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#ご本人様には関係ありません
楪羽*yuzuriha*
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#ご本人様には一切関係ありません
#ご本人様とは一切関係ありません
KamassKRRR (くらリ
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事務所のコントロールルームで作業をしていた阿部は、休憩する為に給湯室へ向かおうとしてドアを開けた。
🧡「ちょお、待ってーな!」
向井の声が聞こえてそちらを見ると、何かが勢いよく向かって来ているのが分かって、目をぱちくりさせる。
💚「え……?」
それは阿部の胸に飛び込んで来て、肩にガッシリ掴まっているので優しく撫でた。
🧡「阿部ちゃん。助かったわー」
💚「えっと、どういう状況?」
阿部の肩に掴まっているのは、大きな耳とふさふさのしっぽが特徴のフェネック。
🧡「なんかな、《星晶-せいしょう-》持ちやから保護したはいいけど誰にも懐かんし逃げてまうんやって。それだけならまだしも、ご飯も食べんくなって、水も飲まんくなった。このままだと危険やから、ふーちゃんとなら仲良くなれるやろって依頼が来たん。で、カフェで受け取ったんやけどすぐ逃げてもうて……」
💚「で、これ? 全然、逃げないけど」
🧡「なんでやろ。阿部ちゃんやったら平気なんかな?」
💚「さあ? とりあえず、おいで。そんなにしがみついてたらキミも疲れちゃうよ」
撫でながらそう言うと、フェネックはもぞもぞと降りてきて、阿部の腕で丸くなってすっぽりと収まった。
🧡「さっすが阿部ちゃん。やっぱ優しい人はわかんねんな」
💚「ええー? 康二だって優しいじゃん」
🧡「俺は怖いって方が勝ってまうねん。人と違って、どう接していいか分からんし。阿部ちゃんはいっつも穏やかで、安心するんやね」
💚「そうだといいけど。てか、人に慣れてない訳じゃなさそうだね」
🧡「確かに。みんな怖がりすぎなんかな? それか、別の感情が混じっとるせい?」
💚「うーん。どうなんだろ。ちなみに、この子の異能は?」
🧡「予知能力やねんて。《星詠み》いうらしい。特にこの子は大規模な災害を予知できるらしくてな、国で保護することになったんやと」
腕の中にいる異能フェネックの額には八芒星のような模様があり、その中心には菱形の紅い宝石が埋め込まれている。異能力を持った動物はどこかにその印が模様となる《異能紋》が出現する。
前に公園で暴れていた異能アムールヒョウも、模様の一部が剣のようになっていた。
更に異能力の源であるマテリアが強かったり、異能がもたらす影響が強い動物になると、異能の結晶である、《星晶》と呼ばれる結晶も異能紋の上に現れる。
💚「星晶持ちなら、国の保護対象だね。星晶保護機構にいるのが安全だとは思う」
ピクリと、異能フェネックの耳が動く。
💚「あ、大丈夫だよ。今すぐ連れて行くとかって訳じゃないから。逃げ出すのには理由があるんだよね? 平気になるまで、ここにいていいからね」
頭を優しく撫でると、異能フェネックは目を閉じて寝始めた。
その様子を見て、阿部も向井もホッと胸を撫でおろす。
💚「結構、敏感に反応するね」
🧡「なんかあったんやろか」
💚「調べたいのは山々なんだけど……この状況で電脳空間に行くのは、やめた方がいいよね、きっと」
🧡「せやね。あれ、今日留守番は?」
💚「今日はね、みんな予定入っちゃったから電脳空間には行かなかったんだよ。えっと、ラウとふっかが休みで、照とめめが奇妙なものが映るっていう現象の調査に行ってて、佐久間と舘様と翔太は幻覚が見える池に調べに行ってるね」
🧡「俺が調べたいとこやけど、カフェ閉めるわけにもいかんしな」
💚「スノードロップも、困ってる人が来たりいろんな異能関連の話が聞けたりするから、開けれる時は、康二はそっちにいた方がいいよ」
🧡「ちょっとふっかさんに相談してみるわ。阿部ちゃんとこの子だけにするのも心配やし」
