テラーノベル
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「恥か、死か。」-亡き生徒により行われる28人の恥晒し-✩.*˚
エピローグ「齋藤梨花」
「あいつさー、調子乗ってるよな」
「財閥令嬢だからってなんなんだよ、うざすぎ」
今日もいつものように時は流れる。
「お前、どうせ俺らのこと見下してんだろ?」
「高飛車なお嬢様には、お仕置が必要ですねー!」
「きゃっ…」
バケツ1杯の水が私の体を包む。
私の名前は齋藤梨花。一応齋藤財閥の令嬢で、そのことは一応秘密にしてたはずだった。
「ねぇ知ってるー!?梨花ってー、あの齋藤財閥のお嬢様らしいよ?笑うけるよねー!」
私の日常は、あの一言のせいで、いとも容易く崩れ落ちた。
秘密を隠すなんて、初めから不可能だったのだ。
「おい、話聞けよ!!!!!」
「…!!!!」
今も彼等は私を標的に玩具のように弄ぶ。一目散に教室を飛び出すと、いつものように彼等は追いかけてくる。
「…飛び降りる気か?それもいいな、YouTubeに出したらバズんじゃね!?」
「おぉいいやん!最後までいいネタ提供シてくれるぅ!!」
気づけば着いたのは屋上だった。
今日私は、この世界からいなくなる。
そして、私なりの「復讐(ゲーム)」を、決行する。
足元に、遺書を置いて、足を柵の上に置く。
「ありがとう、お父様、お母様….。」
そして、穏やかな心で空に包まれる。
「私の秘密、もう笑えないからね」
そして、鈍い音とともに、私の意識は途絶えた。
数時間後。
「…これは、遺書?」
「【全ての人々に、いじめがうむ悲劇を教えよう】」
「…梨花がついにやる気になったか、…よし、教えてあげようじゃないの、彼らに”秘密”の重さを。」
__そして今、”犯人探しゲーム”が始まる。
目次
1.「3年A組」
2.「新崎綾菜」
3.「足立胡桃」
4.「佐々木晴明」
5.「渡邉穹」
5.5「ボーナスゲーム」
6.「後藤海斗」
7.「横田胡桃」
8.「橘結愛、昨早翔太」
9.「村木杏和」
9.5「作戦会議」
10.「並木いろは」
11.「山田伊吹」
12.「ルール変更」
13.「ラストゲーム」
13.5「過去」
14「殺害教室」
15「再開」
プロローグ「生存者」
1.「3年A組」
「本当いいクラスだよな…このクラス」
「居心地いいよなぁ、本当」
「後1ヶ月で卒業とか嫌だなぁ…」
浦羽高等学校、3年A組。
俺の毎日は、親友の佐々木晴明や、幼なじみの足立胡桃とじゃれ合う、なんでもない時間で埋まっていた。
傍から見ればしょーもないことかもしれない。でも、俺にとっては、かけがえのない日常だった。
俺の名前は後藤海斗。至って普通の高校生。強いて自信があるとすれば、親譲りの碧眼と、手入れした黒髪くらいか。
足立に少しでも好かれたくて、無意識に体裁を整えてるだけなんだけど。
「…なんか、たけっち遅くない?」
「どうしたんだろうね?笑」
「ヅラの準備で忙しいんじゃない?」
あやな達がキャッキャと笑い、教室が軽い空気に包まれる。
――でも、その楽しさは、この日の最後に全て奪われることを、誰も知らなかった。
「きたきた!」
遥が声を上げると、たけっち――武市先生が、いつもより重そうな足取りで入ってきた。
「なんかあったんですか?」「まさか訃報が出たり!?」「馬鹿な、そんなわけないだろ」
晴明達が声をかけるが、先生は俯いたまま、言葉を絞り出す。
「…そのまさかだ」
クラス全体が、息を殺す。
「えっ…?」
笑い声は一瞬で凍りついた。
「齋藤梨花さんが…亡くなりました。死因は自殺です」
一瞬、誰も信じられなかった。
悠生とそうたはいつも通り盛り上げようとするけど、その笑いも空気に溶け、どこか虚しく響く。
――命なんて、こんなにも軽いのか。
俺の周りの人間は、日常を楽しむ。だけど、命となると、その重みを忘れ、玩具のように扱う。
「ひらっ」
紙が静かに舞った。固まってる足立がいた。
手に握られていたのは――参加者リスト
女子
①足立胡桃 ②木崎佳奈 ③加藤りな
④子熊ゆい ⑥橘結愛 ⑦並木いろは
⑧幅田なお ⑨新崎あやな ⑩村木杏和
⑪柳いずみ ⑫山内りん ⑬横山遥
⑭渡邉ゆな ⑮横田胡桃
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ③佐々木晴明
④佐竹颯馬 ⑤齋藤樹里 ⑥昨早翔太
⑦田中悠生 ⑧時田隆一 ⑨中村莉央
⑩橋本そうた ⑪山田伊吹 ⑫柳沢龍騎
⑬渡邉そら(欠席)
その時、アナウンスが流れる。
「…今から、皆さんにはゲームをしてもらいます」
何のことか分からなかった。けど、この時の俺には、胸の奥から生ぬるい嫌な予感がじわじわ広がっていた。
「うぇーーーーい!!!」
「ゲーム!?スイッチ!?笑」
悠生とそうたが無邪気に騒ぐ。
――その瞬間だった。
「ガシャン」
鉄の衝撃音。耳を切り裂くような音。
視界の隅に、赤黒く染まった物体―悠生とそうたが倒れていた。
生臭さと、吐き気を伴うその光景。目の前がぐるりと回る。
「おい!…廊下に出るべきじゃない!あいつらは、廊下で…!」
晴明の叫びも、空気の震えにかき消される。
――何が起こった?
――何をすれば生き残れる?
