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私の家は貧乏で、街の人からから村八分ならぬ街八分を受けていた。

「七志ごめんね。七志だけは幸せになってね。」

そうして私は街から遠く離れた小屋のようなところに捨てられた。

当時の私は両親に捨てられたという自覚がなかった。まだ幼かったから。

「さむい…おなかすいた…」

なにかないかなあ

部屋の奥に行くと、机の近くに何かがいた。

…だれ?

私と同じくらいの年の男の子。

寒そうに寝てて、ボロボロだった。私もそうだったけど。

「ん…?だあれ?」

私に気付いて起きたその子は、目を擦りながら私に話しかけてきた。

「えっと…ななし…」

「じゃあななっし〜だ!僕のなまえはね、さもんっていうの。」

「…じゃあさもくん!」

そう言って私達は笑い合う。

私達は初めての会ったのに、まるで昔からの友達のように仲良くなった。

その時、私のお腹がくぅとなった。

「…おなかすいたね…」

「ね…ごはんないかなあ」

探した結果、見つけたのはカチコチのパンと少しの水だけ。

「どうしよっか…」

「んぅ…まちのひとたちにわけてもらうとか?」

まち…

「………やだ…」

さもくんは私が怯えているのを感じ取ったのか、「じゃあやめとこ」と言ってくれた。

…?いまそと…

「…!まじゅう…」

「まじゅう?」

「まじゅうはね、えっとね、ひとをおそうわるいどうぶつのこと。」

「え!?こわい…」

「…だいしょうぶ」

さもくんはそう言って外に出ていった。

さもくんだいしょうぶかな…

少しして、さもくんが何かを抱えて戻ってきた。

熊みたいな見た目の魔獣で、もう死んでた。

「…はい、これでだいしょぶ」

さもくんは私の顔色を伺うように私のことを見た。

「………すごい!さもくんつよいんだ!」

「……………え」

予想してた反応と違ったのか、さもくんは驚いた顔をしてた。

「こ、こわくないの?ぼくのこと」

「?うん!さもくんつよくてかっこいい!」

「かっこいい…?」

さもくんは少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑顔になった。

「…ありがと!」


「あ!これたべれる?」

「うん!おいしいよ。」

「じゃあたべたい!」

そのままかぶりつこうとする私を、さもくんは慌てて止めた。

「まって!そのままだとおなかこわしちゃうよ。やかないと」

「やく…?」

元の家では焼くもの関係なく食べてたから、この時の私は焼くという意味が分からなかった。

「えっと…みせたほうがはやいかな。」

さもくんは箱からマッチを取り出して、木の板に火をつけた。

「えっとこうして…」

「わー!おいしそう!」

「たべよっか!」

「うん!」

お肉は美味しかったけど、流石に子どもには量が多かった。

「のこりはあしたにしよっか。」

「うん…ねむい…」

私とさもくんは薄い毛布で包まって、お互いを抱きしめるように眠った。

氷河の世界で記憶のない君

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