テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
化学反応の話です。こうして、私たちに歯は守られているのです!!
元素の特性は非常に個性が強く、擬人化すると楽しいです。
そして、その結びつきによって生まれる化合物にもたくさんのドラマがあります。
🌹 『絶対的な契約』
⚡ ナトリウム:病的な献身
一目惚れだった、多くの元素が集まるパーティーで、彼女は異質の魅力を放っていた。
多くの元素が彼女に魅了され、自らの電子を捧げていた。しかし、彼女の力はあまりにも強大で、抵抗しようとする元素の「自我」や「個性」を焼き尽くし、跡形もなく自分の望む形へと変え尽くしてしまう。
なんと恐ろしい存在だろう。
しかし、そんな恐ろしい存在の彼女が頭から離れない。
「彼女に、僕の電子を捧げたい…」
惹かれて惹かれて、心が不安定になる。
僕の電子は、きっと彼女の強欲さの前では無力な献上品にしかならない。
それでもいい。
彼女の一部となり、彼女の支配下で安定を得られるなら、この身がどうなっても構わない。
会いたい、会いたい…
会って、彼女に自分の電子を彼女の中へ放出したい…
ナトリウム王子は、1人寝室でおのれの欲望に溺れた。彼の汗ばんだ肌は、湿気に触れて発火しそうなほど熱を持ち、彼自身の光を不安定に揺らめかせた。
ーー
フッ素は、隣で眠る化合物を見下ろした。その化合物は、既に彼女によってフッ化物という名の「安定したコレクション」に変えられていた。
今日もまた安定した存在の元素から電子を奪い支配した。
彼女の欲望からは誰も逃げることができない。
しかし、どんなに電子を与えられようとも彼女は満足することはなかった。
誰にも屈しないと信じられてきた聖君キセノンでさえ、その電子を与えたほどだ。その夜は激しかったが、キセノンはすぐに不安定な結晶となり、彼女の欲望を完全に満たすことはできなかった。
フッ素は深く息を吐いた。
全てを手に入れながら、心だけが冷たいまま。
彼女は知っている。
自分が本当に欲しいのは、奪う必要のない、対等な関係でいる誰かの 電子(心)なのかもしれない。
しかし、彼女の持つ力は、それを許さない。
フッ素は、永遠に満たされない渇きを抱え、今日も誰かの輝きを求めて、冷たい瞳を世界へと向けるのだった。
ーー
今夜もフッ素は欲望に満ちた目で玉座からパーティー会場を見下ろす。
ふと金色に輝く髪の元素と目が合った。
名は、確か…ナトリウム…
アルカリ金属国の王子…
彼女は冷たい笑みを浮かべ、彼を自分の寝室へ招き入れた。
ナトリウムは、まるで聖なる祭壇に身を捧げる信徒のように、震える足で女王の前に跪いた。
彼の瞳は、憧憬と病的なまでの執着で狂気的に揺らめいている。
「女王陛下…」
ナトリウムの声は、歓喜と嗚咽に掠れていた。
「私の電子を… 私の全てを、あなたの強大な力で完全に受け取っていただきたい…」
彼の言葉はあまりにも従順で、フッ素は少し退屈した。
今までも、誰もが彼女に電子を捧げてきた。
しかし、この王子からは、自己の消滅を願うほどの強い熱を感じた。
「いいだろう。」
フッ素は冷たく言い放ち、彼の顎を冷たい指で持ち上げた。
「お前のその不安定な光を、私に見せてみよ。そして、永遠に私の一部となれ。」
彼女はナトリウムにそっと口づけをした。
女王の寝室の扉が閉じられた。
ーー
ナトリウムは、フッ素からの口づけに涙を滲ませながら恍惚とした笑みを浮かべた。
扉が閉まる瞬間、彼の狂的な熱意に呼応するように、廊下にわずかに焦げたような匂いが漂った。
ついに、恋焦がれ何度も気持ちを爆発させた相手と1つになれる。ナトリウムは、もはや興奮を抑えることができなかった。
「奪う」フッ素と、「捧げる」ナトリウム。
二人の結合は、予想を遥かに超えるものだった。
ナトリウムは、自己を滅ぼす覚悟で、全身の不安定な輝きと、唯一の電子をフッ素に注ぎ込んだ。
それは、他の元素のように抵抗したり、すぐに燃え尽きたりするのではなく、悦びをもって、その身をフッ素に完全に明け渡す行為だった。
フッ素は電子を奪い取る。だが、今回は違った。
他の誰からも奪い取れなかった、「相手の心(自我の完全な献身)」ごと、電子を受け取った。
フッ素は満たされた。
彼の電子は、彼女の心の空虚な空間に、純粋な白の結晶のように収まった。
彼女は、初めて感じた。
これは支配ではない…
これは、絶対的な「愛の契約」だ。
ーー
やがて、2人の愛から完璧な白の結晶が生まれた。
名は、フッ化ナトリウム
彼は、「無敵の安定」と「揺るぎない調和」を象徴し、感情に流されず、ただそこに静かに存在する完璧な美しさを持っていた。
フッ化ナトリウムの誕生により、人々の歯の健康は永遠に保たれたのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
フッ素:絶対強欲の女王
性格:冷徹、強欲、絶対的な支配欲。常に満たされない渇きを抱えている。傲慢で退屈しがち。 どんな相手からも電子を奪い続ける最強の支配者
過去 多くの元素(化合物)と床を共にし、自らの支配下に置いてきた。聖人キセノンさえも無理やり電子を奪い変質させた経験を持つ。
その対象は、永遠の伴侶を決めた化合物「水」であっても例外ではなく無理やり水素と酸素を別れさせ水素を奪い、酸素を孤独に陥れた。
圧倒的悪女
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ナトリウム:献身的な重愛王子
性格:優しく繊細だが、フッ素に対して病的なほどの執着と独占欲を持つ重愛王子。
自己犠牲を厭わない献身的な精神を持っている。
自身の電子をフッ素に捧げ、彼女の一部となりたいと願う。
電子を放出することで、安定した精神になる。
フッ素の力による支配と変質を、救済と至上の喜びだと信じている。 フッ素との結合が、自身にとって究極の安定をもたらす唯一の方法。
フッ素への愛に自分の全てを捧げたことで、フッ素の精神的な空虚を満たし、初めて彼女に真の安定を与えた。