脳がパニックでフリーズする中、俺は目の前の弾丸を拾った。
冷たく、重く、そして確かに「死」を知らせるもの。
「今から、”犯人探しゲーム”を始める…」
声は冷たく、無感情。
でも、耳に残る。
――これが、俺たちの「日常」の終わりだった。
教室の空気は重く、息をするのも怖い。
ざわめきの中、俺たちは前に立つ人物に視線を向けた。
――背筋が凍るほど落ち着いた、冷たい声。
「さて…皆さん、これから“犯人探しゲーム”を始めてもらいます」
声の主は、教室に響く静けさに似つかわしい、淡々としたトーンで話す。
「ー恥ずかしいという感情は、時に私たちの命さえ、杜撰に扱わせます」
俺は一瞬、耳を疑った。
「え、何言って…?」
晴明の手が小さく震えているのが見える。胡桃も顔を引きつらせ、じっと声の主を見ている。
「ルールは単純です」
声は変わらず冷静だが、空気は一層重くなる。
「毎朝のHRで、クラスの中から1日1人、“キラー”が指名されます」
「キラー…?」その瞬間、俺たち全員の心臓がわずかに跳ねた。
「キラーは、その日1人、クラスメイトを殺すことができる“殺害権”を得ます」
「前日のキラーは、夕方のHRで当てられなかった場合、翌日の朝のHRで殺害権を行使できます」
一瞬、教室が息を飲む。
「ゲームの時間は、通常の時間割と同じで、1時間目から6時間目までです」
声はゆっくりと、休み時間の説明に移る。
「毎回の休み時間、黒板にはその人が誰にも話していない“絶対に言えない秘密”が映し出されます。ヒントはそれだけです」
そして昼のHRについて説明が続く。
「昼のHRでは、キラーに自主権を与えます。自主した場合、殺害権は無くなりますが、その日は確実に生き残れます」
夕方のHRについても、静かに告げる。
「夕方のHRでは、クラス全員でキラーだと思う人に投票します。そして、最も票を集めた人は処刑台に立ち、床が開き硫酸プールに落ちます」
「夕方のHRが終われば、翌朝までは自由です。衣食住は確保されています」
多目的教室がシャワー室に、布団は美術室に、食事は音楽室に――
冷たく整えられた環境は、安心させるためではなく、俺たちの恐怖を際立たせるための演出のように感じる。
最後に声は低く、重く締めくくる。
「ルールは、ゲームマスターの気まぐれで変更されることがあります。そして、最後の一人になるまで、このゲームは終わりません」
「さらに、このゲームは、全国同時中継されています。」
教室に沈黙が訪れ、全員の鼓動だけが響く。
俺は、自然に背筋を伸ばす。
――もう、逃げられない。
ーーでは、最初のキラーを指名しますので、みなさんは目を閉じてください。
生存者リスト
①足立胡桃 ②木崎佳奈 ③加藤りな
④子熊ゆい ⑥橘結愛 ⑦並木いろは
⑧幅田なお ⑨新崎あやな ⑩村木杏和
⑪柳いずみ ⑫山内りん ⑬横山遥
⑭渡邉ゆな ⑮横田胡桃
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ③佐々木晴明
④佐竹颯馬 ⑤齋藤樹里 ⑥昨早翔太
⑧時田隆一 ⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
⑫柳沢龍騎 ⑬渡邉そら
残り26人
2.「新崎綾菜」
「優しいよね」「みんなに対して穏やかな感じ」「八方美人というか、何考えてるかあんまわかんない」
教室は、昨日の惨劇の余韻で重苦しい空気に包まれていた。
でも、そんな緊張の中で、4人の仲良しグループ――新崎あやな、柳いずみ、山内りん、横山遥――は、いつものようにおしゃべりを続けていた。
「…あー、昨日はまじで怖かったね」
「ねぇ、でもまだ信じられないよ、悠生とそうた…」
そのとき、教室の黒板に文字が浮かび上がった。
『秘密発表①~④』
クラス全員の目が黒板に吸い込まれる。
そこに書かれていたのは――
1. 幼少期、家のペットを何度も殺していたこと
中学校時代、友達の指を骨折させるイタズラを繰り返していたこと
深夜、近所の動物を解体して写真に残していたこと
好きだった男子の血を使った自作の“契約の印”を作っていたこと
ざわめきと吐き気がクラス中を駆け巡る。
「…え、これ…まじ…?」
いずみの手が震え、りんは顔色を失い、遥は肩で小さく息をつく。
誰もが、恐怖と嫌悪で視線を交わす――けれど、まだ、キラーが誰かは誰も知らない。
クラス中に、憶測と疑いが渦巻く。
――翌朝、HRでついにキラーの発表がされる。
「今日のキラーは――新崎あやなです」
教室に凍りつく静寂が落ちる。
「そして最多表も、新崎あやなです。」
そして、誰かが口を開き出す。
「あやなと中学同じだったけど、あいつ後輩虐めて不登校にさせてたよね笑」「違っ…!」
この世界には、誰かの騒ぎに乗って燃料を投下する奴が一人はいる。きっと彼女も、その被害者の一人なのだろう。
「てかさぁ、りんってあやなのこと嫌いって言ってたよね」
「そんな事言ってない…!、私は…!」
「酷い…信じてたのに!!!!」
そして、一度何かを言われてしまえば、元の関係に戻ることは難しくなる。
その流れで、グループの絆は一気に崩壊する。
「あやな…こんなの、ひどすぎる…」
りんの震える声に、あやなの目は涙で滲む。
「…うるさい!だいたいお前らが悪いんだろ…!?」
やがてあやなは、ついに理性を失い、りんを殺してしまう――その瞬間、教室には生々しい悲鳴と血の匂いが充満した。
そして時間切れになり、処刑台から突き落とされる。
「覚えてろ…クソガキどもが!!!!!」
人は、どれだけ優しかったとしても、命がかかれば幾らでも本性を表す、そういう生き物だ。
「うわ…っ、あ、あ、あああああああああ!!」
突如晴明が処刑台の前で叫び出す。
「…ど、どうした?」処刑台に目を配る。
「うっ…!」処刑台の中を覗くと、そこには何も無かった。代わりにあったのは、液体らしきなにかだった。
「まさか…硫酸じゃ、理科の実験で使った時、こんなんだったよな…。」翔太が口に出した瞬間、教室はパニックに陥る。「そっ…そんなわけ」「嫌だ、信じたくない!!」皆口々にそう嘆き始める。
だが、悪夢はそこで終わらない。
いずみは、教卓に置かれたナイフを手に取り始める。
「みんながそんな人だと思わなかった。」
言葉にすると同時に、こっちに突進してきた。
__もしかして殺されるのは俺!?どうして…!
ああ。もうこの距離じゃ逃げられない。
そっと目を瞑り、終わりを待っている。
「あれ」確かに刺さった音がしたのに、痛くない…?
