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F:「」
K:『』
※登場人物および物語は全てフィクションです。
『ねえ、うち、すぐそこなんだけど』
家の近くの公園でブランコを漕ぐキミ。
「お前さー、ブランコで一周回ったことある?」
『ないけど』
「だと思った」
『危ないじゃん』
「けどおもしれーんだよ」
ガチャンと音がして揺れるブランコから飛び降りた。
「そういう危ない事、しなさそうだもんな」
『しないよ』
「いいのかよ」
『……俺、ブランコよりシーソー派なんだよね』
「ふーん…」
ここまで来ておいて試すような態度を取るのは、よっぽど俺のことが大切らしい。
『はい、もう分かったよ』
キミの手を取りポケットにしまい込む。
『ちゃんと大丈夫だから、おいで?』
照れ隠しなのか、覗き込んだ俺の頭をぐしゃぐしゃと掻き回した。
静かに昇っていくエレベーター。
『さあどうぞ、お姫様』
「お邪魔します…」
そう小さく呟いて綺麗に靴を揃えている姿が愛おしい。
『そこ、座ってて』
大人しくソファに沈むキミ。
いつもの自分の場所にキミがいる事が少しくすぐったい。
『生まれ年じゃないけど、ワインでいい?』
「酒はもういいよ」
『そう?』
「酔いすぎると期待に応えられない」
『…そう』
部屋に漂う色気を含んだ空気。
悪くない。
『シャワーならこっち、バスローブ使ってくれていいから』
「サンキュ」
バスルームに消えていくキミの背中を見送る俺の心臓がいつもよりずっと早く脈打つのは、触れるより熱い視線を浴びてしまったせいかもしれない。
閉まったはずのドアがすぐに開く。
「寝んなよ?」
『この状況で寝られるほど鈍感なつもりないよ』
「だよな」
ニヤリと笑うキミが再びバスルームに消える。
『……やっぱりずるい人』
グラスにミネラルウォーターを注いでテーブルに置く。
もう一つのグラスに注いだ水を一気に飲み干し、すでに醒めかけた酔いを払った。
これから始まるのは、恋か、愛か、それとも…。
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