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「碧ッ!!」
俺がそう叫ぶより早く、碧が赤く染った。
君は自分の首を切った。
まるで何かの映画のワンシーンだ。
もし、これが映画だったら売れないんだろうな。
白昼夢、非現実的な夢を見ているのか。
きっとそうだ、これは、夢なんだ
俺の頭が理解する前に俺はパトカーに乗せられた。
「なぁ、碧はッッ!」
俺は警官に問いかけた。
「なぁ、碧は何処やッ!」
「碧に会わせてやッ!」
俺は何度も、警官に言った。
碧に会わせろと、碧と一緒に居させろと。
でも、警官は決まって
「無理だ、もう一生会えない」
なんて抜かしたことしか言わない。
もう会えない?そんなわけないだろ。
さっきまで一緒に喋ってたんだ。
さっきまで一緒に笑いあってたんだ。
「なんでもう会えないんですか?」
って聞いても
「知らない方がいいこともあるんだ」
ってしか返ってこない。
何処を見渡しても
君がどこにも見つからなくって。
君だけがどこにも居なくって。
俺は警察署に運ばれ、警官と話した。
取り調べ、と言うよりは相談だった。
碧との関係。
碧のこと。
俺の成り行き。
俺の親や友達。
犯した罪。
何から何まで聞かれた。
俺はボーッとしていて何も聞けていない。
ただ、碧との関係は
『友達』
や
『親友』
じゃないことはわかった。
物足りない。
俺と碧との関係は、そんなものじゃない。
『恋人』
が1番正しいだろう。
そして時は過ぎていった。
俺は刑務所から出所し、高校生に戻った。
ただ暑い暑い日が過ぎていった。
俺は里親に引き取られた。
家族ができたんだ。
その人は碧の親戚。
碧の母親の弟の家族。
家族もクラスの奴らも笑ってそこに居た。
あいつらはいるのに、なぜか碧だけがどこにもいない。
あの夏の日を思い出す。
碧が消えたあの日。
俺は今も今でも歌ってる。
碧の大好きだった曲を。
碧が旅の途中、口ずさんでいたあの曲を。
碧が消えた日から ずっと探しているんだ。
碧に言いたいことがあるんだ。
「大好きです。ずっと傍に居て下さい」
って。
9月の終わりにくしゃみして、6月の匂いを繰り返す。
今、夏が終わりかけていた。
去年の9月。君は消えた。
去年の6月。君は虐めっ子の肩を押した。
君の笑顔は、君の無邪気さは、
頭の中を飽和している。
頭の中の碧の笑顔が全く離れない。
頭の中は碧でいっぱいだ。
あの旅の途中、君はこう言った。
「怖いよ」
って。
俺の後ろからハグをしてそう言ったんだ。
俺はいきなり
「ちゅーしよーや」
って言ったんだ。
「何それ。ちゅーってキスじゃないの?」
って君は笑ったあと
「お願い、しよ」
って顔を赤らめて言ったんだ。
そして二人で口を重ねた。
忘れられない、あの記憶。
あれが二人で過ごす最後の夜だったとは。
ずっと、続いて欲しかったな。
なんで、俺を置いて行ったんや、碧。
一緒に逝くって、言ったのに。
なんで、なんで。
俺は涙が止まらなかった。
誰も何も悪くないよ。
碧は何も悪くはないから、もういいよ投げ出してしまおう。
碧は自分を守るための行為だったんだ。
もう全部投げ出そう、そうしたら楽だ。
そう言って欲しかったんだろ?
なぁ?