横を見ると、そこにはりん・遥が血まみれで倒れていた。
「あんたらが悪いんだよ、あんたらが…!」
その目つきは、どこかあやなの目と似ていた。
クラスには、恐怖と絶望だけが残された――
残りの人数は、22人。
コメント;「いるよなー友達ゴごっこグループ」
コメント2;「結局自分がかわいいだけ」
コメント3;「でも顔だけは可愛いから許せる」
こんな惨劇も、傍から見ればただの消費物。
どいつもこいつも、命を軽んじる人しかない。
「では、今日のキラーを指名しますので、目を閉じてください。」
今日もまた、悪魔みたいなゲームが始まる。
生存者リスト
①足立胡桃 ②木崎佳奈 ③加藤りな
④子熊ゆい ⑥橘結愛 ⑦並木いろは
⑧幅田なお ⑩村木杏和 ⑪柳いずみ
⑭渡邉ゆな ⑮横田胡桃
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ③佐々木晴明
④佐竹颯馬 ⑤齋藤樹里 ⑥昨早翔太
⑧時田隆一 ⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
⑫柳沢龍騎 ⑬渡邉そら
残り22人
3.「足立胡桃」
「あざといよね」「みんな可愛がりすぎ。」「海斗と胡桃仲良いよね、絶対両思いだよ」
教室に、昨日までとは違う緊張感が漂う。
新ルール――1~3回、ルーレットで決まった回数分人を一日で殺せるシステム――が追加されたと告げられたからだ。
あの後の自由時間、俺は晴明と過ごしていた。そして二人で周囲の様子を伺って、分かったことがある。
一つは、思っていたより過ごし方に倫理観が出てたことだ。
綾菜達の悲劇の後すぐご飯が供給された。
その時のクラスの様子を見てみると、食べようとしない人、嗚咽で食べられなくなってる人、構わず食べてる人…
無理やり口に運んでる人など、食べ方でさえその人の倫理観が大きく表されてた。
俺も、簡単にご飯を食べられてしまった。命を玩具みたいに…なんてほざいてた俺も、同じだったのかもなって、今なら思う。
そして俺は今、足立胡桃、木崎佳奈、加藤りな、子熊ゆいの仲良し4人組を遠目で見つめている。
胡桃の表情は、まだ落ち着いているように見えたけど、どこか張り詰めていて――俺には、心配で仕方なかった。
その日、黒板に映し出された秘密は、この4人の間で胡桃への嫉妬の嵐を巻き起こすものばかりだった。
今日の秘密
1.「胡桃、部活の試合であの点数を取ったとき、みんな無視して拍手したんだよ?」
2.「クラス全員が胡桃に甘いって、誰もが思ってる」
3.「文化祭の演劇の役も、胡桃ばっかり目立つように決められた」
4.「テストの点も…なんであんなに良いの?」
「え…えぐ…」ゆいが震える声を漏らす。
りなも目を伏せて、口を押さえる。
でも、りなの目は明らかに笑っていた。
佳奈は、胡桃の顔を見て微かに眉を寄せた――でも、何も言わない。
昼のHR、佳奈は自主を宣言した。
「…今日のは、私が責任取る」
その言葉と共に、グループの罵詈雑言はさらに過激になる。
「ねぇ、どうして…!?どうして私のことをそんな風に思ってたの!?言ってくれたら直したのに!!!!!」
そう足立が叫ぶと、まるで燃料を得たかのように、さらに佳奈達が足立を袋叩きにする。
「ウザイんだよ、目障り」「調子乗ってさぁ、男に媚び売って、楽しい?」「男も男だよ、見る目ないわぁ」
教室の空気はもはや酸素を飲むのも辛いほどに重く、息が詰まる。でもそれ以上に…
「……私は…そんなつもり…。」
小さく、ぼそっと声にこぼす。
「聞こえなーい」「そういうとこだよ」
足立の意思を潰すかのように、佳奈達が追い打ちをかける。
「そんなに袋叩きにして楽しいか?」
…驚いた。勝手に口から出た言葉は、思ったより冷たく教室に響いた。
「でっ…でも…」「あいつが…」
「袋叩きにすんのは違うだろ、醜い嫉妬だな、」
「…」佳奈達は俯いてバツの悪そうにする。
その時、足立が俺の方を見る「かいと…ありがとう。」
「…別に助けたわけじゃないよ、ただ…俺の信念に元ずいて動いただけ」
「…あっはは!」「な、何がおかしいんだよ」
「素直じゃないなぁ、かいと」「そ、そんなんじゃ…」
ふと周りを見る。…俺は冷や汗がでた。
「ふーん?」「へー、そういう…」
さっきの喧嘩もお構い無しに、ゆいとりながこっちをニヤついた目で見つめる。
「ち、違うから…!」「…笑」「まじで違う!信じて!」
でも正直、この時間がずっと続けばいいのになんて願う俺がいた。でも、そんな夢も叶うはずなく…
――この後のゲームマスターの気まぐれがクラスをさらに混乱させた。
「お昼のキラーは…足立胡桃です」
その瞬間、クラスは一気にざわめく。
「お昼?一人一日キラーなんじゃ…」「二人もキラーが…?」「どういうことだ…?」
そしてアナウンスが流れる
「ルール変更。キラーを今日一日だけ足立胡桃に変更する。」「………。」言葉も出ない…。
非公開ではなく、名指しでの発表。当然――佳奈、りな、ゆい、今まで悪口を言った全員が冷や汗をかく。
そして、翌日のルーレット。
数字は――3。
胡桃は、深く息を吸い込み、血の気が引くほど硬い表情で動いた。
「ね、ねぇ、胡桃?あたしたち友達だやね?」
「ねぇ?うちらズッ友って言ったじゃん…」
烏滸がましい話だ。嫉妬してた癖して、いざ自分の立場が危うくなれば、友達、友達。こんなの、ただのごっこ遊びのようなものだろう。
「嫉妬してたくせに友達とか嘘ばっかだね」
悲しみと裏切りの苦しみ――それが、彼女の手を止めることはなかった。
「待ってよ…!嘘!嘘だから!冗談だ…」
「違う!私はみんなに合わせ…」「…。」
3人の友達――佳奈、りな、ゆい――は次々に命を奪われ、教室には生々しい血の匂いが立ち込める。
「あだ…ち…。」
俺はそれを、ただ遠目で見つめるしかなかった。
胸は張り裂けそうなのに、どうすることもできない。
胡桃の行動の裏にある、常識を超えた“悲しみ”を、俺は痛いほど感じていた。
コメント;「あるある、嫉妬乙」
コメント2;「胡桃?って子可哀想…」
コメント3:「絶対海斗くん胡桃に気あるよね?」
逆に、こんな立場の悪い人を擁護する声もある。
…だからSNSは分からない。SNSだって、いじめをするツールにもなり得るのに。
そして教室に残されたものは、血と絶望――そして、19人の生存者だけだった。
「キラーを決めます。指名するので伏せてください。」
今日も今日とて、無機質な声が響く。
生存者リスト
