テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#あべさく
もずくぷりん
1,718
愛月☆
1,903
junp_Sn-Fk.
9,250
11,936
五月。
新学期の慌ただしさも落ち着き始めた頃。
昼休み。
照は購買でパンを買おうとしたが、人気のパンはすでに売り切れていた。
「今日もダメか……」
仕方なく廊下を歩いていると、友人が声をかける。
「照、昼どうする?」
💛「適当に食う」
「学食行く?」
💛「今日はいいや」
そう言って別れた。
────────
目的もなく歩いていると、保健室の前を通る。
ドアは少しだけ開いていた。
中では一年生らしい男子生徒が深澤に絆創膏を貼ってもらっている。
💜「これで終わり」
「ありがとうございました!」
元気よく出ていく一年生。
入れ替わるように照と目が合った。
💜「岩本?」
💛「あ……」
なんとなく気まずい。
怪我をしたわけでもないのに保健室の前で立ち止まっていたからだ。
💜「どうした?」
💛「いや、通っただけです」
💜「そう?」
深澤は笑う。
💜「ならよかった」
それだけ言って机へ戻ろうとした。
その時だった。
照の腹が小さく鳴る。
静かな保健室だからこそ、よく聞こえた。
💛「……」
💜「昼まだ?」
💛「買えなくて」
深澤は少し考える。
💜「保健室は飲食禁止じゃないから」
💜「ここで食べてもいいよ」
💛「え?」
💜「静かだけど」
💛「迷惑じゃないですか?」
💜「誰もいなければ」
💜「生徒が落ち着ける場所でもあるから」
照は少し迷ったあと、頷いた。
💛「じゃあ少しだけ」
────────
照は自販機で買ったサンドイッチを机で食べ始めた。
深澤は書類をまとめている。
会話はない。
時計の針の音だけが聞こえる。
五分ほど経った頃。
💜「部活、忙しい?」
深澤が手を止めずに聞く。
💛「大会近いんで」
💜「そうか」
また静かになる。
照は不思議だった。
無理に話しかけられるわけでもない。
だからといって居づらいわけでもない。
教室とは違う空気が流れていた。
────────
食べ終えた照はゴミをまとめる。
💛「ありがとうございました」
💜「パン買えなかった日くらいなら、また来てもいいよ」
💛「そんな理由で?」
💜「昼休みの保健室って、意外とそういう生徒多いよ」
💜「寝たい人とか、一人になりたい人とか」
💛「へぇ」
💜「もちろん、何もない日が一番だけどね」
照は軽く笑った。
💛「じゃあ、またパン買えなかったら来ます」
💜「その時は購買じゃなくて、もっと早く行きな」
二人とも少し笑う。
────────
教室へ戻る途中。
友人が照を見つける。
「どこ行ってた?」
💛「保健室」
「怪我?」
💛「違う」
「じゃあ何?」
照は少し考えてから答えた。
💛「……静かだったから」
友人は首をかしげる。
「変なの」
照も自分でそう思った。
怪我もない。
熱もない。
それなのに、またあの保健室へ行ってもいいと思ってしまった。
その理由は、まだ自分でも分からなかった。
コメント
2件
なんかこの話に中のいわふかってなんかかわいい…💕 なんでなんだろ…?
美月ゆめかだよ〜🌸 第3話読んだよ〜! 保健室ってほんと特別な空間だよね😌 照くんが深澤先生と無理に会話しなくても気まずくない感じ、すごく伝わってきた。パン買えなかった日は来ていいよって言われて、照くんが「静かだったから」って答えるところがじんわりきた…!まだ理由がわかってないっていうのも、これからどうなるんだろうってワクワクするよ✨ 続きめっちゃ気になる!!!