Ciao.iоは王華なんね。伊華の姉で今は旧国となったイタ王様のドールなんね。
ピッツァを作りながらなんでこんな自己紹介を心の中でしてるんね?なんて考えながら、作業を続けるんね。
今日は伊華の彼氏兼彼女の独華がお泊まりに来てるから、丹精込めて作るんね。勿論作るのは伊華の好きなマルゲリータなんね。
ピッツァの生地を捏ねてると伊華と独華の居るリビングの方からの声が聞こえてきたんね。
「懐かしいんね」
この声は、伊華なんね。もしかして、iоが後で見ようと思って出した伊華のアルバムを見てるんね?待って、あれには昔のiоも載ってた気がするんね。でも、伊華達の空間を邪魔したくは無いんね。
「はぁ~。仕方ないんね。気づかないことを祈るだけなんね」
そう言って、又、作業に戻ったんね。
「姉さんの必死の訴えにはちょっと困っちゃうんね。でも、これがioの日常でもあるんね」
ん?独り言なんね?自分の昔の事を頭だけで考えてるつもりなんだろうけど、声に出てるんね。いや、待てよ、独華の声がしないんね。もしかして、独華は寝てて、それだから平気だりうと思って、独華に自分の過去話をしてるんね?
「ほんと、可愛いんね」
iоはそうつぶやきちょっとだけ、本当にちょっとだけ伊華達の居るリビングを覗いてみたんね。
独華は伊華のに膝枕してもらって寝てたんね。伊華はアルバムを一ページ、又、一ページとめくって思い出を語ってたんね。
そんな光景を微笑ましく見てたら、独華と目が合ったんね。
シトリンみたいなレモン色の瞳が此方を見据えて、ニヤッと独華は笑ったんね。この笑顔はまるで、「内緒にしてくれよな」なんて言ってるみたいだったんね。
苦笑いを浮かべながらiоは静かに頷いて、キッチンに戻ったんね。