①足立胡桃 ⑥橘結愛 ⑦並木いろは
⑧幅田なお ⑩村木杏和 ⑪柳いずみ
⑭渡邉ゆな ⑮横田胡桃
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ③佐々木晴明
④佐竹颯馬 ⑤齋藤樹里 ⑥昨早翔太
⑧時田隆一 ⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
⑫柳沢龍騎 ⑬渡邉そら
残り19人
4.「佐々木晴明」
「大人しく見えて、意外と気強いよな」「運動神経結構いいよなぁー羨ましいわ」「海斗とニコイチだよな笑」
教室の空気は、昨日とはまた違った緊張感に包まれていた。
新ルール――「もしキラーがHRで言い当てられたら、そのキラーは即死」――が加わったからだ。
俺はあの一件から、自由時間ずっと足立のそばに居た。
そして決意した。このゲームで、足立を守りたい。
…例え、自分の命を犠牲にしたとしても。
そして、そうこうしている内に次のゲームが始まる。
秘密が暴露される。その瞬間、気づいてしまった。
「中学二年生の時、黒いノートをデ〇ノートと言い張り、嫌いな人の名前を書いていた。」
…あいつの過去の黒歴史の暴露がされた地点で、気づいてしまった。
みんなはその秘密に笑っていたけれど、ただ1人、俺だけは笑えなかった。それは…
「…今日、キラーは晴明だ」そう、気づいてしまったから。心の奥がギュッと締め付けられる。
どう考えても、あいつは胡桃を狙う。
胡桃の周りに漂う怨恨が、晴明を突き動かす。
胡桃が、震えた手で俺の腕を掴む。
「か、かいと…こわいよ…」
俺の心臓は、音が聞こえないほど高鳴っていた。
親友か、好きな人か――選ばなければならない究極の選択。
HRの時間が近づく。
晴明は机に肘をつき、冷たい目で胡桃を見つめる。
彼の内に秘めた怒りと復讐心が、まるで獣のように荒々しく光っていた。
俺は拳を握りしめ、心の中で叫ぶ。
「やめろ、晴明……!」
夕方のHR。
「今日のキラーは――」
俺は息を止め、胸が張り裂けそうになる。
そして、ついに俺は決心した。
「晴明だ…お前だろ?」
瞬間――教室中の視線が俺に集まる。
晴明は、鋭く俺を見つめたまま、少し笑ったように見えた。「…お前は分かると思ってたよ、幸せにな」
――そして、床が開き、晴明はそのまま落ちていく。
「……あ、ああ……」
俺はその光景を目の前で見て、頭が真っ白になった。
胡桃が俺の手をつつみ、震える声で囁く。
「海斗…大丈夫…」「う、うん、大丈夫だよ」
でも、心の奥では、自責の念が渦巻く。
「俺は親友を殺したんだ…間接的だとしても、殺したんだ…」
教室に残る生徒たちの視線、絶望、恐怖――それらが全て、俺の胸を押し潰す。
胡桃の優しさだけが、俺を支えてくれる光だった。
残り18人。
そして、俺の地獄はまだ始まったばかりだった。
「では、キラーを指名しますので伏せてください」
生存者リスト
①足立胡桃 ⑥橘結愛 ⑦並木いろは
⑧幅田なお ⑩村木杏和 ⑪柳いずみ
⑭渡邉ゆな ⑮横田胡桃
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ④佐竹颯馬
⑤齋藤樹里 ⑥昨早翔太 ⑧時田隆一
⑨中村莉央 ⑪山田伊吹 ⑫柳沢龍騎
⑬渡邉そら
残り18人
5.「渡邉穹」
「早く学校来てくんないかなぁー」「穹と会ったことすらねぇわ」「どんなやつなんだろうな」
朝。ゲーム前の自由時間。
「こんなの、絶対おかしいだろ…」
俺は机に突っ伏しながら呟いた。昨日の晴明の件もあって、頭の中がぐちゃぐちゃだ。
その時、教室のドアがゆっくり開いた。
教室の喧騒は一気に鎮まり、全員が一方向に振り返る。
「……そ、そら…!?」
一瞬、クラス中が固まった。
不登校だった渡邉そらが、数ヶ月ぶりに姿を現したのだ。
「なんで今…?」
「タイミング、悪すぎじゃね?」
囁きが飛び交う中、そらはゆっくりと教室を見渡す。
その目には、見えない怒りと冷たい光が宿っていた。
そして、ゲームはそんな状態でもお構い無しに始まる。
黒板には、何時も通り秘密が映し出された。
1.梨花と同じ時期に虐められていた過去
2.家庭環境の複雑さ
3.クラス内で受けた陰湿な嫌がらせの数々
4.他人には絶対に言えない、ある黒歴史
クラスの連中は動揺し、ざわめきが止まらない。
俺は既に想像が着いていた。きっと、キラーはそらだ。
そらの過去の恨みが、確実にこのゲームを狂わせることを、俺は理解していた。
翌朝――
HRで投票が行われるが、キラーは当たらなかった。
そして、無機質な音が流れる
「今回のキラーは、渡邉そらでした」
「…!!!」
その瞬間、教室は静まり返る
ルーレットの数値は3、次の惨劇が始まる。
ターゲットは、そらへのいじめが酷かった三人――龍騎、樹里、颯馬だ。
「おい…!そら、俺ら友達だろ?な?」
「そうだよ!落ち着けって、あはは、はは!」
「なぁ返事しろよ…」
龍騎たちは焦ったように声を震わしながらそらに声をかける。
「虐められた人が、のうのうと生きてていいわけないんだよ」
いつものそらとは思えないくらい、それは冷徹な声だった。
床が開き、無慈悲に彼は落ちていく。
「そ、そら……」
俺は声にならない叫びを上げた。
憎しみと恐怖、そして同情が混ざった複雑な感情が渦巻く。
最後に、そらは静かに教室の窓際に立ち、冷たい微笑みを浮かべ「…そして、虐められる側もこの世界にいちゃいけないんだよ」
そして、自ら命を絶つ。
その表情は、決して悲しみや恐怖ではなく――
復讐と解放の混ざった、静かな確信だった。
残り14人。
俺は、この教室で起こること全てが、さらに狂気へと向かう予感を感じていた。
生存者リスト
①足立胡桃 ⑥橘結愛 ⑦並木いろは
⑧幅田なお ⑩村木杏和 ⑪柳いずみ
⑭渡邉ゆな ⑮横田胡桃
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ⑥昨早翔太
⑧時田隆一 ⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
残り14人
5.5「ボーナスゲーム」
自由時間。突如アナウンスが響く。
「――このクラスで、一番信頼できる人に銃を支給します」
教室中がざわつく中、俺は思わず手を握りしめた。
「……海斗だな」「……お…れ?」
「満場一致だ、間違いない」
クラス全員が俺を指名した瞬間、冷や汗が背中をつたう。
俺は銃を受け取る。手にした瞬間、
