見慣れた景色も聞こえてくる民の賑やかな声も隣の慕う相手が視界に入るだけで全てがキャンパスの背景でしかなく、目の前のロヴィーノの視線しか目で追うことが出来ずに居た。
響く彼の声色も心地好いがふわふわとまるで夢心地でしかなくて何を言ってるのか正直聞き取れるほどの余裕など無かった。
____当たり前なのだ、だって今自分はこのロヴィーノ・ヴァルガスと夢にまで見たデートをしてるのだ。
何が凄いって、彼がたまたま手に入れたベスパで2人乗りし、運転手は勿論ロヴィーノ・ヴァルガスなのだ。
ふわりと髪から仄かに花の香りが鼻腔を擽り、より一層気持ちは昂るのだ。
「このまま海岸沿いを走るか」
掛けられた言葉に合わせ街並みからいつの間にか景色は海岸に移る。
潮風が顔に当たり視線も自然と海に向かう。
「なぁお兄さま、海岸このまま行きましょう」
「勿論其のつもりだった」
ザザーと波の音が耳に入ると思わず駆け出してしまう。
「はー、やっぱり海は良い」
「んな珍しくもねーだろ?」
裸足で砂浜を歩きながら足を海に浸し座り込む。
貝殻で怪我をしかねないが、砂浜を素足で踏み締める感触がどうしても味わいたかった。
「海に攫われんじゃねーよ?」
「そんな事無いって流石に」
わしゃわしゃと撫でるロヴィーノ・ヴァルガスの手に頭をぐりぐり擦り付け視線を向ける。
「キスしてくんねぇ?おにーさま」
「Si.」
髪に指を絡めチュッとリップ音が聴こえると思わず頬を膨らませて唇を尖らせる。
「唇にしてくんねーの?」
期待してたのによぉとブツブツ呟くと両手が頬を覆い顔を持ち上げられる、真上は暗く視界が塞がれる。
顔で覆われてる暗さは視界と視界がぶつかりそうになる寸前自身の緊張のせいで暗転したせいだ。
唇同士が触れ合う、吐息の熱さに頬も熱くなる。
ロヴィーノの首に両手を伸ばして絡め「もっと」と強請れば口内と口内が絡まり合う舌と舌の触れ合う、粘着した水音も波の音に混ざる。
興奮でこのまますんのも良くねぇと強引に理性のあるうちにと離れようとする緑の瞳が揺れるのを見えると、ふと目を細め笑う赤い瞳のギルベルトは「今日、楽しみにしてますからね」と煽情的に唇を再び重ねたかと思えば身体はいつの間にか半身波に呑まれていた。
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