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「なぁんでこんな格好しなきゃなんねぇんだよ巫山戯んなこんちくしょう」
ド低い声で半ば呆れながら無理やり着せられたメイド服姿でドカっと椅子の背もたれを前に足を開きながら座り込むロヴィーノはジトッと企画主の本田菊に怨み混じりの視線を送った。
「恐れ入ります」
カシャカシャとシャッターを切る音は忙しなく自分だけでは無くこの企画の参加者は皆、可哀想なことに体格にもギリギリなパツパツの人も居るメイド服。哀れなり、そのうち弾けるのではないかとハラハラするほどの窮屈さが筋肉に食い込む姿も見受けられる。
「Noooo!!なんでこんなギリギリの服しか無いんだい!?俺もルートヴィッヒもイヴァンもピチピチキツキツじゃないかぁ!!」
嘆きを叫ぶアルフレッドは今にも敗れそうだと言わんばかりに身動きの取りにくそうな窮屈さにあざとくうるうると涙を浮かべ非難を訴える。
だが、何故か俺の恋人様は少し窮屈そうにしてるメイド服すらしっかり着こなし、椅子に片足を乗せながらケセケセ笑い渾身のドヤ顔でコチラを見ながら「俺様の勇姿を見ろ」と言いたげでなんとも男らしい。
「これを萌えろっての無理だろ、男らしすぎるっつーの」
「なんでですか!?」
少し悔しそうに言うギルベルトは慌てて項垂れたロヴィーノの傍に向かう。
「え、俺様せっかく決め込んだのにダメですか!?」
「メイドなんだろ?もっとかしこまれよ」
余裕の顔と明らかに上からにしか見えない様子があまりに残念なこの男にはぁとため息をつくと「だって、そんなしおらしい俺様を他のやつに見せたらお兄さま拗ねるだろ」とブツブツ呟いてくる。
当たり前なのだ。
そもそも自分以外の人に女装を見せるのはどうかと思うと言いたげに再びジト目を向けてしまうと「ンな目線向けられたら俺様だってお兄さまの多種多様な姿は独り占めしたかったわけで」という言葉を耳にしてしまい、男らしい様子とのギャップにまんまと萌えてしまう自分が居ることに1本取られたなと認めざる得ない気持ちになる。
「くそ…めちゃくちゃがに股なのに」
ハァと溜息付きながらも企画が早く終わる事を切に願うしかないのであった。