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「しんどうじ〜、起きてるか?」
独り静かだった部屋にぷちぷちの声が聞こえ、目が覚める。
「…起きてますけど。」
「えーっと、ほい。朝ご飯だ。」
看守はバッグの中を漁り、焼き鮭を取り出した。
でも、おかしい。
刑務所の食事は昼だけだ。
「看守、食事は昼だけじゃないんですか?」
「ん?あぁ、ここに入ってる奴には、規則正しい生活をさせないとならないからな。」
「…そうなんですね。」
「そういえばな、ここに来る前にひなこたちを自由広場に入れてきたんだけどなぁ。」
「…はい。」
焼き鮭を咀嚼しながら、看守の話に耳を傾ける。
「あおい、噴水の水を飲み出したんだ。」
「…バカですね。」
「ひなこもなんか砂をかき込み出して、怖かったぞ。」
「…2人とも、俺に対してなんて言ってましたか?」
「ん?うーん、しんどうじが居ないと少し静かって言ってたぞ。」
「…そうですか。」
2人とも、俺は盛り上げ役みたいに思ってるのかな。
俺、そんなつもりでやってない。…じゃあ何役なの?役割は?
「…でも、お前を必要としてたのは一目見てわかった。」
「…え?」
「いつも面白くて意外と頼りになるし、一緒にいて楽しい。と言っていたぞ。」
俺が面白い?頼りになる?楽しい…?そんなはずは…。
俺は小さく相槌を打った。
「…そう、なんですね。」
「お、そろそろ自由時間は終わりだ。俺はあいつらを移動させてくる。」
看守がいなくなり、部屋は静寂に包まれた。
もっとわかんなくなった。自分がイジられ役なのか。何役なのか。
俺たち3人は役割がある。
お嬢はピンチな時よく閃く。あおいちゃんは積極的に探索に行ってくれる。
俺は…俺は、何役なんだろうな。
身代わり役?イジられ役?
結局あの2人は俺をどう思ってるんだろう?
きっとただ駒としか思ってないんだ。
「…疲れたな。」
俺は天井を見つめ、ぼそりと呟いた。