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もふくんの「…あ″ぁ″?誰だよ」って言うところいいですね!
「ねぇ、今日の朝ごはん誰作るの?」
シェアハウスのリビングに、のあさんの声が響く。
「俺やるよー!」
元気よく手を挙げたのは、うり。
「助かります、うりさん」
ヒロくんが小さく笑う。
「いいね〜、うりのご飯」
ゆあんくんも嬉しそうに声を上げた。
そんな中。
「でもその前にさ、もふくん起こしてきてよ」
ゆあんくんがふと思い出したように言う。
「あー、まだ寝てんのか」
うりが呆れたように笑う。
「じゃあ俺行ってくる」
そう言って立ち上がったのは、ゆあんくんだった。
廊下を歩き、もふくんの部屋の前で止まる。
コンコン、とノック。
「もふくん、起きてる?」
返事はない。
「入るよー」
ドアを開けた、その瞬間。
「……あ“ぁ”?誰だよ」
低く、鋭い声。
一瞬で空気が変わる。
「……え?」
思わず声が漏れる。
今の——
いつものもふくんじゃない。
数秒の沈黙。
そして。
「……あ、ごめん。寝ぼけてた」
ベッドの上で体を起こしながら、もふくんが笑う。
いつもの、優しい表情。
「びっくりした……」
「ごめんごめん」
軽く謝りながら、何事もなかったかのように立ち上がる。
さっきの空気は、もう消えていた。
「先行ってて、すぐ行くから」
「……あ、うん」
部屋を出ながら、ゆあんくんは少しだけ振り返る。
でもそこにいるのは——
いつものもふくんだった。
「(気のせい……?)」
小さく呟いて、リビングへ戻る。
「お、もふくん起きてた?」
のあさんが微笑む。
「うん……まあ」
「何その反応」
うりが笑う。
キッチンでは、すでに料理のいい匂いが広がっていた。
「できたぞー!」
「うわ、めっちゃうまそう!」
ゆあんくんの声に、みんなが集まる。
「いただきます」
重なる声。
にぎやかで、楽しい時間。
——いつも通りの、平和な朝。
そのはずだった。
けれど。
ほんの少しだけ。
引っかかる何かが、残っていた。
それが何なのか——
まだ、誰も知らない。