アナウンスが追い打ちをかける。
「さて、皆さん。ここで追加ルールです――海斗、君はこの銃で、クラス内から一人を撃たなければなりません」
教室内が凍りつく。
「は、は……?!」
目の前が真っ白になる。誰も俺を責めず、みんな俺を信頼してここに銃を持たせたのに……嘘だ、絶対に嘘だ。
「…話し合いだ、話し合おう」
残った13人で必死に議論が始まる。生き残るためには、誰かを――選ばなきゃいけない。
その時、いずみが俺以外の全員に耳打ちをする。
「…に…して……。」
何をしてるかは分からなかったけど、すごく嫌な予感がした
…時間が経ち、票が集まる。
意外なことに、一番票が集まったのは
……足立胡桃だった。
「あ…あだち……?」
心臓が張り裂けそうになる。
足立を殺すなんて、俺には絶対にできない。頭では分かっている、でも心が拒否する。
「……海斗、決めて!」
いずみの声が響く。圧力のように、俺を追い詰める。
…わかった。きっと、いずみのせいなんだ。
いずみは所謂一軍女子。きっといずみが指示をしたんだ。
気づいたら俺は銃を落として泣いていた。
膝がガクガク震える。
この手で、好きな人を――殺すなんて、俺にはできない。
でも、誰もが納得しなきゃこの場は終わらない。
「……ごめん、みんな……、これしか……」
銃を拾って、視線を彼女に向ける。
選んだのは――いずみだ。
引き金を引く。
いずみが床に崩れ落ち、教室中が凍りつく。
「な、なんで……!?」
「海斗、どうして!?」
周りの声が耳を刺す。
でも、胸の中の葛藤は誰にも見せられない。
涙で視界がぼやける。
好きな人は守る。それだけが、今の俺の全てだった。
クラスは混乱し、俺の心は引き裂かれる。
誰も、俺が足立を好きだなんて知らない――
でも、もう後戻りはできない。
残り13人。
このゲームは、まだ終わらない。
生存者リスト
①足立胡桃 ⑥橘結愛 ⑦並木いろは
⑧幅田なお ⑩村木杏和 ⑭渡邉ゆな
⑮横田胡桃
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ⑥昨早翔太
⑧時田隆一 ⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
残り13人
6.「後藤海斗」
「めっちゃ目綺麗だよね、ハーフなのかな?」「しっかり者に見えて、意外と天然だよね」「この前休み時間に真顔でポテチ貪ってた時はさすがに笑ったよ」
「キラーを発表するので、目を閉じてください」
肩を叩かれた瞬間、心臓が凍りついた……。
――俺だ。今日のキラーは俺、後藤海斗だった。
4時間目の休み時間、黒板に映し出されたのは――俺の秘密だった。
「今回のキラーは、足立胡桃のことが好き」
教室中にざわめきが広がる。目の前の足立は、俺をじっと見ている。
「あ……まさか、海斗……?」
クラス内では憶測が飛び交う。少しずつ、誰もが海斗に疑いを向け始める。
「……もし海斗なら、あの時いずみを撃ったのも納得だよな」
誰かが呟く。ボーナスゲームの一件が、今になって腑に落ちる瞬間だ。
耐えられなくなった俺は、昼のHRで自主を選ぶ。
「……胡桃」
思わず呼びかける。緊張で手が震む。
「海斗……?」
足立の目が、大きく見開かれる。
「俺……俺、胡桃のことが、ずっと好きだった」
言葉に出すと、世界が少しだけ静かになる。教室のざわめきも、遠くに聞こえる。
足立の頬が赤く染まる。
「海斗……わ、私も……」
その言葉に胸が熱くなる。
この瞬間から、俺は足立のことを「胡桃」と呼ぶことに決めた。
そして俺たちは、クラス全員が唖然とする中、付き合い始める。その中で「胡桃ねぇ、笑」「おもんな笑」と雰囲気は悪くなる。
その動揺の中、昨早翔太が二人を庇う。
「……お前らに文句言う奴、俺が潰すからな」
実は翔太と俺は、中学からの付き合いで、3年間同じクラスだった友達なのだ。
この日から、俺、胡桃、翔太の3人で行動することになる。
夕方のHRでは、俺は泣きながらクラス全員に謝罪する。
「……皆、ごめん。俺たち、胡桃と付き合うことに……」
クラスはざわめきを加速させる。その時、翔太が突然立ち上がる。
「なぁ、もういいだろ、いずみ達一軍女子共はもう居ないんだ、正直なこと言っても、誰も何も言わねぇよ」
その瞬間、クラスの雰囲気は糸が解けたように柔らかくなる。
「正直、お似合いだなって思ってた」「胡桃も海斗も優しい人同士だからいいと思う」「一軍女子達が怖くてずっと言えなかった。」皆、徐々に許しの表情へと変わっていく。
コメント1;「きっしょ」
コメント2;「ビビってんの?ww」
コメント3;「現実はこうだよね」
正直、俺もそう思う。
俺もそんなクラスメイトがキモイなと思った。
たかが一軍に怯えて、人を傷つけるって…。
そういう事をするのは、君達の印象も、
みんなの怯えてる「一軍像」と何も変わらないんじゃないかって。
それでも、今はこの状況に甘えることにした。
「では、次のキラーを決めます。」
もう少し、俺もちゃんとみんなのことを見よう。そして、胡桃のことを大切にしよう。そう思えた日だった。
生存者リスト
①足立胡桃 ⑥橘結愛 ⑦並木いろは
⑧幅田なお ⑩村木杏和 ⑭渡邉ゆな
⑮横田胡桃
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ⑥昨早翔太
⑧時田隆一 ⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
残り13人
7.「横田胡桃」
「空気読めないよねー」「顔は可愛いのに、勿体ない」「同じ胡桃なら足立さんの方が百倍いいよ」
その日も、休み時間、いつものように秘密が映される。
黒板に映し出されたのは――衝撃的な秘密だった。
梨花の親友であったこと
梨花のいじめを見て見ぬふりをしていたこと
中学校の頃、いじめっ子を3人殺したこと
今もストレスで動物を殺してしまうこと
教室は騒然とする。
「梨花に接点がある人……?」「誰だ……?」
その時、横田さんが立ち上がった。
「私が、キラーです」
でも、昼のHRじゃないのに……どうして自主しているんだ?「どうして……?」俺が尋ねかけると、横田は震えた声で言った。
「死にたいの……」
「はぁ?どうしてだよ?」
「もう嫌なの……!梨花が死んでからずっと、ひとりぼっちで、みんなからはぶられて……!ずっとずっと虐められて……もう消えたいの!!!」
