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「ほくと」(𝓡𝓲𝓷)『ジェシー』(友達)
朝の空気はまだ少し冷たくて、僕はブレザーの襟元を少しだけ直した。
『北斗、おはよーう!』
後ろから降ってきたのは、耳が痛くなるほど元気な声。
振り返るまでもない。
僕の幼馴染で、クラスメイトのジェシーだ。
僕たちの朝は、いつもこうして二人で登校するところから始まる。
「おはよう、ジェシー。朝から元気だね」
『だってさ!今日は天気がいいから、絶対いいことあるよ!』
満面の笑みで白い歯を覗かせるジェシー。
彼はとにかく明るくて、誰からも好かれるクラスの人気者だ。
だけど、そんな彼の頭の中は、最近ある一つのことで支配されている。
『ねえ北斗、聞いてよ。昨日さ、部活の帰りにね……』
始まった。
僕は小さく息を吐く。
ジェシーが話し出すのは、僕たちの一学年上、中学三年生「髙地優吾』先輩のことだ。
ジェシーは髙地先輩のことがとにかく大好き。
先輩が中庭を歩いてたとか、部活中に目が合って手振ってくれたとか、そんな些細な出来事を、まるで世界重大ニュースのように毎日僕に報告してくる。
『先輩、昨日髪の毛ちょっと切ってたの!すっごいカッコよくてさ、俺、心臓爆発するかと思った!』
「へえ、よかったね」
『ちょっと北斗ぉ!反応薄いよ!もっと一緒に盛り上がってよ!』
ジェシーは長い腕をぶんぶんと振って抗議してくる。
盛り上がれと言われても、僕には好きな人なんていないし、誰かにそこまで熱中する気持ちが正直よく分からない。
だからいつも、こうして一歩引いたところでジェシーの熱弁を聞く係になっている。
「でもさ、ジェシー。先輩はもう三年生だし、受験とかで忙しくなるんじゃない?」
『うっ……それは言わないでよぉ。だからこそ、今のうちにいっぱい話したいの!』
大型犬がシュンとするみたいに、分かりやすく肩を落とすジェシー。
本当に、恋をすると人間ってこんなに一喜一憂するものなのだろうか。
僕には到底理解できない。
誰かを特別に想うなんて、なんだか面倒くさそうだし、今のままで十分楽しい。
「ほら、落ち込んでないで歩く。遅刻するよ」
『あ、待ってよ北斗!』
僕が少し歩幅を速めると、ジェシーはすぐに長い足で追いついてくる。
校門が見えてくると、ジェシーはキョロキョロと辺りを見回し始めた。
もちろん、探しているのはあの「髙地』先輩の姿だ。
まだその姿は見当たらないけれど、ジェシーの目はキラキラと輝いている。
今日もきっと、学校に着いた瞬間から、ジェシーの[優吾先輩追いかけっこ]に付き合わされるんだろうな。
僕は隣でソワソワしている親友の横顔を見ながら、呆れ半分、応援したい気持ち半分で、校門をくぐった。
𝓡𝓲𝓷
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らびゅ🫶💕〜!
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コメント
3件
みぅです🥀 「ジェシー」と「北斗」の温度差がすごくリアルで、読んでて自然と口元が緩んじゃいました!大型犬みたいに元気なジェシーと、一歩引いて冷静に見てる北斗の関係性がもうすでに好きです。 「先輩の髪切っただけで心臓爆発」って、恋する人間の可愛くて滑稽な感じがめっちゃ伝わってきました(笑)これからどうなるのか、静かに見守らせてください🌙