そう言って向井は電話をかけ始めた。
およそ1時間後。
深澤とラウールが来たので入れ違うように向井は下のカフェに降りていった。
💚「ふっか、ラウ。休日なのに呼び出してごめんね」
🤍「いいんだよー。今日は特に予定なかったし」
💜「その子が例の?」
💚「そう。星詠みの異能と星晶持ちのフェネック」
🤍「わぁ、かわいいね。フェネックって初めて見たかも」
💚「日本に元々いる子じゃないからね」
💜「あれでも、預かった理由って、人馴れしてなくて逃げ回るからじゃなかったっけ? 阿部ちゃん普通に抱っこしてんじゃん」
💚「康二のとこから逃げ出して、気付いたら俺にしがみついてたんだよ。理由は分かんない」
🤍「おいでー」
ラウールが腰をかがめて両手を出すと、さっと阿部の肩によじのぼって首に巻き付くように隠れてしまった。
🤍「あらら」
💚「こんな感じで、俺から離れないんだよ」
💜「花の妖精に続いて、異能獣にも好かれたか。そういや、別荘近くの森でも動物だらけだったしね」
💚「あれは俺のせいじゃないって」
💜「で、電脳空間に行けない阿部ちゃんの代わりに、保護施設で何があったか聞いてきたらいいんだよね」
💚「うん。なんか話題に出すと嫌がってて。お願いできる?」
💜「しょーがないからねー。じゃあ、阿部ちゃんとラウはここで待ってて。阿部ちゃんまともに動けないだろうから、ラウ、いろいろよろしくねー」
🤍「おっけー!」
そう言って事務所を出た深澤は先ず、岩本に電話をすることにした。
数コールですぐに出てくれる。
💜「あ、照? 今、どんな感じ?」
💛『ん? どんなって、今、映ったっていうガードミラー調べてるとこ。近くに木があるから、めめが記憶辿ってる。ってか、ふっか今日休みだろ』
💜「ちょっと事情が変わってさー」
💛『事情? なんかあった? あ。めめ、終わった?』
🖤『はい。確かに映ってましたけど、速くて何かは分からなかったです。でも、ミラーの前にはそれを目撃した人以外は何もなかったです』
💛『それ、さっきんとこのショーウィンドウと一緒だな』
🖤『ですね』
💛『で、こっちは今二ヵ所目だけど、なに?』
💜「ちょっと別の調べごとしたいんだけどさ。手伝ってくんない?」
💛『お前、今こっち依頼中なんだけど?』
💜「阿部ちゃんの為って言っても、ダメ?」
🖤『えっ。行きます』
💛『おい』
💜「だよねー。じゃあ、星晶保護機構前に集合ね。なるべく早めに来てねー」
そう言って通話を切ると、肩に乗っていたふーちゃんに大きくなってもらい、その背中に乗ると星晶保護機構に向かって飛び立った。
深澤がそこに着いてから30分ほど後に到着した岩本と目黒。今日は、岩本と目黒が車を使っていたようで、停めてすぐにこちらに駆けて来る。
💛「ふっか。めめに阿部の名前出すとか、反則だろ。絶対そっち優先するじゃん」
💜「ごめんごめん。でもホントの事だしさ」
🖤「阿部ちゃん、何かあったんですか?」
💜「今ね、ここで保護してた異能フェネックに気に入られて動けないんだよ」
💛「……それだけ?」
💜「それだけ」
はあああーと、岩本が深いため息をつきながら地面にしゃがみ込んだ。
💛「お前それ、依頼より優先させることか?」
💜「でもその子、阿部ちゃんにべったりで絶対離れないんだよ。ここで保護してたけど、懐かないし逃げ回るからって、ふーちゃんのいるうちに連れて来られたらしいんだけどね」
🖤「懐かないのに、阿部ちゃんにべったり、ですか?」
💜「そう。だから、何があったのか確認しに来たわけ」
💛「それ、ふっか一人でもできるじゃん」
💜「まあまあ、細かいことは置いといて。一緒に行こうよー。ね。一人だと何か見落とすかもしれないしさ」
お願い、と手を合わせて頭を下げる深澤に、岩本はもう一度大きく息を吐いた。
💛「タピオカ奢れよ」
💜「終わったらすぐ! 献上いたします!」
💛「しょうがないから付き合ってやるよ」
🖤「じゃあ、行きましょうか」
阿部にかかわる事だからか誰よりも先に歩き始める目黒に、深澤と岩本は顔を見合わせて笑ってしまった。
