テラーノベル
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前回の続きから!
配信が終わったあと、
あっきぃは一言添えてディスコを抜けた。
【あき】「……お疲れ」
ちぐが声をかける。
【ちぐ】「あ、お疲れさま」
返事はある。
声もいつも通り。
でも――空っぽだった。
会社でも同じだった。
【あと】「大丈夫か?」
【あき】「大丈夫」
即答。
短くて、隙がない。
【あと】「あの日の話、続き――」
【あき】「もういいよ」
「気にしないで」
その言い方が、一番まずかった。
気にしてない人の声じゃない。
これ以上踏み込むな、って線を引く声。
あっきぃは、自分の荷物を静かにまとめる。
近づこうとしたぷりが、止まる。
(入れない)
物理的な距離じゃない。
入る余地がない。
まぜは、それを見て何かを確信した。
逃げてもない。荒れてもない。
泣きもしない。
ただ、共有をやめた。
数日後。
収録は成立する。笑いも取れる。
問題も起きない。
でも、あっきぃは一切“持ち込まない”。
雑談に乗らない。弱音を出さない。
視線を長く合わせない。
【ちぐ】「あっきぃ、最近どう?」
【あき】「ん?普通だよ」
この“普通”が、誰よりも遠い。
楽屋で誰かが言った。
【けち】「前より元気そうじゃない?」
それを聞いた瞬間、
俺とまぜだけが目を伏せた。
元気そうなんじゃない。
削れる部分を全部削り終わっただけ。
ある日、ぷりが言った。
【ぷり】「なぁ」
「前みたいに、俺らに寄りかかれよ」
あっきぃは、少し困った顔で笑った。
【あき】「ごめん」
「今はいいや」
拒絶じゃない。
でも、受け取らない。
それが一番、どうしようもなかった。
夜。俺は会社で作業をして帰ろうとしていた。
その時、ひとつだけドアが少し開いていた。
(…?誰かいるのか?ちょっと見てくるか)
俺はその部屋に近づき中を見た時、驚いた。
あっきぃは一人で、明かりのついていない部屋に座っていた。
何かを考えてるわけじゃない。
感情も、整理も、反省もない。
ただ、
誰にも見せる中身がなくなったみたい。
(話したら、また受け取られない)
(今は変に関わらない)
俺は 静かにその場を去った。
次の日も、その次の日も。
あっきぃはちゃんと来る。
ちゃんと笑う。
ちゃんと役を果たす。
でも――
もう“戻ってくる場所”を、自分から使わなくなっていた。
AMPTAKは、
この時やっと理解し始める。
闇期で一番怖いのは、
泣くことでも、荒れることでもない。
**「何も求めなくなること」**だと。
コメント
2件
💬も応援もありがとうございます!!
最高です!頑張ってください