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僕の初恋は、嵐のようだった。
突然現れて、僕の心を奪っていった。
あの炎のように赤い髪と、宝石の様なオッドアイは、鮮明に覚えている。
もう一度、会いたいな。
「ルザク君?おーい」
ハッとする。
「なんかぼーっとしてたけど、大丈夫そ?」
また昔の事を思い出していたようだ。
「大丈夫だよ、こめしょー」
こめしょーはニコッと笑う。
「なら良かった!ところで知ってる?」
なにか面白い事でもあったのかな。
「今日転校生が来るんだって!」
「そうなんだ」
少し素っ気なく答える。
僕はあまり人に興味が無い。
あの子にはもう、会えないだろうし。
「おーい、席につけー」
先生が声を掛ける。
「今日は転校生を紹介するぞ」
入ってきた転校生を見て驚いた。
「こんにちは雨栗です!よろしくお願いします!」
雨栗と言う転校生は、仮面をしていた。
ピエロの様な仮面を。
そして、僕の記憶に鮮明に残る…
炎のように赤い髪。
「なあ雨栗!お前どこから来たの?」
「北海道だよ」
こめしょーはすぐに仲良くなったようだ。
「ルザク君!こっちおいで!」
こめしょーが僕を呼ぶ。
「君がルザク君?」
「そうだけど」
少し警戒しながら答える。
「るざぴって呼んでいい?」
「いいよ」
最低限の返事しかしない。
「少し聞いてもいい?」
「何?」
「会った事ある?」
ドキッとした。
少し躊躇った。
「……分かんないよ」
なんで、そんな事聞くの?
………あの子と、関係あるの?
「……放課後、2人きりで話せる?」
「…分かったよ」
あっと言う間に放課後。
雨栗さんと話す時間だ。
「それで、話したい事って何?」
単刀直入に聞いた。
「私の事、覚えてる?」
………やっぱり、会った事あるんだ。
「仮面付けてたら分かんないか」
そう言って雨栗さんは仮面を外す。
「………えっ…」
雨栗さんの目は、僕の記憶に残っているオッドアイだった。
「……やっぱり覚えてないよね、ごめん」
その姿は、僕の初恋の人と重なっていた。
「………ぐりちゃん…」
記憶の底から、当時呼んでいた名前を思い出す。
雨栗さんの顔が明るくなる。
「そうだよ!るーくんだよね?」
そうだ。僕はあの子にそう呼ばれていた。
──ああ、ようやく見つけた。
僕の、初恋の人。
それから僕は雨栗さんから話を聞いた。
どうやら転勤族だったようで、各地を転々としている時に僕と会ったそうだ。
「あの時はびっくりしたな〜。だって、すっごく可愛い男の子が居たから」
笑いながら雨栗さんが話す。
「私その子に一目惚れしちゃってね。ずーっと、探し続けてたんだ」
「そうだったんだね」
こっちを見て微笑む。
「その男の子がるざぴだったんだよ」
「……僕もね、ずっと初恋の人探してたんだ」
僕も見つめ返す。
「ようやく見つけたよ、僕の初恋の人」
手を握る。
雨栗さんの顔が赤くなっていく。
「……るざぴ」
「何?雨栗さん」
「私と、お付き合いして下さい」
真っ直ぐ僕の目を見て言った。
僕の顔も、少し熱くなった。
「ずっと昔から好きでした」
「………僕もだよ。これからよろしくね」
そんな会話を陰から聞いている人が。
「ルザク君…初恋の人見つかって良かったな」
こめしょーが三角関係に悩まされるのは、また別のお話───