テラーノベル
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光に包まれた大精霊。ステラが髪を靡かせながら祭壇へと降り立つ。
「すべての生命の循環を司り、世界の存在を繋ぎ止める者……星の大精霊……ステラ」
エラリスが石板に刻まれた文字をポツリと呟く。ステラもそれに呼応するかのようにニコリと笑い、改めて自己紹介を始めた。
『この星の生まれから……現在に至るまでのほぼ全てを把握しています。星と共に産まれ、全ての循環を司ってきた星の精霊。ステラです』
強大な魔力でありながら、魔女の突き刺さるような魔力とは異なり、暖かく包まれるような感覚になるエラリス達。緊張をしながらもそんな不思議な感覚に包まれていた者達とは異なり、魔力を感じないフィニスが颯爽と口を開いた。
「俺たちが来る前に白髪の魔女……アニタがここにきたと思うけど……大丈夫だったか?」
『えぇ……特に何もありませんでしたので、ご安心ください』
フィニスの発言により、緊張がほぐれたニティアがステラの目を見て尋ねる。
「それなら良かったですけど……私たちをここに呼んだ理由って……何かあるんですか?」
『そうですね……久しぶりに人間達とおしゃべりをしたかった……とでも言いましょうか。何せ……この神殿で私を呼んだのは貴方達が初めてですからね』
「そうなんだ……てっきり前にも会った事あるような感じだったから、何度かあるのかと思った」
エラリスの言葉にくすくすと笑うステラ。
『私の力を分散して、あの子達を生み出した時や……あとはここではない空間であの子達とはたまにお話をしていますからね』
遠くの台座の上でうんうんと頷いている精霊達。そんな彼等を一望した後、真剣な眼差しでフィニス達に視線を移した。
『貴方達は……白髪の魔女。アニタを追っている……それは何故ですか?』
ステラの言葉に全員が視線を合わせ、ルシオが一歩前に出た。
「国を……俺たちの国だけじゃない。たくさんの国を襲い……人々を殺し……世界に混乱を振り撒いている。放っておくわけにはいきません」
ルシオの言葉に瞼を閉じるステラ。
『正直に言います。星の記憶を共有している私でも、あの魔女についてだけは分かりませんでした。この星にあるはずの無い魂が……突如としてマハノ村に現れましたから……』
「マハノ村……やっぱりあいつが俺の村を……」
ギュッと握りしめた拳に力が入るフィニス。しかし、ステラは優しい眼差しでフィニスの目を見つめた。
『いいえ……あの時、貴方の村を襲ったのはノクス。黒い魔女と言われている魔女ですよ』
「……え?は?でも俺はあの時……」
困惑するフィニスから、ルシオ、アルテア、エラリス……そしてニティアへ視線を移した後、ステラは少しだけ困った表情で話を続ける。
『これは話しておいた方が良いかもしれませんね……』
そのまま瞼を閉じるステラ。
『魔女を産み出したのは……私です』
!!?!
その言葉にフィニス達だけではなく、奥にいる精霊達も驚いていた。
『ステラ様!それってどういう……!』
『やかましいぞゼフィリア。ステラ様がこれからその話をしてくれると申しておる。落ち着くのじゃ』
ゼフィリアが遠くから声を荒げるも、ニックがそれを遮って黙らせた。
『知らないのも無理はありません……これは貴方達を生み出す遥か昔の出来事ですから……』
先ほどまでの視線から一変。ニティア達からの鋭い視線がステラに突き刺さる。
「聞かせてください……」
『遥か昔の……星が生まれ……人間が生まれ……まだ国も文字すらも無い。集落単位で人間が暮らしていた時代です……』
⸻
私は……今のゼフィリア達のように……様々な場所で星を観測していながら、人間達と接していました。
人間と契約をしていたと言う事ですか?
契約……そうなのかも知れません。
私の元に訪れた人間。その人間の望みが、この星に良い影響を与えるだろうと判断をした時に、私の力を授けていましたから。
ある意味契約だった……とも言えるかも知れませんね。
ある者は、人々を救いたいと願い、聖女と呼ばれ、聖光十字教会を創設するきっかけとなり……
!?
ある者は、導く力を願い、集落を束ねて国を作り……
……
ある者は……荒れ果てた土地を蘇らせ、生命の循環を促したり……
……
そして最初の魔女となった者の目的。それは、人々の暮らしを豊かにしたい。と言う者でした。
豊かに?
ええ。当時はまだ文字も集落単位でバラバラ。当然、魔法も一族が口頭で受け継がれるのみ。魔法にはもっと素晴らしい使い方がある。でも私には時間が足りない。だから、寿命を延ばしてほしい……
これが……最初に魔女になった者の、目的を遂行する為の願いでした。
寿命を……伸ばす……
様々な集落や国を渡り歩き、魔導書を作り上げたり。生活に必要なこと……夜には灯りや炎を。植物の収穫時には風を。水が乏しい場所には空気中の水分から水を……
彼女の魔法は世界に広がり、人間達の暮らしはどんどん豊かになっていきました。
しかし……
……
何十年も姿を変えず、自分たちの知らない力を扱う彼女を……人々は恐れ始めました。
一国の主が、そんな彼女を国民のための魔法開発の助力という名目で呼び出し……可能な限りの知識を彼女から抜き出し……そして……
……
彼女の知識から開発した魔法を封じる魔法。これを用いて、彼女を殺してしまったんです。
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コメント
1件
ああ、第113話「始まりの魔女」、ついに来ましたね……。ステラが自ら「魔女を産み出したのは私だ」と告白するシーン、すごく重くて引き込まれました。最初の魔女が人々を豊かにするために寿命延長を願い、それで世界に貢献したのに、結局は恐れられて♡♡♡れてしまう——この因果が、今のアニタやノクスにどう繋がるのか気になって仕方ないです。フィニスの村襲撃がノクスだったという伏線回収も効いてました。次が待ち遠しいです。