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数千年後――。
カチリ、とガラスのビーカーを置く音が響く。千空が腕を組み、ホワイトボードに数式や波形のデータを書き込んでいた。
千空「つまりだ。石化復活のメカニズムは、単純な薬品の作用だけじゃなく、音や振動も関係してる可能性があるってわけだ。」
クロムが首をかしげる。
クロム「でもよぉ、今までそんな方法で解除できたことあったか?」
ゲン「ねぇ。でも、もし本当に音が関係するなら……玲央の石化は、音で解けるかもしれない。」
ゲンが意味ありげに口元を緩めた。
ゲン「玲央ちゃんって、音楽の人でしょ?戦うときもリズムにノるし、歌いながら戦うんだったよねぇ?」
千空がペンを回しながら続ける。
千空「人間の脳には、特定の音やリズムに共鳴する習性がある。玲央はそれが極端に強かった可能性が高い。石化した状態でも、その”リズム” を覚えているとすれば……」
龍水が腕を組み、ニヤリと笑った。
龍水「フフン、つまり”玲央がノるべき音” を作り出せば、アイツの体がそれに共鳴して目覚めるってわけか?」
クロム「そんなうまくいくもんかねぇ。」
クロムは半信半疑の様子だが、ゲンはすでにワクワクした顔をしていた。
ゲン「いやいや、これは面白いかもしれないよぉ。玲央ちゃんが好きそうな音――たとえば、ロックなビートとか?」
金狼「それなら任せろ!」
金狼が勢いよく立ち上がると、後ろでスイカも目を輝かせた。
スイカ「スイカも!玲央お姉ちゃんが目覚めるなら、お手伝いしたい!」
千空は腕を組み、鋭い目つきでまとめる。
千空「決まりだ。実験するぞ。”ロックの姫”を、ロックの振動で目覚めさせる。」
千空の「実験するぞ」の一言で、科学王国のメンバーが動き出した。
ゲン:「玲央ちゃんの戦闘スタイルって、ロックなリズムが基本だったよねぇ?」
クロム:「でも、具体的にどんなリズムだったんだ?」
コハク:「実際に戦ってるのを見たことがあるのは……誰だ?」
ゲン:「あぁ、それならテレビで見たよ。妙にリズミカルに動いてたねぇ。」
龍水:「フフン、俺もだ。アイツの戦い方はまるでライブのパフォーマンスのようだった。」
千空はホワイトボードにさっと書き込む。
「つまり、ロックのビートがカギだな。玲央が”ノれる音” を作り出せば、脳が反応して復活する可能性が高い。」
スイカ:「でも、どうやって玲央お姉ちゃんの好きなリズムを作るの?」
コハク:「フン、では玲央とやらのリズムを見た事のある奴に再現してもらうしかないな」
龍水が自信満々に頷く。
「ならば、俺がやる。」
クロム:「は!?お前、演奏できんのか?」
龍水:「フフン、ドラムのリズムくらいはな。」
科学王国は、音を鳴らすための装置を準備した。
・ドラムの代わりに大きな木の板と金属を使い、リズムを刻む
・スピーカーの代わりに円筒形の器を組み合わせて音を増幅
・音の共鳴効果を最大限に利用する配置
そして、龍水が即興でロックのビートを叩く!
重いリズムが空気を揺らした。
玲央の石化した体の周りに音が響き渡る。
ゲン:「さぁ、玲央ちゃん……目覚めるかな?」