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昼休みが終わり、午後の授業が始まる頃、イレブンとセーニャはあの時のロビンの言葉が頭から離れなかった。ロビンの挑発的な態度は、ますます彼らの心をかき乱しているようだった。しかし、イレブンはそれをなるべく気にしないようにしていた。セーニャも、できるだけ平静を保とうとしていたが、どこか不安げな顔をしている。
その後、授業が終わると、再び二人は校庭で顔を合わせた。空は少し曇り、風も冷たくなってきていた。
「イレブン様、今日は少し…気分がすっきりしないのです。」
セーニャは遠慮がちに言った。いつもより口数が少ない彼女に、イレブンは少し心配そうに視線を向ける。
「大丈夫か?セーニャ、無理しなくていいんだよ。」
イレブンは、心配そうにセーニャの顔を見つめた。
セーニャは小さく頷いたが、どこか心配そうに空を見上げる。すると、その時、突然、ロビンが二人の前に現れた。彼の顔には、どこか得意げな笑みが浮かんでいる。
「おやおや、二人とも心配そうだね。」
ロビンの声には、何かを察したような響きがあった。
「ロビンさん、また何か…?」
セーニャは、警戒しながらも声をかけた。
ロビンは少し考えた後、ゆっくりと話し始めた。
「まあ、あまり驚かないでほしいんだけどさ…実はね、今日は君たちにとってちょっとした試練を用意してるんだ。」
その言葉に、イレブンの眉がひそめられ、セーニャも身構えた。
「試練?」
イレブンは冷静に尋ねた。
ロビンはにやりと笑いながら、続けた。
「そう、試練さ。君たちが『幼なじみ』以上の関係に進むのか、それともただの『幼なじみ』のままでいるのか、確かめさせてもらうってわけさ。」
その言葉に、セーニャの顔が少し青ざめた。試練という言葉に対して、心の中でどこか恐怖を感じたからだ。イレブンもその言葉に、ただならぬ意味が込められていることを感じ取り、すぐにロビンに向き直った。
「君が言ってる試練って、具体的には何をするつもりなんだ?」
イレブンは真剣な表情でロビンを見つめた。
ロビンは一瞬、少しだけ思案した後、にっこりと笑って言った。
「簡単だよ。君たち、今からしばらくの間、二人っきりで過ごしてもらう。『一緒にいる時間』が、試練なんだ。」
その言葉に、セーニャは少し戸惑いながらも、イレブンを見る。
イレブンは、セーニャの不安げな表情を見て、すぐに答える。
「一緒にいる時間、ね。それが試練だって言うなら、僕たち二人は乗り越えるつもりだよ。」
その言葉には、確固たる決意が感じられた。
ロビンは少し驚いたような表情を浮かべた後、すぐに笑顔を取り戻し、肩をすくめる。
「ふふ、そうか。なら、君たちがそれをどう乗り越えるか見ものだな。」
そう言って、ロビンは二人に背を向け、そのまま去っていった。
二人はしばらくその場に立ち尽くしていた。試練と聞いても、イレブンは冷静だった。だが、セーニャはどこか不安そうな様子を見せていた。
「イレブン様、私、ちょっと…不安です。」
セーニャは、心の中で何かが揺れているのを感じていた。
イレブンは優しく彼女に手を差し伸べる。
「大丈夫だよ、セーニャ。僕たちには信頼がある。どんな試練でも、一緒に乗り越えよう。」
その言葉に、セーニャは少しだけ胸を張った。
「ありがとうございます、イレブン様。」
彼女は微笑んだが、その笑顔にはまだ少しだけ不安が残っていた。
その後、二人は学校内の指定された場所に向かうことになった。試練というものが一体どんな形になるのか、まだ誰にもわからない。しかし、二人はただひたすらに、前に進むしかなかった。
次回予告:
第15話では、二人が試練に立ち向かう瞬間が描かれる。ロビンが仕掛けた「一緒にいる時間」の試練がどのように展開していくのか、そして二人の心がどのように変わっていくのかが描かれる。