◆ ナチス vs ソ連
北東部戦線。
ナチスは、政府の指令どおりに前線に突入した。
「クソ……またソ連かよ。」
目の前で、巨大な斧を担いだソ連が立ちはだかる。
「よぉ、ナチス。また命令されたのか?オマエってホント哀れだな、命令がなきゃ何もできねぇ。」
ソ連は笑う。だがナチスは、無感情に答える。
「……殺せって言われたから、殺す。」
「命令だけで動くって、ホントおもしれぇよな。自分でやりてぇことはねぇのか?」
ナチスは、一歩だけ前に出る。
「……そんなもん、俺にはねぇ。」
瞬間、銃声とともにナチスが跳び、ソ連の斧が地面を砕いた。
ナチスは、速く、正確で、感情がない。
だからこそ、恐ろしく強い。
だがソ連は笑い続けた。
「なぁ、ナチス。オマエ本当に、ずっと政府の言うことだけ聞く気か?」
ナチスは無表情に弾丸を撃ち込みながら答える。
「……それ以外、俺は何も知らねぇ。」
「つまんねぇな。」
ソ連は、笑いながら斧を振り上げた。
「ま、壊れねぇように加減してやるよ!」
轟音とともに、戦場は再び火を吹いた。
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◆ イギリスとアメリカの密談
「イギリス、最近……動きが変じゃね?」
アメリカは、笑顔を浮かべながらも低い声で尋ねた。
イギリスは静かにティーカップを置く。
「貴殿は、私が命令に背きつつあるとお疑いなのですね?」
「うん。だってお前、ナチスとフランス、放置してんじゃん。普通止めるだろ。」
イギリスは目を閉じて微笑む。
「命令に背くことは悪ですか? 貴殿だって……表と裏、二つの顔をお持ちでしょう。」
「俺?俺はただ……世界を全部、手に入れたいだけさ。」
アメリカは笑った。
「ただし俺は、命令なんかどうでもいい。面白いヤツがいたら、そいつに乗っかるだけだ。」
「……良い趣味をお持ちですね。」
イギリスはティーカップを口に運びながら、静かに言う。
「我々はこれから、“命令”を壊す者たちと、どう付き合うか考える必要がある。」
「ナチスはただの人形だろ?」
「かもしれません。しかし――」
イギリスは、ナチスのデータを見つめながら呟いた。
「彼女の心は、完全に消えてなどいないように見えるのです。」
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◆ フランスと中国の接触
街角で、フランスは中国と肩を並べて歩いていた。
「よっ、中国。ちゃんと休んでる?まあ、あんたが言うこと聞くわけないけど。」
「我は、命令なんかどうでもいいアル。我が動きたい時に、我が動くヨロシ。」
フランスはニヤリと笑う。
「……ねえ、中国。アンタさ。」
「なんアル。」
「私たち、同じだよね。私も、自分のためだけに動いてる。」
中国は少しだけ表情を崩した。
「……我は我ヨロシ。誰のためでもないアル。フランスも……同じか。」
「うん。私たちは、ただの人形じゃない。
それがどれだけ危険でも、私は命令なんかに縛られない。」
「フッ、我もそうアル。……もし、命令で我らを潰しに来た奴がいたら、容赦しないヨロシ。」
「当然だね。」
二人は、わずかに笑い合った。
その刹那――
通信機から、冷たい命令が鳴り響く。
『次任務。フランス、中国、排除対象。全軍、即時攻撃開始。』
「……へえ、なるほど。」
フランスは通信機を踏みつぶした。
「本当に、潰しに来たわけだ。」
中国も剣を構え、ゆっくりと笑った。
「上等アル。やれるもんなら、やってみるヨロシ。」
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物語は、
政府の命令と、
国家たちの「意志」との戦いへと加速していく。