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昨日の食事会、錦くんはなんというか……放っておくべきではないんじゃないかと言う気持ちを振り切れない。
いや思春期の男の子なら当たり前ではあるんだけど! 千歳を一目見て瞠目して、それからずっと千歳に視線が行ってて、千歳に話しかけられる度にパッと顔が輝いてって……それはつまり、そういうことだろ!
いや、錦くんの気持ちはわかる、千歳すごく美少女に見えるもんね、性格だって明るくて元気で親しみやすいもんね、連絡先まで交換できたもんね……でも千歳はそういうのわかんない人なんだよ!
俺の心配をよそに、千歳は『友達が増えた!』と喜んでいる。
「う、うん、よかったね……」
『もう春休みなんだって、春休み中に、もしよかったら一緒に遊びませんかって』
爆速で話が進んでいる! おとなしそうに見えて押しが強いな錦くん!
「えっと……二人で遊びに行くの?」
『うん、動物園はこないだ行ったからそれ以外がいいなって返事した』
「そ、そっか……」
俺は、俺はどうすればいいんだ!
よく考えたら俺に止める権利一切ないんだよ! 錦くんはもう高校生になる男の子なんだし、好きな子をデートに誘うくらい普通! 一切変なことしてない! それに俺は千歳の父親でも兄でも彼氏でも何でもない! 千歳が行きたがってるなら止める理由なんにもない! どうしよう……。
千歳に気づかれないように煩悶していると、緑さんから連絡が来た。
「すみません、錦くんが千歳ちゃんのことすごく遊びに誘ってるそうなんですけど、千歳ちゃん、多分錦くんの気持ちなんにも気づいてませんよね?」
……緑さんと相談して善後策を練る、悪くない気がする。
「千歳は友達が増えたという認識でして、デートに誘われてるとは露ほども気づいてないですね。こちらもどうしようかと思っていて」
「やっぱり。いえ、私もこういうふうになるとは全く思ってなくて、錦くんには変なことしちゃダメよくらいしか言えなくて」
そうか、緑さんも想定外だよなそりゃ。
一応、緑さんにも千歳側の事情を伝えておこうと思って、俺は説明した。
「千歳、色恋が全くピンときてない人でして。最初の頃は幼いのかなと思ってたんですが、どうも精神年齢関係なく恋愛や性愛の欲がない人っぽくて」
「そうなんです!? 単にすごくニブいだけなのかと」
「実際ニブいと思います、私と緑さんは傍から見てわかってるのに、千歳は全くわかってないので」
「それはそうですね」
「どうしようか困っています」
「どうしましょうか……」
緑さんにも有効な策はないのか……。
緑さんからまた返事が来た。
「とりあえず、錦くんには改めて釘を差しておきますね」
「思春期の男の子がそんなので止まりますかねえ」
「うーん、思春期の男の子だった人としてはどうです?」
「止まるとは思えないです」
俺は断言してしまった。本当にどうしよう……。
緑さんの返事が来るまで、少し間があった。
「こっそり監視しに行きます? 錦くんが千歳ちゃんと遊びに行くところ」
「それやっていいんですか?」
「私もやっていいものかと思うんですが、錦くんが千歳ちゃんに変なことしたらとんでもないことになるので……なんだかんだで千歳ちゃんはすごい怨霊ですし……」
それは……そう! 千歳が親しみやすくて協力的なので忘れてたが、そもそもの話として千歳は恐るべき怨霊なんだよ!
そう言う訳で、千歳が錦くんと遊びに行く日、俺は緑さんとこっそり尾行することになってしまった。なんでこんなことに……。
コメント
1件
読み終えたよ〜🥀 もうね、錦くんの気持ちが痛いほどわかるんだけど、千歳ちゃんが無自覚すぎて、主人公も緑さんも胃がキリキリしてるのが面白すぎる(笑)「思春期の男の子だった人としてはどうです?」「止まるとは思えないです」のやりとり、めっちゃわかる〜って思ったよ。結局尾行することになったのも、ちゃんと千歳ちゃんのこと大事に思ってるからだよね。 でも怨霊って設定を忘れかけてたところに「そうです」って緑さんが合いの手入れてくるところ、ちょっと怖くて笑った。次も読みたい🌙
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