TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する




「――じゃあ、公開されたら絶対見に行こうね。約束だからね!」

「ちょ、あや君」



電話が切れるタイミングを見計らって、俺はすぐにあや君に詰め寄った。

あや君は、俺が距離をつめていたことに気づいていなかったようで、ビクッと肩を上下にさせて、降りれなくなった猫のようにぷるぷると震えていた。



「あ、兄ちゃん、何? もう、オムライス出来た?」

「え、いや……ごめん、まだ卵も割ってない」



俺は、正直に、料理の進行具合を伝えつつ、それよりも、あや君の言った言葉、名前にひかれて、思わず口に出してしまう。



「あの、さっき電話で、祈夜柚って」

「兄ちゃん、祈夜柚知ってるの!?」

「いや、しって……いや、知らないと言えば、知らないかもだけど」

「どっち」



と、あや君はツッコミを入れつつ、少し得意げなかおをしていた。この顔は、こっちは知っているので、教えてあげましょうの顔だと俺は察する。あや君の説明は聞いていて分かりやすいし、あや君は物知りだから、分からない事は聞くのが一番なんだけど、知っている名前……というか、朝まで一緒にいた相手のこと何も知らないけど、顔は合わせたみたいなこの微妙すぎる関係のまま、聞いて良いものなのだろうかと思った。


ゆず君が俺の事知りたいという様子はなかったし、そもそも、俺の事なんて興味ないだろう。けど、俺だけゆず君のこと知るって不公平じゃないかな、とも思ったんだ。

あや君は、今すぐ説明させろ、と言う顔をしていたため、俺は、ソファに座って、あや君の話を聞くことにした。オムライスは、取り敢えず後回しにして。



「まず、BL漫画の説明から」

「いや、漫画の説明じゃなくて、その祈夜柚って」

「まあ、まあ聞いて。このBL漫画神作だから」



と、あや君に宥められつつ、俺は、そのBL漫画の話を永遠と聞かされた。俺も一応はチラッと読んだ事ある奴だから、そこまで詳しい説明知らないのになあ、と思いつつ、せっかく説明してくれているんだから、止めるにも……という心情が働いて、俺は黙って聞いていた。


あや君は一度話し出すと、停まらないオタク気質だから、話は慎重に選ばないといけない。



「――それで、主演の眞白レオ。氷海の王子って呼ばれているくらいクールで、プライベートでも現場でも笑わないって言うのが特徴的な俳優。年は、兄ちゃんの一個下で二十歳。子役時代から活躍してるんだけど、伸びたのは高校二年生からかな。ここから演技がぐぐっと伸びて、役のは場が広がったんだよ! 素人が見ても変わったなって思えるくらい凄い変化だった。勿論良い意味で!」

「うん、それで。祈夜柚は?」



俺が、そう、説明を急かすと、にまにま~とあや君は笑う。



「な、何?」

「兄ちゃん、もしかして祈夜柚好み? まあ、兄ちゃん可愛いかお好きだし、あざと俳優の名を手に入れている祈夜柚は、そりゃ、兄ちゃんの好みカモだけどさ」

「……可愛いのが好きなのは、否定しないけど」



実際、ゆず君可愛いし?


そんなこと、あや君が知るよしもないだろうけど、俺は、取り敢えず続けてくれ、とあや君を見る。



「祈夜柚は現在休業中の俳優。兎に角笑顔が眩しくて、あざとい仕草が目立つ、ちょっとお馬鹿なキャラを演じてる俳優かなあ。でも、演技の幅は昔からちょー広い。眞白レオが努力型の天才なら、祈夜柚は生れながらの天才って感じかな。どんなドラマも、アニメの実写化も祈夜柚が演じれば成功するって言われるくらいの天才。でも、高校二年生から、休業してて……まあ、ちょくちょく出てたりはしてたけど、大々的には出てこなくなってたかな……」



だから、今回助演で出るのびっくりしたんだ、とあや君は教えてくれた。

それからも、あや君は二人のことについて詳しく語っていたけれど、俺の頭の中では、絡まっていた糸が一本に結びついてスッキリとしていた。ゆず君の昨日の雰囲気、演技、その全ては俳優業のたまものだったのだと。確かに、独特だったし、あんな雰囲気普通の人間には出せない特別なものだ。


だからこそ、一つ疑問が浮かぶ。

俺が、モデルに選ばれた理由とか、諸々込めて。



(何で、ゆず君は休業して作家活動をしてるの?)



あや君の話を聞いていると、俳優業だけで食っていけそうな雰囲気なのに、何故休業しているのか。あや君の話をもっと聞けば、両親二人とも芸能人らしい。芸名が本名とちょっと違うし、芸能人顔だけど、ゆず君とは似ていないらしいからわかりにくいみたいだけど。両親も天才的な芸能人だという。その血をしっかり受け継いでいると言わんばかりにゆず君の演技は飛び抜けてるとか。



「兄ちゃん」

「……っ、何? あや君」

「お腹減った」

「あ、はいはい。ごめん、今から作るからね」



何で、ゆず君が俳優業をストップしているのか謎だったけど、俺は聞ける立場じゃないしなあ、なんて思いながら、俺は再びキッチンに立った。でも、何か、悩んでいることがあるなら聞きたいとも思う。俺は、冷蔵庫から取りだした卵を割って計量カップに落とす。卵からは、二つの卵黄がぽとりと落ちた。


突然ですが、BL小説のモデルになってください!!

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

40

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