テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
──保健室。
カーテン越しのやわらかい光。
俺は、まだ目を閉じたままでいた。
🩷(……いつまで頭、撫でてるんだろ)
指先が、優しく髪をなぞる。
ゆっくりと。
🩷(そろそろ起きたほうが……)
💚「佐久間くん、起きてるでしょ?」
🩷(ビクッ)
反射的に目を開ける。
🩷「す、すみません……」
💚「なんで謝るの」
くすっと笑う。
💚「助けに来てくれて、ありがとう」
💚「本当に嬉しかった」
撫でる手は止まらない。
距離が近い。
🩷「阿部くん……聞いてもいい?」
💚「うん。なんでも」
🩷「どうして、ここまで俺を守るの?」
一瞬だけ、間が空く。
💚「覚えてないかもしれないけど」
💚「入学初日の電車」
💚「俺、切符なくしてさ」
少しだけ照れたように笑う。
💚「焦ってたんだ」
──
あの日。電車内ーー
となりに座ってた男子生徒が慌てた様子で切符を探していた。
俺は思わず声をかけた。
🩷「あの……よかったらこれ」
🩷「回数券、余ってるので」
💚「……え?」
🩷「緊張しますね、入学式」
ぎこちない笑顔。
──
💚「あの時さ」
💚「知らない俺に、迷わず差し出してくれた」
💚「ああいうの、簡単にできないよ」
💚「ずっと、忘れられなかった」
視線が真っ直ぐ向けられる。
💚「落とし物探してくれた時も」
💚「やっぱり優しいなって」
💚「守りたいって、思った」
その目は、
今まで見たことのないくらい、やわらかい。
怖さも、冷たさもない。
ただ、まっすぐ。
🩷(……そんな前から?)
胸が、じんわり熱くなる。
🩷「俺……」
言葉がうまく出ない。
💚「佐久間くん」
名前を呼ばれるだけで、
心臓が跳ねる。
💚「俺のこと、怖い?」
つづく。