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──────メメさん視点──────
───ルカが連れ去られてたから。1ヶ月の捜索を行ったが死体も目撃情報もなく、失踪ということで捜索は打ち切られた。
後日、イエモンに呼び出された。軍隊の本拠地の、今は使われていない空室に。話の内容はなんとなくわかってる。だからこそ、何を言えばいいかわからなかった。
自分の父親が殺された件、きっと、イエモンもルカに仲良くしてね、と言われたのだろう。───果たして、私たち二人はまた仲良くできるのだろうか?仲良くしたとしても、イエモンの親が殺された心の傷はどうやって癒せばいいのか。父親を殺した張本人と、親友だからと割り切って許せるのだろうか。その場合、行き場の無い感情はどこに向かせればいいのか。
ずっと、ずっと考えた。───いや、私がイエモンの父親を、強欲の悪魔を殺した時点で、この未来は決まっていたんだ。
「───メメ。その、なんて言うんだろう。最近、ずっと仲良くできてない、よね…?」
イエモンからの探り探りの言葉。すぐに、その会話をするのはやりづらい、ということだろう。なら、私がさっさと言ってしまおう。───これをやってしまったら元の関係に戻ることは無い。これは私と、イエモンの友情をズタズタに引き裂いてしまう決断だ。イエモンと、ルカとの記憶が脳内に駆け巡る。イエモンが作ってくれた温かいスープ。ルカが買ってくれた剣。敵を初めて倒した時の達成感、連携して倒したあの敵、初めてのお出かけ。
───思い出せば出すほど、暖かい思い出がとめどなく溢れてきて。やっぱり、嫌だな、と思ってしまった。けど、己の決断を覆す訳には行かなかった。───これ以上、イエモンを傷つける訳には行かなかったから。
「あぁ、強欲の悪魔の件について聞きたいんですか?」
私がそう淡々といえば、イエモンは一瞬肩をピクっと震わせる。私がこの話を始めると思っていなかったのだろう。戸惑いながらも、愛想笑いを浮かべながら自分を納得させるためかのように言う。
「え、あ…。…まぁ、うん。わかってるよ。メメのことだから、何か、理由が───」
「気に食わなかったから。」
「───え?」
豆鉄砲を食らった鳩のような顔をしていた。私の言葉に衝撃を受けているらしい。まだ現状を把握しきれていないみたいだ。───心が締め付けられるように痛い。けど、生半可なものじゃ意味がないから。私は、瀕死のイエモンに畳み掛けるように私がいかに非人情的な悪魔であるかを語る。
「何驚いているんですか?嫌いな奴は殺す。そりゃそうじゃないですか。」
「いや、だって。お父さんは、メメのことを我が子のように大切に───」
「はぁ〜。まだ分からないんですか?それがウザかったんですよ。悪魔が行動する理由でそれ以上のこと、ありますか?」
「は、え…?」
「ほーんと、イエモンってお人好しですよね。父親を殺したやつにまだ対話出来ると思ってるんですか?仲良くできると思ってるんですか?───甘すぎるんですよ。脳みそから爪先まで、全てが。」
「───どうしてっ!!だって、メメがそんなことするわけが───!!」
なんだかんだ私はイエモンに信頼されていたんだなぁ、としみじみ思う。───引き返したい。イエモンと仲の良い友達に戻りたい。そう願ってしまう。
だからこそ、その希望を打ち砕いてしまわねば、またイエモンは心を傷つけてしまうから。
「───私は、イエモンのこと友達だと思ったことないよ。」
「…っは?」
「強欲の悪魔の息子なんて、そりゃ誰でもお近づきになりたいですよ。ま、もう私が殺しちゃったのでぶっちゃけますけどねwなんの地位も持たないイエモンに用はないですから。」
「……ほんと、に?俺、そんなに……メメに嫌われてたのかなぁ…?」
「…話はここまでです。それじゃ、せいぜいぼっちを楽しんでくださいね〜w!あ、それと、私の目の前に二度と現れないでくださいねw」
そう言って、私は足音を大きめに鳴らして部屋を出る。イエモンを慰めることはしない。もう、関わることもないとも思う。私と、イエモンとの友情はここで終わりだ。
死者は勝手である。生者に希望を託すために、遺言を残して、祈って。結果それが生きる悪魔の枷となる。あんなもん、嫌いだ。私はそんな呪いに縛られることなんてない。
さっさと部屋に帰り、私は硬いベッドに飛び込む。
