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サイド マオ
俺はキノと一言、二言話して通話を終えた。
「キノは遅くなるらしい。先に会議を始めるぞ」
俺はキリ、レン、ユメ、そしてアミの方を向いてそう話す。
と、言ってもタエもトキもいないこの団をまとめられる自信なんてないのだか。だからといって、やらない訳にはいかない。情報をまとめられるのは俺だけだからな。
……俺はチラリとアミを見た。
絶対に犯人を見つける、という意志を持った瞳がギラギラと光っている。それはまるで獣のようだ。
「それで?」
「え……あ、ああ」
アミに促されるまま、俺は先を続ける。
「これがネットに上がってた。見てくれ」
それは、事故の瞬間を捉えた映像。
煌々と燃え盛る炎。興味本位の野次馬の声。灰色の厚い煙。そして……アミの泣き叫ぶ声。
「…………」
あまりに酷い光景に、三人に声も出ないようだった。
ましてや、アミは当事者だ。そのときの気持ちは計り知れない。
「……ここだ」
俺は画面を一時停止させ、車のナンバープレートを拡大する。そんな俺を見て、キリが首を傾げた。
「?これじゃあ、画質も悪いしピントもあってないけど……?」
「ああ、だからこれから加工するんだ」
カタカタとパソコンをいじる。数秒もしないうちに車のナンバーがはっきりと写し出された。
「このナンバーの車を探せばいいんですか?」
「違いますわ。こんな簡単なら警察がもう見つけているはずですもの」
「おそらく、もう乗り捨てられているか、売られているんだろうね」
レンの疑問にユメとキリが即座に答えた。俺は説明上手じゃないからな、すごく助かる。
「ああ、近くの公園で見つかった。防犯カメラにも犯人の顔は映っていない」
「それじゃあ、何も分かってないのと同じじゃない!!」
アミはドン!と机を強く叩いた。その音にレンとユメの肩がこわばる。
「落ち着いて!手がかりがないならわざわざここまで知らせないでしょ?」
キリがアミのことを慌てて諭す。……キリの言う通りだ。
「結論から言うと、俺はこいつが怪しいと思っている。ルネとトキにも協力してもらって考えたから間違いはないはずだ」
俺はそう言って冴えない何処にでもいそうな男の写真を見せる。
「……居場所は?」
低くドスのきいた、恐ろしい口調。そこから滲み出る殺意。
……アミが、居場所を聞いた後どんな行動に出るのか、想像するのも容易かった。
……きっと、アミは、犯人を殺すつもりだ。