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_時は一年前___
黒十字の男ナチスは、シベリアの男ソ連に恋心を抱いていた_
いや…恋心なのか友情なのかは分からない。
それはただ単に愛というだけではなく、独占欲や嫉妬に満ちあふれた濁った愛だった。
しかし一方のソ連は気付いて居なかったのだ_
ナチス視点_
「ソ連…今日も一緒に…ッ食事をしないか、?」
「ん、?ま、いいぞ」
「ッあ…ありがとう」
俺は心の内でガッツポーズをした。
毎日のことだが…それだけでも生きる糧になっている。
俺とソ連は友達。
それ以上でもそれ以下でも無かった。
昔こそ意見の違いなどで恨み恨み合ったが…今はなんてことは無い。
なんならキスしても嫌じゃないくらいだ。
恋心と似た友情。
「ソ連今日も___」
「すまん…今日はアメカスと食べる約束があってだな、」
俺の言葉を遮るように耳を劈いたその言葉は、ソ連にとってはなんてことない言葉だった。
けれど俺の心はその言葉だけでいとも容易く沈んだ。
当たり前なんだ。毎日同じ奴と飯なんて飽きるし、毎日食べようなんて約束を交わしている訳でも無い。
しかも飯なんて些細な事。
なのに何故か俺はその日元気が出なかった。
次の日も、その次の日も、ソ連はアメカスとやらと遊んでいた。
俺と遊ぶ時間は半分に減った。
悪気が無いのはとっくに分かっている。
でも嫌だ。嫌だってことを伝えるにも俺にはそんな勇気が無かった。
まるでウサギのように寂しがりになってしまった心ではソ連が居ないのは耐えられなかった。
こっちだけを見てくれるにはどうしたら良いか。
窮地に立たされたように必死に考えた末に、最低最悪の方法が思いついてしまった。
ガラッ
教室のドアが開けられたと同時に、少しぬるくなった夏場の水が音を立てて落ちていく音がした。
「…は、?」
水が降りかかって来た先に居たのは_
ソ連だった。
クスクスと気持ちの悪い薄笑いが聞こえてくる教室内でソ連は何を思ったのだろうか?
クラス全員の協力故に被せられた透明な水で身体が濡れていることを唖然としながら確認する姿はなんとも言えない惨たらしさだった。
俺はすぐさま水を被ったソ連に駆け寄った。
「おいソ連ッッ!?!?大丈夫か、ッ?」
「ッぁ…嗚呼…?」
まだ困惑して居るのか、焦点が合わない目でなんとかこっちを見ている。
冷たく見えるが実はメンタルが弱いのも俺は知っている。
今にも泣きそうなソ連をまるで愛しい子犬を見つけたかのように抱擁する。
「寒いよな…一旦更衣室行こうか」
「~ッ…あッ嗚呼ッ」
嗚呼。今ソ連は俺だけのことを見て考えてる。
それだけで胸はいっぱいになった。
このいじめを仕掛けたのは俺なのにも関わらず。
他の奴らに指文字の合図で机の上に花瓶を置くことを指示して、その場をソ連と一緒に後にする。
なんだか心が躍っているような気がしていた_