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「な……っ」
混乱する私をよそに、MASTERが口を開いた。
「いいぞ女、そのままその男を殺せ、そしてまた絶望するがいい」
その言葉に背筋が凍る。
咄嗟に、彼女が私に向けてきたナイフを取り上げて地面に落とし、彼女の手を握る。
「…エカテリーナ…っ!あんな言葉に耳を傾けてはダメです……!」
震える声で問うが答えはない。
代わりに耳に届いたのは
「分かりました、MASTER」
エカテリーナの唇から漏れ出た低く乾いた声だった。
いつもの、偉そうで、憎たらしいほどに愛らしい声とは似ても似つかない。
そこには人間味どころか温かみすら感じられない。
完全なる憎悪と敵意だけが籠もった声音だった。
彼女は私を殺す気だ。
確信に近い恐怖が全身を駆け巡る。
「待ってください……私ですよ…エカテリーナ、わかるでしょう…?今まで、ずっと──」
言葉は空虚に響き渡るだけだった。
エカテリーナの表情は虚ろで焦点が合っていない。
かと思えば、腰ポケットから二丁のリボルバーを取り出すと、銃口を私の方へ向けてきた。
トリガーに指が掛けられるのが見え
「エカテリーナ…私の声が聞こえていないのですか…っ」
私はそう訴えかけるが
「……」
「フハハハハッ!無駄なことだ、そいつは私の命令しか聞けなくなったのだよ。私のユニーク魔法、アブソリュード・コマンドによってな」
返ってきたのはMASTERの冷酷無比な一言のみ。
指先に力が込められるのが目に見えたそのとき
エカテリーナのリボルバーが火を吹いた。
私は咄嗟に避けたが、その場で耐え忍んだ。
味方がいなくなった中でも、私は考え続けるしかなかった。
いや、エカテリーナは味方だ。
大事な人間なんだ。
今ここで私が諦めて、倒れるわけにはいかない。
そして何より───操られているとはいえ、彼女を手にかけるなど到底できない。
彼女に危害を与えることなく、できる限りで戦わなければならない。
「……必ず救います。……エカテリーナ」
私が腰の剣を抜くと、エカテリーナは、私の足元目掛けて弾丸を撃ってき
私は逃げ回ることでなんとか回避し、スラムの建物に隠れて息を潜めるが
避けることに必死でうまく彼女を救う方法を見つけ出せない。
「はぁ……はぁっ」
少しでも回避が遅れれば致命傷は避けられない。
ただの力技での勝負なら対等ではあるが…
エカテリーナの威力は、ただの殺戮機のように格段にアップしている。
有効打を与えられる攻撃も見当たらない。
「……どうすればいいんだ」
そうこう考えているうちにエカテリーナに見つかってしまい
エカテリーナに容赦なく背後から建物を狙撃され、私はまた走り出す。