特務調査局の者である事を告げると中に通してくれて、エントランスで待っていれば白衣を着た女性がこちらに来た。
「お待たせしました。星晶保護機構で観護官をしています、小柳です。あのフェネックを担当していました」
💜「うちに預けられる事になった経緯を、詳しく聞かせてもらっていいでしょうか? 簡単な説明しかなかったので」
「ああ、それは失礼しました。歩きながらお話しますね。どうぞ、こちらへ」
案内されるままに施設内に足を踏み入れる。近未来的な自動扉を潜り抜けた先は、天井まで伸びるガラス張りの広い区画がいくつもあり、その中には森や川辺や海底など、様々な環境が整えられている。その中には動物たちの姿があった。
一区画でおよそ十畳くらいだろうか。
「ご存知の通り、星晶保護機構では、星晶が発現した動物の保護と研究を行っている施設です。研究といっても、能力値を計測したり、異能の発動条件を確かめたり、何をどのくらいできるのかを知る為のものです。異能獣の中でも星晶の発現は稀ですから、私達も慎重に対応しています」
💜「そうでしょうね」
「あのフェネックは動物公園で飼育されていた子で、夜中に突然鳴いたと思ったら、もう額に異能紋と星晶が出現していたそうです」
💜「星詠みだと分かったのは、こちらに来てから?」
「そうですね。分析していて、予知系統の異能までは分かったのですが、決定打は、その子が星晶を発現した後に、その子のいた動物公園が大規模な火災に見舞われたのです。けれど何故か、被害の大きかった箇所の檻が開いていて動物たちに被害はありませんでした。きっと、そのフェネックが予知をして逃がしたのでしょう」
💜「なるほど。予知した上で回避もできる、と」
「ええ。それで、すぐに保護することになったんです。異能獣ハンターに狙われたら大変ですから」
🖤「異能獣ハンターって?」
💜「あれ、めめ知らない? 異能力を発現した動物を狩って売りさばいてる連中。その中でも、《星喰み-ほしはみ-》って呼ばれる星晶持ちだけを狙うハンターもいるらしい」
「ここは厳重な警戒をしているので安全なのです。あのフェネックも最初はとても大人しかったんですよ? でも、一週間ほど前から急に、職員に噛みついたり引っかいたり、あの手この手で脱走しようとして、食事も摂らず、水すら飲まなくなってしまい……このままでは命にかかわるので、異能烏のいる特務調査局にお預けして、人に慣れるようにしてもらいたかったんです」
💜「ふーちゃんになら、心を開いてくれるかも、と?」
「そうです。あの子、何か変化、ありました?」
💜「変化、といいますか……うちのメンバーの一人にべったりくっついて離れなくて」
「あら、そうなんですか! では、近いうちに引き取れそうですね」
💜「それはどうか分かりませんけど……あの、フェネックのご飯って貰えたりします? 預かるにしても、何をどうあげていいか分からなくて」
「あ! それは失礼しました。すぐに準備するので、こちらで少々お待ちください」
頭を下げて小柳は小走りで行ってしまい、待っていてと言われれば勝手に動き回ることもできず、その場で待機することにする。
💜「どう? 何か思うとこあった?」
💛「うわ、雑な聞き方すんなよ。とりあえず、あの人の言葉に嘘はなさそう。変なことされて嫌だったとか、実験体のように扱われたから、みたいなのは除外していいんじゃねーの?」
🖤「俺もそう思います。蔓に探ってもらったけど、おかしなところはなさそう。ただ、一度だけ誰かの視線を感じました」
💜「視線?」
🖤「はい。あれはあまりいい感情じゃなかったと思う。殺気みたいなのが飛んできたので。ただ、ここには職員が結構いるので、誰かはわかりませんでしたけど」
💜「なるほど。何もないわけじゃないかもしれないってレベルか」
🖤「ですね。それが何に対するものかわかんないし」
💜「じゃあ今、分かるのはそのくらいかな。フェネックのご飯もらったら帰ろっか」
一週間分の専用のフードをもらうと、事務所に戻った。
💜「戻ったよー」
🤍「おかえりー」