その叫びは、教室中に重く響き、俺の心に刺さった。
俺は立ち上がり、静かに横田さんに声をかける。
「……わかった、ならせめて、死ぬ前になんでもいいから、黒幕について教えてくれ。正直、俺は梨花が何かやったんじゃないかと思ってるんだ」
「どうしてそう思うんだよ?」
翔太が突っ込むが、俺は無視して横田に尋ねる。
「……そうだよ、このゲームを提案したのは梨花。でもね、計画したのは別の人だよ」
横田は震える手で、俺に梨花の遺書を差し出した。
ようやく、遺書の内容が明らかになる。
――【遺書】――
「私はこの世界が嫌い。だから私のことをいじめたクラスに、あるゲームで復讐しようと思う。それは…“犯人探しゲーム”で。」
その他には、ゲームの細かい説明や注意事項が書かれているだけだった。
そして夕方のHR、横田はつぶやく。
「梨花、私もそっちに行くからね、ごめんね」
言い終えると同時に、処刑台から滑り落ちてゆく。
残されたのは、12人。
「…計画した人、か。」
何となく、ゲームの全貌が見えてきたような気がした。
生存者リスト
①足立胡桃 ⑥橘結愛 ⑦並木いろは
⑧幅田なお ⑩村木杏和 ⑭渡邉ゆな
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ⑥昨早翔太
⑧時田隆一 ⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
残り12人
8.「橘結愛、昨早翔太」
「お似合いだよねー!」「早く付き合って欲しい!」「スポーツ万能と、学年一位とかドラマじゃん!」
前回のゲームで手がかりを得たことで、結愛は俺に声をかけた。「後藤さん、ちょっと話したいことあるんだけど……」
俺は頷き、クラス会議を開くことになった。
目的は、黒幕が誰なのかを推理すること。
その会議中、今日のキラーの秘密が明かされる。
なんと、結愛と付き合ってる人がいることが判明したのだ。
それ以外の秘密は発表されず、その秘密の持ち主は自主して生き残った――昨早翔太だった。
教室は唖然とした空気に包まれる。
結愛と翔太の話題で、クラス中の会話は一色に染まった。
「へぇー!まぁお似合いだよね」「本当に成立してたんだ」
まるでそれは、俺と胡桃の時のような雰囲気で染まってた。
でもまぁ正直、俺は知ってた。
俺が寝てた時…
翔太;「【画像を送信しました】」
翔太;「これ脈アリ!?判定頼んだ!」
かいと;「はぁ?別の人に頼めよ」
翔太;「お前にしかできねぇんだよ!」
こんなしょうもないことで起こされたり…。
デートも翔太に命令されて、俺が無理やり追跡して、
アドバイスまで言ったんだから、当たり前に全部把握してる。
その後、推理の時間が始まる。
村木杏和が立ち上がり、声を震わせながら言った。
「うちらの担任のせいなんじゃ……」
俺は聞き返す。
「…どうして?」
杏和は俯き、小さく呟く。
「だって、梨花ちゃん、先生と……」
「先生と……?」
教室がざわつく。杏和は咄嗟に口をつぐみ、慌てて言った。
「い、いや!なんでもない!」
でも確かに、杏和は何かを知っている――そう感じた。
このゲームは、最終局面に近づいている。
生存者リスト
①足立胡桃 ⑥橘結愛 ⑦並木いろは
⑧幅田なお ⑩村木杏和 ⑭渡邉ゆな
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ⑥昨早翔太
⑧時田隆一 ⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
残り12人
9.「村木杏和」
「結愛に隠れちゃってるけど、頭めっちゃ良いよね!」「髪綺麗だよな、海斗と対決できそう」「まじ顔美人すぎ」
そしてクラスには、キラーの秘密が次々と暴露される。
1.パパ活をしていたこと
2.トー横女子に関わっていたこと
3.OD(オーバードーズ)の過去
4.裏アカでの闇行動
教室はざわめき、誰もが目を逸らせないほどだった。
俺はすぐに気づいた。
「……キラー、お前だろ、どうすんの」
杏和は俯き、小さな声で答えた。
「……みんなに言えないの」
自主せず、HRでも当てられず、今日一人を殺すことになる。
そして――その標的は橘結愛だった。
「…は」クラス全員、言葉も出なかった。
…どうしてだ?折角良い情報も入って、推理が可能な状況に至った。それなのに、どうしてここで優秀な人を殺そうとする?
「核心に近づいたところ悪いけど、私、結愛に恨みがあるの。指定校推薦、奪ったよね?」
「あ、あれは違っ…!」
「私の指定校…結愛にしか言ってなかったのに!!!!」
その言葉で、昨早翔太が我慢できずにナイフを手に飛びかかる。
教室は混乱の渦に包まれ、二人の格闘が始まった。
時間切れのベルが鳴り響く。
結愛は倒れ、血を流しながら絶命。
そしてその直後、翔太が杏和を刺し――杏和は倒れる。
翔太はそのまま口を震わせ、低くつぶやいた。
「俺もそっち行くからな……」
そして自らを刺す。
「翔太!!!!!」
俺も思わず、衝動に駆られて自分を傷つけようとした――
しかし、胡桃が俺の腕を掴み、必死に止める。
「海斗、やめて!耐えられるよ、行かないで!」
その声に、俺は何とか正気を取り戻し、耐えることができた。
コメント1;「メンヘラかよw」
コメント2;「うお、w」
コメント3;「イキってんなー、おもろ」
「…は」…正直、アンチコメを見ても別に俺も何とも思ってなかった。”今までは。”いざ身内にアンチが来ると、こんなに苛つくんだって、こっちの立場になってようやく気づいた。これだから、SNSは嫌いなんだ。
残り9人。クラスは、地獄のような静寂に包まれた。
生存者リスト
①足立胡桃 ⑦並木いろは ⑧幅田なお
⑭渡邉ゆな
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ⑧時田隆一
⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
残り9人
9.5「作戦会議」
自由時間。学年首位の2人を失い、クラスは残った生徒たちで混乱していた。
誰もが口を閉ざし、ただ俺――海斗――に目を向ける。
「……海斗、お前学年3位だろ?推理を頼む」
その声の重さに、俺は耐えきれず、涙をこぼしながら会議を始める。
前回のゲームで失った翔太のことを思い出すと、胸の奥が、まるで刃物で刺されたかのように痛む。
「……みんな、落ち着け、まずは整理しよう」
