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電話の向こうで、プロフェッサーMの声が静かに響き始めた。
「じゃあ、正解を教えてあげまshow。Youの『塩爆破説』は残念ながら不合格でしたけど、着眼点自体は悪くなかったですyo」
美少女探偵は控室の椅子に腰を下ろしていた。
スマホを持ち、真剣な表情で耳を傾ける。
目の前には、白い制服を着た黒髪のAIアンドロイド受付嬢が立っていた。
胸が制服を豊かに押し上げているのが、ちらりと視界に入るたびに、美少女探偵は小さく「ぐぬぬ」と喉を鳴らしたが、今はそれどころではなかった。
「まず、基本から説明しまshow。AIアンドロイド受付嬢さんの体内には、動力源として特殊な金属電池が複数搭載されています。しかも、それは現存する中で最も燃えやすい部類の金属を使用した電池なんです」
プロフェッサーMの声は、まるで講義をする教師のようだ。銀髪の美少女が笑みを浮かべながら話している姿が脳裏に自然と浮かぶ。
「最も燃えやすい金属……例えば、セシウムやルビジウム、あるいは特殊処理を施したナトリウム系の合金などですね。これらは空気中の水分と反応するだけでも激しく発火する性質を持っています。ましてや、大量の水と直接触れれば——」「水……?」
美少女探偵が小さく呟く。
受付嬢も話を聞いていた。
「そうです。事件当日は、かなり蒸し暑い日でしたよね。AIアンドロイド受付嬢さんは、オーバーヒートを防ぐために、冷却用の液体を摂取することがあります。本来は専用の冷却液を使うべきなのですが、あの日は手元にそれがなく、代わりに普通の水を大量に飲んでしまった」
受付嬢は否定はしなかった。
「水は体内の冷却回路を通って、動力部の近くまで運ばれます。ところが、その動力部に搭載されていた最も燃えやすい金属電池に、水が直接接触してしまった。金属は水と激しく反応し、一気に発火。熱とガスが急激に膨張して、上半身の構造を内側から破壊した、というわけです」
美少女探偵は、目を大きく見開いた。
塩ではなく、水。
しかも、最も燃えやすい金属電池。自分の推理がいかに的外れだったかを、改めて痛感する。
「塩じゃなくて、水だったんですか……」
「ええ。塩は高温で溶融して反応しますが、今回のケースでは必要ありません。水と特殊金属の反応だけで、十分に爆発的なエネルギーが生まれます。特に、電池の密封が一部劣化していた場合、水が内部に侵入しやすくなる。今回の直接の原因でした」
プロフェッサーMの解説は核心を突いていた。
美少女探偵は話に聞き入る。
受付嬢が、静かに口を開いた。
「はい。冷却液が切れていて、仕方なく水を飲みました。量が多かったのかもしれません。コアの近くまで水が回ってしまったようで……」「そうでしょう。Youの体内温度は、通常運転時でもかなり高めです。そこに大量の水が入り、最も反応しやすい金属電池と接触した。結果、急激な化学反応が起きて爆破に至った。簡単な話ですyo」
プロフェッサーMの声に、わずかな笑みが混じる。
美少女探偵は、悔しさと納得が入り混じった複雑な表情を浮かべた。
自分の「塩爆破説」がいかに見当違いだったか。それでも、プロフェッサーMが「着眼点は悪くなかった」と言ってくれたことが、少しだけ救いだった。
「じゃあ……塩じゃなくて、水と金属電池の反応……」
「正解です。合格点をあげまshow。ただし、次回はもう少し科学的な知識を仕入れてから推理してくださいね。でないと、また不合格になりますyo」
電話の向こうで、銀髪の美少女が楽しそうに微笑んでいるのが想像できた。
事件の真相は、こうして明らかになった。
だが、プロフェッサーMがなぜこの爆破を予知し、あるいは仕掛けたのか——その点については、まだ何も語られていない。
美少女探偵は、スマホを握る手に力を込めた。
次こそは、ちゃんと推理してみせる。
そう心に誓いながら、彼女はベビードールの上から、自分の胸をそっと押さえた。
推理は終わった。
しかし、プロフェッサーMとの本当の勝負は、まだ始まったばかりなのかもしれない。
猫とろ
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ねらち
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コメント
1件
おお、なるほど!水と特殊金属電池の反応だったんですね。確かに塩よりも化学的にはずっとシンプルで納得感があります。「着眼点は悪くなかった」と言いつつ核心は外す――この師弟関係みたいな距離感が面白い。それにしても、プロフェッサーMがまだ何か隠してる感じがヒリヒリしますね。次は彼女の真の狙いが見えるのかな。続きが気になる。