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静寂。
さっきまでの戦いが、嘘みたいに。
誰も、動かない。
「……」
重い空気の中で。
「……話すよ」
もふくんが、静かに言った。
「……!」
全員が、顔を上げる。
「……」
もう、隠せない。
そう分かっている声だった。
「……」
うりは、何も言わない。
ただ、隣に立っている。
―――
「……俺たちさ」
ゆっくりと、言葉を選ぶ。
「昔、ちょっと荒れてて」
小さく笑う。
でも。
その目は、笑っていない。
「……」
誰も、口を挟まない。
「……ケンカばっかしてた」
「……」
「どこ行っても、絡まれて」
「……」
「そのたびに——」
少し、間を置く。
「全部、潰してた」
その言い方。
あまりにも軽い。
でも。
「……」
誰も、軽く受け取れない。
「……」
ヒロくんが、静かに聞く。
「……それで、“無敗”って呼ばれてたんですか」
「……うん」
もふくんが頷く。
「一回も負けたことないから」
その事実。
「……」
ゆあんくんが、言葉を失う。
「……」
のあさんも、静かに聞いている。
「……」
そして。
「……でもさ」
もふくんが、少しだけ目を細める。
「楽しくはなかった」
その一言。
「……」
空気が変わる。
「……」
うりが、小さく笑う。
「まぁな」
「……」
「勝っても、何も残んねぇし」
「……」
「ただ、次が来るだけ」
静かな声。
「……」
もふくんが続ける。
「……だから、やめた」
「……?」
「全部」
はっきりと。
「……」
「もう関わらないって決めた」
あの時の言葉。
「……」
ヒロくんが、静かに頷く。
「……だから、隠してたんですね」
「……うん」
小さく。
「巻き込みたくなかったから」
その本音。
「……」
ゆあんくんが、少しだけ俯く。
「……でも」
顔を上げる。
「もう巻き込まれてるよ」
はっきりと。
「……」
その言葉に。
「……」
もふくんは、何も言えない。
「……」
のあさんが、優しく言う。
「……それでも」
「……?」
「一緒にいたいよ」
その一言。
「……」
空気が、少しだけ変わる。
「……」
ヒロくんも続ける。
「逃げる方が嫌です」
「……」
「ちゃんと知った上で、ここにいたいです」
強い言葉。
「……」
うりが、少しだけ笑う。
「……物好きだな」
「……」
でも。
「……」
その目は、どこか安心していた。
「……」
もふくんが、小さく息を吐く。
「……そっか」
ぽつりと。
「……」
そして。
「……ありがとう」
心からの声。
―――
“無敗”だった2人は。
ただ強かったんじゃない。
逃げたかったんだ。
その世界から。
でも。
「……」
今は——
もう一人じゃない。