぱりものすごく可愛かった。
「あ、うん!俺は古森元也、こっちは従弟の佐久早。よろしくね。莉愛ちゃんって呼んでいい?」
「うん。よろしくね、古森くん」
古森くん。
……何その可愛い響き。何なの?可愛い。
顔が緩みそうになるのを頑張って抑えた俺を誰か褒めてほしい。
俺の耳が真っ赤に染まっているのを見た宮がニヤニヤしているのが見える。恥ずかしい事この上ないが、ここで何か言って莉愛ちゃんに変な奴だと思われたくない俺は、言わずもがな無視を決め込んだ。
「ここ、座ってもいい?」
「あっ、うん!どうぞ!」
莉愛ちゃんは俺の隣の席に自分のトレーを置き、椅子に腰掛ける。
………ん?
「ねぇ、莉愛ちゃん。お昼ご飯それで足りるの?」
莉愛ちゃんのトレーに乗っていたのは、海老が乗った春雨サラダ。
……何の料理なんだろう。っていうか、こんなのあったんだ。
それに小さめのスープとヨーグルト。
アスリートの食事としては質素で、量も少なめだった。近くに座っている影山や星海も莉愛ちゃんのトレーを凝視している。
いや、俺や聖臣とかのバレーやってる奴の食べる量が多いだけなのかもしれないけど。
「心配してくれてありがとう。私はこれで足りるから平気だよ。食べ過ぎるとジャンプの軸が狂っちゃうから」
「そっか。ごめん、余計なお世話だったよね?」
「ううん。侑くんと初めて一緒にご飯行った時の方が大変だったんだよ。『もっと食わなあかんで!?』って大騒ぎされて」
ものすごく想像がつくよ、その光景。
「悪かったと思っとるから許してや……」
「一応反省はしてるんだ」
「カナリアちゃん、怒るとめっちゃ怖いねん………」
顔を青くしてブルブル震える宮。
「それは怒らせた宮が悪いんじゃ……」
「そんなもんやない!あれは鬼や!人間の形したバケモンの類や!」
そこまでなの?
宮は一体何をやらかしたのだろうか。
「侑くん?」
「すんません!」
今にも土下座をしそうな勢いで頭を下げる宮。
……なんというか、生態系の序列を垣間見たような気がする。
俺達は昼食を食べ進めながら会話を続ける。
莉愛ちゃんは、スケートの為にカナダに留学しているらしい。日本での試合に出る時にこっちに帰ってきているそうだ。
「午後からの練習なんやったっけ?」
宮の言葉に、俺は午後からの練習メニューを思い出す。
「確か、ポジション変えての試合形式だったと思うけど……」
「へぇ、そういうのもやるんだ……」
「カナリアちゃんは?午後から何するん?」
「私はこのあと氷上練習。今日は六時ぐらいまでかな」
「夕方には終わるんだね」
「うん」
思ったより早いんだ、と思った次の瞬間。莉愛ちゃんの口から、信じられない言葉が飛び出した。
「いつもはもうちょっとやったりするんだけど、今回は明日の貸し切り練習の枠が朝四時からしか取れなくて」
………え?
「………えっ」
「はっ……?」
「ん???」
一瞬、自分の耳がおかしくなったのかと本気で疑った。
俺や聖臣や宮、更に近くに座っていた影山や星海、全員の頭の上にでっかいクエスチョンマークが浮かび上がる。
「朝四時から練習で、流石に睡眠時間削られるから、今日は早めに寝るつもり」
……え?朝四時から練習するの……?
俺達だって部活で早朝練したりはするけど、せいぜい八時とか、早くて七時ぐらいだ。朝四時なんて聞いたことがない。
「えっと、それって何時に起きるの?」
「うーん、三時ぐらいかな?柔軟とかの時間もいるし。カナダから帰ってきたから時差ボケで結構眠いんだけどね………」
「マジか………」
「フィギュアって、氷の上でしか試合のプログラムを通しで練習できないし、アイスホッケーとかスピードスケートとかの他の種目の人もリンクを使うから、個人で貸し切りをできる時間ってかなり限られてるの。深夜の一時とか二時ぐらいに練習する時もあるよ」
深夜の一時二時といったら、俺達が熟睡している時間帯だ。環境に制限があるスポーツの世界は、思っていたよりずっとシビアだった。
「ねぇ、今度莉愛ちゃんの練習見に行ってもいい?」
「うん、いいよ」
心の中でガッツポーズする俺。
「じゃあ、私そろそろ行くね」
「あ、うん!練習頑張ってね」
「ありがとう。古森くん達も頑張ってね」
………この合宿が終わるまでに、連絡先だけでも聞けたらいいな……。
そんな願いを胸に、俺はトレーを返却棚へ置き、練習へと戻るのだった。
コメント
13件
侑くんのあれは鬼や!が おもろすぎたw
面白かった~‼️ どの話もスケーターはやっぱ少食だよね……いや、わかるよ!?さすがにめっちゃ太ってる人とかは飛べないもんね、軽くないと……、バレリーナとかもそうだしね!小森くん呼び可愛いwwww 私カナリアちゃんのファンかも…… NHK杯頑張ってね‼️‼️
古森くんの視点、めっちゃ良かったです!一目惚れの瞬間の心臓の痛みとか「あ、これダメだ」って悟るところ、すごくリアルで感情移入しちゃいました。莉愛ちゃんのフィギュア練習の過酷さ(朝4時から!)も印象的で、バレーと全然違う競技の世界観が新鮮でした。宮くんが「カナリアちゃん」って呼んでて、しかも彼女にめっちゃビビってるのも笑った。連絡先ゲットできるといいな〜、続きが気になります!