だが、そんな中、時田が口を開く。
「……実は、梨花をいじめてたの、俺たちなんだ」
続けて伊吹も、震える声で同意する。
「俺も……だ」
俺はその情報を聞き、必死に質問を重ねる。
「どの程度だったんだ?本当は誰と…?」
時田と伊吹から、少しずつ、真実がこぼれ落ちる。
梨花をいじめた張本人たち、そして彼女を追い詰めた日々の具体的な内容が明らかになった。
そして俺は、彼らからもう一つの情報を話す
「実は……梨花と担任、恋人同士なんだ」
「…マジで言ってんのかよ…。」
その言葉で、俺含めクラス全体が凍りつく。
点と点が繋がり、遺書の内容と照らし合わせると――
黒幕は先生だ。そう明確に判明した。
沈黙が教室を包み、俺は息を整えながら、次の一手を考える。
これで、ゲームの黒幕に一歩、確実に迫ったのだ。
「では、伏せてください。」そして今日も地獄は続く。
生存者リスト
①足立胡桃 ⑦並木いろは ⑧幅田なお
⑭渡邉ゆな
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ⑧時田隆一
⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
残り9人
10「並木いろは」
「スタイルいいよな」「超絶美人、高嶺の花だよな」「まじ胸でけぇー。△▽女優みたいだわ笑」
クラスの中で高嶺の花と言われていた、並木いろは。
普段は大人しくて控えめな彼女だが、ゆなと、なお達とだけ関わっている。
しかし、そのいろはの秘密が――想像を絶する形で暴かれることになる。
今回、黒板ではなく電子黒板に映し出されたのは…
彼氏からのリベンジポルノのハメ撮り映像だった。
教室中が凍りつき、ざわめきが一瞬で支配する。
「え……うそ……」誰も声を出せない。
しかし、すぐに中には最低な反応をする者もいた。
時田や中村は目を輝かせ、興奮気味に画面を見つめる。
紫苑は、何かに駆り立てられるようにいろはに襲いかかろうとする。
いろはは耐えきれず、机に顔を伏せて嗚咽を漏らす。
涙で顔もぐちゃぐちゃになり、体を小さく丸めながら震える。
そのとき、山田伊吹が俺に声をかけた。
「おい、これ、クラスでとやかくやっても解決しねえんじゃ…」
俺も悩みながら、どうすればいいか迷っていた。
そんな中、いろはは自ら手を挙げて言った。
「……自主します」
その言葉が響いた瞬間、電子黒板に映っていた映像は静かに消える。そして、今日のキラーは――いろは本人で当たり、床から”静かに”落ちる。
…いろはだけ、落ちた時に水の音がしなかった。
残り8人。教室には静けさが戻るが、生徒たちの胸に残る動揺は簡単には消えそうにない。
違和感を抱えながら、次のゲームへと俺達は進む。
生存者リスト
①足立胡桃 ⑧幅田なお ⑭渡邉ゆな
男子
①安達紫苑 ②後藤海斗 ⑧時田隆一
⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
残り8人
11「山田伊吹」
「気強いけど面白いよな」「仲良くなったら良さがわかるタイプだよな、あれは」「意外と話すと面白いんだよ」
クラスは混乱の中、次の推理に入ろうとしていた。
「先生、今どこにいるんだろう…?」
誰もその答えを知らず、焦燥が教室を覆う。
その時、放送が入る。
『残念、先生は今、国外にいます』
一瞬、クラスは凍りついた。
「え……じゃあ、誰もこのゲーム止められないってこと……?」
呟く声が教室のあちこちで響く。
…そんな中、今日のキラーが発表される。
今回の秘密は、さっきのゲームで話題になった、
「梨花をいじめていた件」のみ。
ヒントがそれしかないため、生徒たちは誰に投票すべきか悩む。
「山田か、時田か…どっちだ?」
結局、俺は勘で時田に入れた。
そして、その間、誰かが行動に移る。
前回、いろはを襲った紫苑を見つけ、低く呟く。
「いろはの報復だ。いろはもこうした方がいいだろ…」
翌日。キラーが発表される
「前回のキラーは山田伊吹でした」
怯える紫苑の目を、たしかに俺は捉えた。
山田は迷わず紫苑を処刑台へ立たせる。
そして、床が開き、紫苑は落下。
教室中に歓声が響く。
「やった!」「これぞ正義!」
生き残り全員が喜び、叫び、山田を英雄扱いした。
時に等しい命は、極限状態になると価値を付け出そうと奮闘する。それは、まさしく今のような状況じゃないかと、俺は思う。
残り7人。ゲームは、終わりへと向かっている。
生存者リスト
①足立胡桃 ⑧幅田なお ⑭渡邉ゆな
男子
②後藤海斗 ⑧時田隆一 ⑨中村莉央
⑪山田伊吹
残り7人
12「ルール変更」
ゲームが始まる直前。教室に、アナウンスが響いた。
『今回のゲームのみ、キラーに選ばれた人は投票で処刑されない場合、誰か一人と共にゲームを抜け出すことが出来ます』
生徒たちはざわつき、ざわめきの中で視線が巡る。
「え、どういうこと…?」
「マジで?誰が抜けられるの?」
その時、今日のキラーが再び明かされる。
2時間目の休み時間、山田はこっそり海斗の肩を叩く。
「海斗、俺がキラーだ…」
そして、震える声で俺は山田に告げる。
「頼む、胡桃を助けてやってくれ。
…俺は真犯人を突き止めるつもりだ」
山田は一瞬息を呑む。
目の前にいるのは、信頼できる人物の証。
そのまま山田は昼のHR、行動に移す。
「胡桃…お前を選ぶ」
山田、いや…半ば俺の意思で、胡桃は安全に救われる。
そして、この日のゲームは、胡桃の救出によって幕を閉じた。
残りの人数は5人――生き残りは本当に、わずかになった。
生存者リスト
⑧幅田なお ⑭渡邉ゆな
男子
②後藤海斗 ⑧時田隆一 ⑨中村莉央
残り5人
13「ラストゲーム」
昼のHR、教室は異様な緊張に包まれていた。
俺――後藤海斗は、再びキラーに指名されていた。
同時に、また秘密が発表される。
「キラーの妹の奏ちゃんが、小学校6年間、梨花と関わりがあった」
その瞬間、海斗の元にスマホが一台支給される。
画面を開くと、生存者全員の連絡先が登録されていた。
海斗は息を整え、立ち上がる。
「俺がキラーだ」
その瞬間、時田が声を張る。
「お前、奏に電話しろ。お前しかもういないんだよ」
海斗はスマホを握り、奏に連絡を入れる。
応答の声から、驚きと緊張が混ざる。
「梨花お姉ちゃんはね、あるひとりの生徒に、この教室の鍵を渡してるんだって!」
その場にいた全員は、一旦海斗に改めて自主させる。
そしてクラス内では、鍵を持つ人物を探す動きが始まる。
