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猫の小判
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#文スト
翠
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前回の続きですが、これまでとは違い、芥川寄りの視点になっています。ご注意ください。
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「「武装探偵社だ。」」その言葉を聞いた途端、空気がピタリと、止まったように感じた。
(聞き覚えがある…!)
曰く、軍や警察に頼れないような危険な依頼を専門とする探偵集団--
昼の世界と夜の世界、その間を取り仕切る薄暮の武装集団--
(なんでも、『武装探偵社』の社員は、多くが異能の力を持つ、『能力者』だと聞くが…)
目線を上げて、前に佇む二人を見てみる。
「お前はどうしてこうも舎弟を増やすんだ。先週だって新たに5人も舎弟を増やしてたじゃないか。」
「いや、だから彼奴らは舎弟じゃねぇって。それに、意外と便利だぜ?代わりに街の様子を見てくれるし。」
「そういうものなのか…って、それじゃ舎弟と同じじゃないか‼︎」
口喧嘩…と言っていいかも分からない戯れ合いが繰り広げられている。
「ねぇ兄さん、この人たち本当にあの探偵社の人たちなの…?」
(やつがれもそう思う…)
銀も同じことを思っていたらしい。
「分からん。だが、拾ってもらった立場だ。とやかくいうのはよそう。」
銀も漸くワンプレート食べ終わったらしく、久々の立派な食事で嬉しかったのか、自然と口角が上がっていた。その姿を見て、様々な感情が湧き上がる。
「もし、もし本当にこの人たちが探偵社の人たちなら、“アレ”の事、相談した方がいいんじゃない?」
「‼︎」
“あれ”のことを相談するなら、確かに武装探偵社はピッタリの場所だと言えるだろう。…だが、
(やつがれには相談するための依頼料などというものを払う余裕など無いし、無料で請け負ってくれるほどの仲でもない…)
「駄目だ。」
そういうと、銀は少し悲しげにこちらを覗いた。
「なぁ、“アレ”ってなんだ?」
突然降りかかった声に、思わず肩が跳ねる。声の主はやはり、中原中也であった。
「いや、なんでもない…で--」
「あの、私たち何かに襲われているみたいなんです‼︎」
「銀‼︎」
妹に先手を取られるとは思っていなかったため、もう止めることはできない。
「すみませぬ、今のは妹の戯言とでも思ってください。」
「いや、いい。銀、そのナニカについて詳しく教えてくれ。」
「おい中原!」
「銀!!」
国木田と龍之介の止める声など耳にくれず、銀の言葉に注目した。
「実は、私たちの居たグループの元に、“龍”が現れたらしくて、荒らされたんです。それで、そのグループから私たちは追い出されて、この街まで来たんですが、つい先日前も、兄がその龍に襲われた…と。」
その言葉に、国木田は固まった。
「まさか…!」
「やっぱりな、ビンゴだ。」
二人の様子に固まるばかりで、この進展した展開についていけない。
「それ、いつの話だ?」
「えっと、グループを追い出されたのが二週間前で、兄さんが襲われたのは?」
「4日前、鶴見川だ。」
一通り情報を聞くと、中也は顔を上げて国木田に尋ねる。
「どうだ?」
「…確かに、どちらにも目撃情報が上がっている。」
それを聞くと、持っていた上着ごと勢いよく立ち上がった。
「幸運だぜ龍之介、銀。俺たちも追っていたんだ。手前らと同じ、“人喰い龍”をな。」
「無茶だ!!」
その場にいた3人は目を丸くした。そうだろう。今まで大人しく弱々しかった少年が、突然大声を上げたのだから。
「ッ…彼奴に敵う人間がいる訳ないだろう!?」
(やっぱり、襲われたのは此奴だけか。)
怯え具合から察したのだろう。銀は龍之介ほど怯えていない。
「それが、どうか分かねぇんだよな。」
震えた体を起こし、目の前の人を見る。その顔は確かに笑っていた。
「なぁ、手前ら今暇だよな?」
「猛烈に嫌な予感がする…」
国木田が青ざめた顔で彼を見る。しかしそれらを無視してこう告げた。
「龍探し、手伝ってくれや。」
そこからの動きは速かった。
「恩人の頼みだがそれは断固拒否させてもらう…います。それはつまり餌になれということ、流石のやつがれも、生に執着している故できぬ事である。」
「報酬も出るぞ。」
グッ…という音がした。ほとんど一文無しの少年少女にとって、喉から手が出るほど欲しいものと言ったらやはりお金なのである。
「国木田、手前は社に戻れ。そんでこの紙を社長に頼む。」
「おい、三人で捕まえる気か?まずは情報の裏を取って--」
「いや、銀は国木田と同行してくれ。危険になるだろうし、女性のそばにいた方がいいだろう。」
「わっ、私も、兄の為に何かしたい、です。」
じーん…と、心に沁みる。
(本当に銀はよくできた妹だ…)
龍之介は自覚無しの妹バカである。
「いや、銀、お前には危険だ。龍だって、お前は見た事ないだろう。どれだけ恐ろしいか分からないのだろう。」
兄に止められ、反抗も虚しいだけだと理解した銀は、ショボンとした顔しながらも、探偵社に同行することを了承した。
「さてと、行くとするか。すみません、お勘定を頼む。あっ、国木田と俺で割り勘な。」
「はぁ?!?!」
…
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コメント
5件
国木田に全おごりさせた太宰と違いやっぱ中也は割り勘か・・・!国木田どっちにしろかわいそう笑
「人喰い龍」の話、急にシリアスな展開にきたな…!兄妹の絆がしっかり描かれてて、銀が思わず打ち明けちゃうシーンはグッときた。中也の「報酬も出るぞ」で一瞬で心揺れる龍之介、笑ったわw 妹バカなのも可愛い。続きが気になるから早く読みたい🔥