ソファでくつろいでいるラウールが手を振りながらそう言っていて、深澤もタピオカドリンクを飲んでいる岩本も目黒も、あれ?と思った。
そこにはラウールしかいなかったから。
💜「阿部ちゃんとフェネックは?」
🤍「休憩室だよ。ずっと抱っこしてて疲れちゃって寝てるから、見るなら静かにね」
シーッと口に人差し指を当てるラウール。
開けないでね、と言わない辺り何かあるのかと、そーっと休憩室のドアを開けた。
ベッドの上で腕を枕にして横向きで眠る阿部と、その阿部の胸に寄り添うように丸くなって眠っている異能フェネックの姿があり、納得した。
これは、見ておくべき光景だろうと。
それからそーっとドアを閉めて、応接間のソファに集まる。
🤍「可愛かったでしょー」
💜「マジ天使だったね」
🖤「あ。写真撮っておけば良かった」
🤍「さっき康二くんが来て、消音カメラで結構撮ってたよ」
🖤「後でデータもらっとこ」
💛「その写真、カフェに飾られそうだな」
💜「いい感じに仕上げて飾るんじゃない? よーく見ると実は、阿部ちゃんの写真ばっかなんだよね」
🖤「あー、よく撮ってるイメージある。阿部ちゃんもノリノリで撮られてるし、背が高くて線が細いから映えるんだと思う」
🤍「どれも顔は分かんないような写真にしてるけど、写真目当てのお客さんもいるみたいだよ。結構褒められるって、康二くん嬉しそうだった」
コーヒーも好きだが、写真を撮る事も好きな向井は、本格的なカメラを持っており、休日にはよく写真を撮りに行っている。
風景写真も多いけれど、阿部を被写体にしているのを結構な頻度で皆が目撃していた。
🤍「で、調べてどうだったの?」
💛「結局、これといったものはなかった。普通に良い施設だったよ」
🤍「ふーん。じゃあ、何で逃げようとしたのか分かんないんだ」
💜「そうなるね。とりあえず、このまま様子見かなー。たださ、国の保護対象を自宅に連れてくわけにもいかないから、阿部ちゃんは暫くここに寝泊まりしてもらうしかないね」
💛「じゃあ、俺ついてるわ。三階のベッドルームなら、いくつかベッドあるし、阿部とフェネックだけってのも良くないだろ」
🤍「今日、僕が見てる限り一回も離れてないからね。僕に敵意はなさそうだけど、絶対に離れないんだよ。トイレ行くの凄く困ってた」
💜「うーん。常に一緒に行動してもらうしかない、か」
そうしていると、事務所のドアが開いた。
🩷「たっだいまー!」
元気な佐久間の声が聞こえた瞬間、目黒、岩本、ラウール、深澤の四人が一斉に、シーッと口に人差し指を当てて、思わず佐久間がたじろいだ。
🩷「ご、ごめん……え、なに?」
佐久間、宮舘、渡辺の江戸川組も促されて休憩室を覗き込み、納得すると同時にほんわかとした気持ちになって応接間に戻って来た。
それから経緯を説明し、異能フェネックと星晶保護機構のことを調べている最中だと告げる。
💜「そっちの報告も聞いていい?」
💙「幻覚が見える池、俺らが見ても特に何の変化もなかった」
❤️「聞き込みをしてみたんだけど、みんな曖昧だったね。見えるっていう話を聞いた、とか、そんな事を彼女が言っていた、とか」
💜「ハッキリとした証言はなかった?」
🩷「そ。公園の管理者からの依頼なんだけど、その管理者すら見たことないんだよねー。ただ、その周辺で猫が目撃されるようになってる」
💛「猫?」
🩷「野良猫はよく見かけるからみんなスルーしてたんだけど、子どもがね、変わった模様の猫を見たって。三毛猫で、顔が仮面をしてるような感じで黒と白に分かれてたって言ってたよ」
🖤「あ。その猫、俺も見ました。例のガードミラーと、ショーウィンドウの近く。猫なんて珍しくないから気にしてなかったけど」
🩷「やっぱそうなるよねー。いても、あ、猫だって思うくらいで」
💜「その猫に絞って調査した方がいいかもね。異能猫の可能性が高い」
❤️「じゃあ、能力は幻覚か幻視?」
💛「それ系の異能だと思ってた方がいいだろうな。フェネックは阿部に任せて、明日から猫の調査と捜索。事務所には交代で残るか」
🤍「じゃあ僕、幻覚にも対応できるように眼鏡の改造してくるね」
🩷「今のままでも分析とかできるんでしょ?」
