テラーノベル
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チャイムが鳴った瞬間、教室の空気が一気にゆるむ。
「つかれた〜……」
💙は机に突っ伏して、小さくため息をついた。
1時間目から集中しすぎたせいで、頭がぼーっとする。シャーペンを握ったまま、ぐでっと力を抜く。
「もう無理やって……」
すると、隣の席の子がくすっと笑った。
「また甘えてる」
「え〜いいやんちょっとくらい……」
顔を上げて、へらっと笑う💙。
そのやり取りを、少し離れた席からじっと見ている人がいた。
🩷だ。
頬杖をつきながら、何も言わずにその様子を眺めている。
でも、その目はどこか冷静で、観察するみたいに鋭い。
(……ほんと無防備)
小さく息をつく。
休み時間になると、💙の周りには自然と人が集まる。
話しかけられればちゃんと反応するし、距離も近いし、笑顔も柔らかい。
だから余計に目立つ。
そして、余計に気に入らない。
「ねえ」
突然、低い声が落ちる。
「……っ」
💙がびくっとして顔を上げると、すぐ目の前に🩷が立っていた。
「な、なに……?」
「ちょっと来て」
有無を言わせない口調。
「え、今……?」
「今」
短く言い切られる。
断る理由も見つからなくて、💙はおとなしく立ち上がった。
そのまま腕を軽く引かれて、教室の端の方へ連れていかれる。
人はいるけど、さっきよりは静かな場所。
「……で?」
🩷が振り返る。
距離が近い。
「な、なんなん……?」
「さっきさ」
じっと見下ろされる。
「誰と話してたの」
「え?いや、普通にクラスの子と……」
「名前は?」
「え、そこまで聞く?」
思わず笑いそうになるけど、🩷の表情は全然冗談っぽくない。
むしろ、少しだけ圧が強い。
「聞いてるだけ」
「……別に、ただ話してただけやで?」
「ふーん」
🩷は少しだけ目を細める。
そのまま一歩近づいてくる。
「楽しそうだったね」
「え、まあ……普通に」
「普通に、ね」
言葉を繰り返されるだけなのに、なぜか逃げ場がない。
💙は無意識に一歩下がる。
けど。
すぐ後ろが机で、逃げきれない。
「……逃げるの?」
「に、逃げてへんし」
「じゃあそのままでいいよ」
ぐっと距離を詰められる。
近い。
さっきよりずっと近い。
「ねえ」
低くて、少しだけ甘い声。
「自分がどう見られてるか、分かってる?」
「……え?」
「無自覚?」
視線を逸らそうとした瞬間、軽く顎に手をかけられて戻される。
「こっち見て」
「……っ」
心臓がうるさい。
「誰にでも笑うし、誰にでも近いし」
「そ、それは……」
「やめなよ」
はっきり言い切られる。
「見ててイラつくから」
その言い方は冷たいのに、どこか独占欲が混ざっている。
💙は言葉に詰まる。
「なんでそんな……」
「分かんない?」
少しだけ口元が上がる。
「分かんないなら教えてあげる」
耳元に近づいて、小さく囁く。
「俺が気に入らないから」
「……っ!」
一気に顔が熱くなる。
離れたと思ったら、今度は目の前でじっと見られる。
「顔、分かりやすい」
「う、うるさい……」
「そういうとこ」
指先で軽く頬に触れられる。
「他のやつに見せないで」
「なんで……?,」
その反応に、🩷は少しだけ笑った。
「可愛い」
「は!?今の流れで!?」
「うん」
さらっと肯定される。
逃げたいのに、逃げられない。
「……戻っていい?」
「だめ」
即答。
「もうちょっと」
「なんでや……」
「俺がまだ満足してない」
そう言って、ふっと距離を戻す。
さっきまでの近さが嘘みたいに、余裕のある表情に戻っている。
「ほら、行っていいよ」
「え、急に……?」
「でも」
最後に一言。
「さっきのやつとは、あんまり近づかないで」
「なんでそんな……」
「約束」
強制じゃないのに、断れない言い方。
💙は少しだけ悩んでから。
「……わかった」
小さくうなずいた。
その瞬間。
🩷は満足そうに笑った。
「いい子」
ぽん、と軽く頭に触れられる。
「っ……!」
何も言えなくなる💙を置いて、🩷は先に教室の中央へ戻っていく。
その背中を見ながら。
(なんなん、ほんまに……)
胸の奥がざわつく。
さっきまで普通だった休み時間が、もう全然普通じゃなくなっていた。
.⋆𝜗𝜚☆
#nmmn注意
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