だが――その時。
甲高い笑い声が教室に響いた。
「ふふふふふ…」
その声の主は、幅田なお。
そして突然、キラーがなおに変更され、公開される。
電子黒板に映し出された秘密。
「梨花のいじめを起こした最初の主犯」
「このゲームの、計画者」
「梨花の幼なじみ」
全員の視線がなおに注がれる。
そして、なおはナイフを手に取り言い放つ。
「みんなバカだよね、あたしがいろはと関わってるから、大人しいからって疑わなさすぎ…いいよ、鍵を奪えたやつは出ていい。でも――1時間以内に私に刺されなかった人だけね」
教室の空気は、完全に異世界のような恐怖に染まる。
アナウンスも、なおに合わせるかのように再びルールが変更され、ラストゲームがついにスタートした。
14「過去」
教室は静まり返り、なおの狂気と笑い声がまだ残る中、海斗はふと考えた。
どうしてここまでのことが起きたのか――その答えを知るために、過去を振り返る必要があった。
梨花――かつてのクラスメイト。
彼女の家庭環境は、想像以上に辛いものだった。
家庭内では孤立し、時には親からの厳しい言葉で心を抉られ、心の支えはほとんどなかった。
そして、なお――幅田なおの過去もまた、梨花と深く関わっていた。
中学時代、梨花からのいじめを受け続けたなおは、次第に復讐心を募らせていく。
その怒りはやがて、二重人格としての残虐な性格を生み出し、クラスメイトを苦しめる凶行へと変わっていった。
海斗の目の前で、ゆなが必死に説得を試みる。
「なお…お願い、やめて!」
だが、その努力も虚しく、ゆなは刺され倒れ込む。
「ゆな…」その声も、か細く空に消える。
残り時間は30分。
時田がようやくなおを抑え込み、その動きを止めることに成功する。
海斗と中村は問いかけた。
「どうして…どうしてこんなゲームを計画したんだ?」
なおは肩を震わせ、声を絞り出す。
「…私だって、本当はこんなことしたくなかった」
その言葉とともに、梨花の闇が次々と明らかになっていく。
そして、瞬間を見計らい、海斗は鍵を手に立ち上がる。
「今だ!」
中村がすぐそばで支え、二人は教室から脱出することに成功した。
緊張と恐怖が渦巻く中、海斗の心には確かな決意が芽生えていた――
もう二度と、こんな悲劇を繰り返させないと。
生存者リスト
⑧幅田なお
男子
⑧時田隆一
残り2人
15「再会」
教室はまだざわめきと恐怖で満ちていたが、時田はなおを抑える手をそっと緩めた。
「…お前、変わったよな」
なおの目が、一瞬だけ驚きと哀しみで揺れる。
実は二人は幼なじみ。
子どもの頃から一緒に遊び、笑い合った記憶がある。
だが成長とともに、それぞれのグループも変わり、完全に接点は途絶えていた。
それでも心の奥では、ずっと互いに惹かれ合っていた。
だがこの“犯人探しゲーム”によって、
二人の思いはすれ違い
悲劇を呼んでしまったことを理解する。
静寂の中でなおは言った。
「…二人で死のう」
そして処刑台の前で、二人は手を取り合い、落ちていく。
その姿は、誰も止められない運命として、教室に残る生徒たちの心に重く刻まれた。
プロローグ「生存者」
海斗は控え室に迎え入れられた。
そこには、伊吹、胡桃、中村。そして、居なくなったはずのいろはがいた。
生存者リスト【正】
①足立胡桃 ⑦並木いろは
②後藤海斗 ⑨中村莉央 ⑪山田伊吹
「どうしていろはも…」驚きながらも聞いてみる。
「実はこのゲーム、隠しシステムがあったの」
「隠しシステム?」全員は微量の混乱も隠せず口に出す。
「自主した上で投票で最多表だった場合、処刑台の中が硫酸プールからマットに変わってて、生き残れるってシステムだったの。で、あとの時間はモニターでみんなを見てた」
「あぁ…だからか」
最初のゲームのことを思い出す。
「うっ…」綾菜が死んだ時、処刑台の中を覗いた時、確かにざぶん、と音がしてから綾菜は死んだ。
でも、いろはが死んだ時…いや、処刑台から落とされた時は、何も音がしていなかった。
違和感がやっと腑に落ちた気がする。
気づけば薄情だったコメント欄も、暖かいものに変わってた。
コメント1;「よく頑張ったね!!」
コメント2;「かいと達すごかった!」
コメント3;「残った人は本当に強く生きて欲しい」
コメント4;「自分の命大切にしてね」
それに相反するように、残された5人は俯き、
重苦しい空気を漂わせている。
だが海斗は声を震わせながら、一言だけ口にした。
「俺らは、このゲームを忘れちゃいけない。俺らで、いじめの恐ろしさと、このゲームについて、伝え続けなきゃいけないんだ。例え、恥をかき続けたとしても、俺らは伝えなきゃ…」
「…そうだな、俺らは、伝え続けなきゃだな」
「うん、きっと私達だから言えることがあるよ」
胡桃と中村も納得したように頷く。
大切な人が、そばにいる生活は当たり前じゃない――そのことに、改めて気づかされた。
そして、当たり前だけど、命に価値をつけては行けないと、改めてあのゲームに教えられた気がしたんだ。
ありがとう、みんな。
………………………………………、
………………………。
あの日から三年が経ったある日。
俺らは大学生になった。
あの悲劇は後々”齋藤財閥自殺事件”として全てのSNSで多くの反響を寄せ、誰もが知ってる事件になってしまった。
あの事件の後俺らは事件の期間が入試と重なってたのもあり、特別措置として入学試験が無しになった。
代わりに、共通テストの点数のみで合否を判断することになったらしい。
俺はその後青学の経済学部に進学し、
胡桃は俺と同じ大学の教育人間学部に進学した。
そして来年の春から胡桃と晴れて同棲する予定だ。
講義中、俺がこっそりとスマホでニュースを見てると…
「…速報です。三年前の”齋藤財閥自殺事件”をモデルとし、大規模ないじめが高校内で起きた場合、”クラスを教育”をすることを許可する法案が可決されました。」
コメント1;「クラスを教育?何すんの?」
コメント2;「教えてクレ」
…俺には、その意味が分かってしまった。
また、繰り返されてしまうかもしれないのだ。あの惨劇が。
…そして、いじめはどこの学校でも起きている、
これが何を指しているか、賢い君なら分かるはずだ。
次は、貴方の学校がターゲットかもしれない。
もしも貴方が”キラー”になったら、
誰を殺したいですか?
_そして、何の秘密を晒しますか?
END。
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