🤍「異能の痕跡とかならいけるけど、幻覚はまた別物なんだよ。本質を見抜かなきゃ、僕らだって翻弄されちゃう」
説明をされるけれど、それがどう違うのかはイマイチ理解ができていないのが表情から分かるので、ラウールはそれ以上の事は言わずにコントロールルームへと入って行った。
休憩室に足を踏み入れた岩本。静かに阿部に近づいていくと、突然飛び起きたフェネックが背中を丸めて身を低くした。全身の毛が逆立ち、大きく開けた口は牙をむき出しにし、目が細められている。
完全に威嚇されていて、岩本は両手を上げた。
💛「大丈夫、俺は何もしないよ。阿部は大事な仲間だから。ちょっと様子見に来ただけ。少しなら近寄ってもいい?」
優しく訊ねると異能フェネックの表情が和らぎ、警戒心は消えていないものの威嚇ではなくなったことで岩本は、阿部が寝ているのとは反対側に回り込んでベッドの端に座った。
💛「なんでお前が阿部のこと気に入ったのか分かんないけど、阿部といると安心するだろ。ちょうどいい距離感っていうのかな。近すぎず、遠すぎず、会話とかなくてもずっと一緒にいられる。そういうのってさ、心地いいんだよな」
そう言うと、異能フェネックは体を丸めて寝転がる。
害意がないと伝わったのだろうか。
💛「それに阿部も、お前がいるからかすっげー寝てるし。阿部がこうやって休むの、珍しいんだよ。お前のおかげかな。ありがと」
そっと手を伸ばしてみたけれど、異能フェネックは動かなかったので頭を撫でてみる。嫌がる素振りなどなく撫でられているので、やはり人が嫌いとかそういう類ではなさそうだ。最初に威嚇されたのは恐らく、眠る阿部に近づいたからだろう。
💛「お前は、阿部を守ってるのか?」
瞬間、弾かれるように異能フェネックが岩本を見、目が合った。夜空を思わせるような藍色の瞳には、星が鏤められているような虹彩がキラキラと輝いているようだ。
そうだと、言っているような気がした。
💛「そっか。きっと、何かあるんだろうな」
もう一度、異能フェネックの頭を撫でてから立ち上がり、部屋を出て行った。
すでに時刻は17時を回っている。
💜「阿部ちゃん、まだ寝てるの?」
事務所に残っているのは、深澤と岩本と宮舘だけ。
💛「全然、起きねえわ」
❤️「珍しいね、阿部がそんなに寝るの」
💜「基本、8時間は寝てるけど、昼寝でこんなに寝てるのは初めて見るかもね。フェネックに変わった様子は?」
💛「なかったけど。あいつ、近くで見たら目、すっげー綺麗だった。満天の星空みたいな」
❤️「星詠みだからかな? 通常のフェネックの目の色じゃないよね」
💜「確かに」
💛「あと、あいつ、人間が嫌ってわけじゃなさそうだった。最初めっちゃ威嚇されたんだけど、阿部の敵じゃないよって言ったら撫でさせてくれたし。何より、阿部を守ってるのかって聞いたら、目が合ったんだよ」
💜「阿部ちゃんを守るために来た? え、でもそんな事ある? だって初対面だよ?」
💛「そこなんだよな。前の、花の妖精みたいに助けたとか、優しくしたとかなら分かるけど」
❤️「それに、阿部を守る理由って何? 星詠みって、大規模な災害とかを予知するわけでしょ? 阿部だけが巻き込まれるってこと?」
💜「阿部ちゃんが一人になるのなんて、家くらい? でも、康二も同じ地域に住んでるし、地震とかなら阿部ちゃんだけにはならないよね」
💛「最初の火災は、他の動物みんな逃がしたって話だったろ。地震とか津波とか、そういう規模で阿部だけ守るのは不自然だろ」
💜「確かにね。まあでも、どっちみち阿部ちゃんに危険があるとしても、ここでフェネックと一緒にいてもらえば大丈夫じゃない? 他のメンバーは何ともないなら、一緒にいればいいってことだしさ」
そこで話はまとまり、それぞれやるべき事をやりつつ、岩本以外が帰宅する事になった。
その日、阿部が起きて来ることはなく、岩本はキャンプ用のシュラフ(寝袋)を持ってきて阿部のベッドの横に敷いて眠ることにした。
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