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サイド ??
私はキノと一緒にメモを片手に遊歩道を歩いていた。
一歩調査が進んだというのに、キノは全然嬉しそうにしない。そんな様子が拠点を出てからずっと続いてる。
「ね、ねぇキノ。もしかして、具合でも悪い?大丈夫?」
私がオドオドしていると、キノはゆっくりと歩みを止めた。それに合わせて私も歩くのをやめる。
「……タエじゃないくせに、タエのふりなんてするなよ」
え……?言ってる意味が……。
「俺は!みんなより忘れっぽい!けどな、仲間の特徴まで忘れるほど馬鹿じゃねぇ!!」
わ………か…………。
「タエは、極度の人見知りだ。そんなタエが初対面のアミに『しっかりしてる』なんていうわけねぇんだよ!それに、タエはマオの事情を知っている!だから、アミの言葉で息を呑むわけがないんだ!」
…………。
「本物のタエは?!てめぇは一体誰なんだよ?!!」
バッとキノは“俺”の胸ぐらを掴んだ。
『きっと、ううん、絶対みんな気付いてくれるって信じてるから』
本当にあの子の言う通りだった。
「っ……ふふっ、アハハハッ!!」
「!!」
キノ、いや、団長が目を見開く。一瞬だけ、団長の手が緩む。それを見逃さず、俺は団長から距離を取った。
「あーあ、やめてよ。こっちは喧嘩しに来た訳じゃないんだから」
タエの声色のままで、俺は言う。モンダイジ団のトレードマークともいえる水色の帽子をとって。……あー、まだタエを演じていた方がいいのかな?
「っ……タエの姿で、声で、そんなこと言うな!」
「ま、俺?私?もあんたたちと同じ訳ありなんだよね。別に、あんたたちの活動は邪魔する気ないから」
ふわりと、あの子の水色のワンピースと黒髪をアピールするように回ってみせた。
「事情は後で話すね!それまで見張りでもなんでもしていいからさ!」
「ふざっ……!」
『分かった。それでいい』
いつから聞いていたのか、スマホ越しからマオの声が団長の言葉を遮った。
『そのかわり、タエは無事なんだろうな?』
冷静に聞こえる静かな声。そこから滲み出る怒りが鋭く俺の耳に入る。
「もち。入れ替わりを提案したのはこの子だしね」
さて、と。ばれちゃったし、一旦引こうかな。いろいろ考えたいこともあるし、あの子をこれ以上一人にする訳にもいけないしなぁ。
あ、でも一つだけ。団長に言いたいことがあるんだった。
「この子の気持ち、気付いてあげなよ?」
「???」
俺は団長にそういい、微笑んでみせた。
これは、俺からのアドバイス。
「それじゃあ」