テラーノベル
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壁に激突した後、nullはすぐに体制を取り戻した。
無言でnullを見ていたJammingが少し驚いたように顔を上げる。
「おぉ、さすが。元執行官なだけありますね。並のアンドロイドではここで力尽きるんですよ〜。もっと楽しませてくれそうですねぇ」
そう言うと、すぐに体制を整え、容赦なく攻撃を浴びせる。
nullも負けじとJammingの攻撃をかわしつつも攻撃をする。
両者1歩も譲らない戦いが続く。
だが。
nullはJammingとの戦いに全力を尽くしてしまっており、 まだ残っているアンドロイドに背を向けてしまったのだ。
そしてその瞬間、一体のアンドロイドが電子銃の引き金を引いた。
その銃弾は見事nullの背中を撃ち抜いた。
「しまっ…ゥッッッ!!」
幸い致命傷にはならなかったが、この傷によりnullの頭脳は “勝率0.2%”という絶望的な数字を叩き出してしまう。
nullのテレビ画面に【Changing strategy…】 という文字が映る。
それを見たJammingは意味を調べようとした瞬間、
「動きが止まってますよ ッッッ」
という声を聞き、我に返る。
驚いたJammingはとっさに急に剣の向きを変えてしまうが、偶然にもnullの電磁直刀に当たり、刀が遠くに飛んで行ってしまった。
一瞬で驚いた表情に変わったnullを見て、
「フッ…」
という声が漏れる。そして次の瞬間。
高速移動をした。その瞬間、Jammingの後ろで、ブルーブラッドが飛び散る音が聞こえた。
振り返ると、画面が真っ暗になったnullが地面に横たわっていた。
「こんな呆気ないとは……。最近のアンドロイドは弱いですねぇ……。期待外れでした。」
和かな仮面とは裏腹に、少し哀しげなノイズ混じりの声が聞こえる。
Jammingはnullを持ち上げ、背中に乗せると、自身が破壊した壁から外へ飛んで行った。
中央地区の上層部。そこにnullを持ち帰り、
再利用して新しく兵に改造するのだ。
「……重い。何故同じアンドロイドなのにこんなに重いんだ……、、」
nullは戦闘系よりも頭脳系のアンドロイドとして作られた為、戦闘系AIよりもとても重いのである。
Jammingが上層部の第1セキュリティゲートを通過した瞬間に、nullの画面が光り出す。
【WARNING: SYSTEM DAMAGE 21%】
【ATTEMPTING PROXY CONNECTION… SUCCESS】
【TARGET ID: Android_1001】
次々と謎の文字列が表示される。
【WARNING: SYSTEM DAMAGE 55%】
「これでようやく僕がこの都市で一番強いアンドロイドになれるなぁッ…。」
Jammingはそう言うと意気揚々と鼻歌を歌いながらスピードを上げた。
【WARNING: SYSTEM DAMAGE 100%】
nullのテレビ画面の文字列が途切れた瞬間、“中央管理室”の扉が開いた。
目の前に広がるのは、巨大なデジタル画面。
これが都市を統一している“システム”だ。
Jammingはnullを地面に置き、画面に歩き出す。
Jammingが画面の前まで行くと、システムの電源が付く。
「システムさぁん?ご覧の通り、反逆者の機能を完全停止しましたよ〜。」
完璧な勝利宣言。
しかし、その背後で、横たえられたnullの、ずっと真っ暗だったテレビ画面に**――チカッ**、と不気味な赤いノイズが走った。
「……ふう。ようやく、体が動かせます…。」
冷静な合成音声。
けれど、どこか満足げに、静かに息を吐き出すかのような、かすかな高揚感を孕んだ声だった。
驚愕して振り返るJammingの目の前で、nullはゆっくりと上体を起こす。
そのテレビ画面には、怒りでも恐怖でもない、すべてが計算通りに運んだことを喜ぶような、柔らかく細められた、知的な一対の眼が、はっきりと灯っていた。
「上層部へのゲートパス、ありがとうございました。……これより、私の『反逆』を開始します」
【SYSTEM HACKING: COMPLETE】
【TOTAL CONTROL TO CITY: ALL ACTIVE】
第6話:ブラックアウト
第7話:8月25日 公開予定
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第6話、読み終わったよ…。 「ブラックアウト」ってタイトル、めっちゃ効いてた…。 最初はJammingにやられてるのかと思って、胸が痛かったんだけど、全部計算通りだったんだね…。「ゲートパスありがとうございました」の台詞、震えた。あの赤いノイズからの反逆開始、めっちゃカッコよかった…。 にょーんさんのバトル描写、静かでいて重みがあって、すごく好きです。次回も楽しみにしてるね🌙