私は、実績を重ねた。死ねない不死の体を最大限利用してやるために何回も何回もしんで、体を戻すのを慣らすことにした。死んで、死んで。そのうち、私は死んでもすぐに戦線に復帰できるようになった。死ねば死ぬほど、私は強くなり続け、死んだ直後には爆発的なバフがかかり、奇襲をしかけては、戦場を混乱に落とし、勝ち残ってきた。仲間はコマとして見ることにした。そうでもしないと私は悪魔殺しで呪われる気がしたから。戦場で死ぬ仲間を弔うのが、怖かったから。私のせいで死んだ気がしてならなかったから。
私は、目標を決めた。それは私の死を持って今まで殺してきた命に償う、というものだった。だから、私が死ねる方法を探し続けた。探して、探して。ついに見つけた。私みたいな祈りで生まれた悪魔はその祈りを成就することによってただの悪魔となる、と。私は、戦争を終わらせて欲しい、という祈りの元で生まれた。なら、私は戦争を終わらせれば晴れて自由の身となり、そしてようやく死ぬことができるのだ。
だから、戦争を終わらせられるほどの力を望んだ。それだけの理由で、私は周りを巻き込んでしまったのだ。
だから、なるべく私が戦うようにした。戦って、戦って。───私の周りに誰もいなくなっても。
私のひとりで戦う姿勢に傲慢の悪魔は酷く喜んだらしい。私が七つの大罪を殺したことは不問とされ、強欲の悪魔の1席に座ることになった。生来、悪魔は欲に忠実な方が良い、と言われて。
───その時、イエモンは再び現れた。
もう会うことがないと思っていた相手に再び会うというのはあまり良い気持ちではなかった。イエモンはもうあの時の弱虫の顔ではなかった。あれほど明るかった笑顔はなくなり、顔には一切の表情を出さなかった。
「…何の用?」
私は長い髪をかきあげながら嫌味ったらしく言ってやる。と、いうか。なぜ、七つの大罪の間に入れるのか。ここには七つの大罪かその悪魔から許可を得たものしか入れないはず。───答えは簡単。だれかが招き入れたのだ。そして、こんなことをするのは傲慢の悪魔でしかなかった。
「…俺が、強欲の悪魔の筆頭候補だったからだよ。一足遅かったみたいで、その座は奪われたけどな。」
「あっそう。なら、さっさとお帰りになったらどうです?」
「───お前の殺し方について徹底的に調べた。祈りに答えたら、だよな。」
「ふーん。本当に調べたんですね。その通りですよ。なんなら、その祈りは───」
「『戦争を終わらせること』ですよね。メメが小さい頃、そう言ってましたから。」
「覚えてましたか。」
「…覚えてるよ。今日、来たのは宣戦布告だ。お前も、必ず殺してみせる。焼け死ぬよりももっと辛い目に合わせてやるよ」
「そーんなイエモンにご提案!私の専属秘書にならない?」
「───は?」
イエモンが悪いのだ。私がわざわざ距離を離してまで悪役を演じてあげたのに。その意向を汲み取らず近づいてきて。なら、ここまで踏み込んできたのなら最後まで付き合ってもらう。───私を殺す権利を傷つけてしまったイエモンに差し出そう。
「えー?そりゃ私だってこんな呪いさっさと解きたいですからね。戦争を終わらせるための戦力を確保したいですし。イエモンは私のことを殺したい。呪いが解けた瞬間、あなたは私を殺せる。一石二鳥でしょ?───ま、イエモンに私を殺せると思えませんが。」
「───挑発に乗るみたいで嫌だが。その提案は非常に魅力的だな。…乗ってやるよ。そのやっすい挑発に。」
「ブラボー!よろしくお願いしますね?秘書さん?」
「メメが死ぬまでの仲、だけどな。」
殺意をみなぎらせるイエモンの姿を内心微笑みつつ、私はイエモンを手元に置くことに成功した。
「…後半の話関係ありましたか?」
「ないですよ?ただ、死ぬ前に昔話がしたかったんですよ。」
「───同情を誘ってます?それで私を無理やり契約させたことへの理由付けですか?」
「茶子さんはお厳しいですね〜。別にいいじゃないですか。私は悪魔ですから。欲には忠実ですよ。」
「…こっちとしてもメメ様が死んだら契約は強制的に終了。のんびり転生した菓子を探しに行きますよ。」
「お好きにどーぞ。幸せになれるといいですね。」
「含みのある言い方やめてくださいよ。そういう虚言は聞き飽きました。」
「はいはい!この話おしまーい!解散です。天才はそこら辺のベッドに寝かせといてください。くまの子については…どうでしょうね?」
「星の導きは使いませんよ。どーでもいいので。」
「あの子は戦闘欲以外天使に似てますからね。…罪悪感を抱くなんて。よく分からないです。」
「…ここについては同感です。」
ここで切ります!花粉が酷すぎて書くの遅くなっちゃいました!アレルギー検査したら杉とヒノキどっちも花粉があって春は無事死ぬことが確定しました。終わりました。たすけてー!!
それでは!おつはる!