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翌日、イレブンとセーニャはいつも通り学校に向かっていたが、昨日のロビンの言葉がどこか気になって仕方なかった。特にセーニャは、そのことで胸がいっぱいで、普段より少し落ち着かない様子だった。
「イレブン様…昨日、ロビンさんが言っていたこと、気にしなくてもいいのでしょうか?」
セーニャは歩きながら、ふとイレブンに尋ねた。彼女の声には少し不安が込められていた。
イレブンはセーニャを見つめ、優しく微笑みながら答える。
「心配しなくていいよ、セーニャ。ロビンの言うことなんて、僕たちには関係ないさ。君と僕はただの幼なじみだし、あんなことで動揺する必要はないよ。」
けれど、セーニャの顔にはどうしても納得できない様子が浮かんでいた。イレブンがいくら強く言っても、心のどこかで不安が消えなかった。彼女の気持ちは複雑で、イレブンとの関係がただの「幼なじみ」だと思う一方で、ロビンの言葉が心に引っかかっていた。
学校に到着すると、二人は教室へ向かう途中、またもやロビンに出くわした。彼は昨日と変わらず、どこか挑発的な表情で二人を見ていた。
「おはよう、イレブン、セーニャ。」
ロビンの声は軽薄に響く。その言葉の後ろに、何か企みがあるのを二人は感じ取った。
「ロビンさん、おはようございます。」
セーニャは警戒しながらも、礼儀正しく挨拶を返したが、彼女の声には微かな緊張が含まれていた。
イレブンは冷静に答えたが、ロビンの表情が変わるのを見逃さなかった。
「昨日の話、気にしてるのか?」
ロビンが一歩踏み出して、少し距離を縮める。その目は、やはり挑発的だ。
「いや、別に…気にしてません。」
セーニャは顔を赤らめながら、言葉を濁して返した。心の中では、ロビンに何かがあることを感じ取っていた。
ロビンはそれを見逃さなかった。
「そうか。でもさ、君たちが本当にただの幼なじみだと思ってるなら、俺の言うことなんて気にしなくていいんだろう?」
その言葉は、まるで二人を試すかのようだった。
イレブンは冷静に答えた。
「僕たちは何も変わらない。ロビンがどう思おうと、君には関係ない。」
その言葉には、強い意志が込められていた。
だが、ロビンはにやりと笑って言った。
「まあ、そうだろうけどさ。でも、君たちがどうしても気にするなら、他の奴に頼んで、試してみてもいいんじゃないか?」
その意味深な言葉に、セーニャは一瞬顔を引き締めた。
「何を試すというのですか?」
セーニャは、少し不安げに問いかけた。
ロビンは何も答えず、その場を立ち去ると、わざと大きな声で言った。
「まあ、試すかどうかは君たちの自由だよ。」
その言葉が、しばらく二人の耳に残った。
教室に入った後も、セーニャはその言葉が頭から離れなかった。心の中で不安が膨らんでいくのを感じていた。イレブンもセーニャを気遣いながら、できるだけいつも通りに振る舞おうとしたが、セーニャの不安が伝わっているのを感じていた。
「大丈夫だよ、セーニャ。」
イレブンは小声で言った。彼の手がそっとセーニャの肩に触れ、安心させようとしているのが伝わった。
セーニャはその手の温もりに少し心を落ち着けることができたが、心の中で「何か起こるのではないか?」という恐れを感じていた。
その後、授業が終わり、昼休みが始まると、セーニャとイレブンは教室を出て、校庭のベンチに座った。そこには、昨日のロビンの挑発的な言葉が、まだ二人の心に重くのしかかっていた。
「イレブン様、もし…もし本当に、何か試されることになったら…どうしましょう?」
セーニャは思わずその言葉を口にしてしまった。
イレブンは少し考えた後、優しく微笑みながら答えた。
「もし、何か試されるようなことがあったとしても、僕とセーニャが信じ合っていれば、何も怖くないよ。」
その言葉に、セーニャは少しほっとしたように感じた。イレブンの目を見つめると、彼の言葉の奥にある強い意志を感じ取ることができた。
「でも、私…ちょっと怖いです。」
セーニャはつい心の中を吐露してしまった。
イレブンはその声をしっかりと受け止め、優しく言った。
「大丈夫、セーニャ。僕は君を守るから。」
その言葉に、セーニャは少し涙が滲みそうになったが、頑張ってそれをこらえた。
その時、二人の前に、またもやロビンが現れた。彼は意味ありげに二人を見つめながら、何かを企んでいる様子だった。
次回予告:
第14話では、ロビンの挑戦が本格化し、二人にさらに試練が訪れる。セーニャとイレブンはその試練にどう立ち向かうのか…そして、互いの心がより一層深まっていく過程が描かれる。