テラーノベル
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※かなり🎸がおかしい。
『大嫌いな貴方へ』
「若井最近おかしいよ」
そう元貴に言われた。俺は自覚がない。
最近おかしいことをしたつもりがない。
「……そんなことないよ、……」
気弱な声でつぶやいた。
ギターのフレーズも難しながら頑張ってるつもりだし、会話だって弾んでるはずなのに。
なのに、元貴の鋭い視線が刺さる。
「……嫌い、今の若井」
「大嫌い」
心に矢が刺さる。
そんなこと言われたのは初めてだった。
元貴は何があっても嫌いなんて一言も言わなかったし、言われたこともない。
喧嘩した時だってそんなの言われたことないのに。
俺の口が思わず止まる。
なんで、?俺何か酷いことした……??
どうして、どうしてなの。
ねえ、元貴。
「ぉれ、おかしいの、?」
「……ッ、おかしいおかしいよ、」
何度も言われる。
そこまでくると心に傷ができてしまう。
おかしい。おかしい。
全部脳内で再生されて、埋め尽くされる。
そんなに嫌われるなんて、
「俺、……何も、……」
何もしてないよ?
声にならなかった。
声が枯れた。ひゅぅっと喉を鳴らしながら止まる。
俺は元貴が好きだ。
ずっと、ずっと、愛していたのに。
だから、好かれる努力をしたのに。
おかしい、嫌いなんて、言わないでよ。
俺が悲しいじゃん。
すると、元貴が立ち上がり、どこかへ向かおうとしている。その先にはキッチンが見える。
「ねぇ、どこ行くの?」
「話しかけてこないでよ”ッ!!」
元貴が荒ぶっている。
そして、包丁を手にした。ぎゅっと握っていた。
誰かに殺意でもあるかのように。
「何してるの、危ないよ、……?」
包丁には血が少しだけついていて、人間の血のようだった。不思議だ。
「……死ぬ、こんなの、嫌だよ」
元貴が首部分に包丁を当てる。
俺は必死に止める。
「何してんだよ!!」
「死ぬなんて考えんな、やめろよ、」
元貴が死んだら、みんな悲しむ。
俺だって、好きなのに。
涼ちゃんだって、……あれ、?
いや、今思いを、伝えるんだ。
そうすれば元貴は止まってくれるかも。
「……俺、元貴のことが、」
「やめて、”気持ち悪い””ッ!!」
その思いはあっという間にかき消された。
どれだけ、俺は、
「……っ、そこまで、嫌いなのかよ、」
元貴に嫌われていたのか。
愛の告白くらい言わせてよ。
好きなのに。なのに、
「どうして、そこまで俺が嫌いなんだ、!?」
「前までそんなことなかったじゃん、!!」
そう。この理由さえわかれば、俺は改善してあげるのに。今すぐにでも。
だって大好きなのに。
愛しの元貴は青白い顔をして言う。
軽く笑っていたように見えた。
「誰のせいでこんなことなってると思うの?」
「……ぇ、…?」
誰のせいで、こんなことになってる??
わけがわからない。
「どういうこと、?」
「……何言ってるの、理解してないの、?」
「ねぇ、元貴」
元貴に歩み寄る。
「こっちこないでよ””っ!!!!」
首元にあった包丁がこちらに向いた。
……俺を殺す気…??
「俺のことを嫌う理由は何!?俺なんかした!?したなら治すから!嫌いとか頭おかしいとか、そんなの俺だって傷つくよ。俺元貴のこと好きだから、」
「好きならなんでこんなことしたの!?」
「……こんなことって、……?」
元貴が何を言ってるのか、俺にはわからない。
あーこんな時に涼ちゃんがいたらいいのに。
「……ねぇ、そういえば涼ちゃんは?」
涼ちゃんは今日姿を現さない。
どうしてだ、?買い物にでも行ったのかな。
にしては遅い。遅すぎる。
「はは、お前がそれ言うんだ??」
「……何、?」
俺が怪訝そうに顔を見る。
元貴が嘲笑う。
そして、大声で叫んだ。
「お前が涼ちゃんを殺したんだよッ”!!」
息が止まる。
「……な、にいってるの、?」
「お前が殺したんだよ、涼ちゃんを、俺が大好きな涼ちゃんを、…っ!!」
「………」
へー、そうなんだ。
だから、嫌いって言ったんだ。
でも、なにかおかしくない?
「それがどうかした?」
「……え?」
「涼ちゃんが死んだから何?」
思い出した。
俺が殺したんだ。涼ちゃんを。
呼び出して、その包丁で何回も何回も。
「……ッやっぱりおかしいよ、若井、」
「俺の苗字やっと呼んでくれたね笑」
「……気持ち悪いッ”…」
「仕方ないよ、涼ちゃんがいけないんだよ?」
「……それは、……」
「内緒で付き合ってたんだよね??」
「俺の気持ちを踏み躙っておいてね、?」
俺は元貴から包丁を奪い取る。
そして、矛先を愛する人に向ける。
「ぁ、”っ、……」
「今の元貴」
俺は舌を出して言う。
「だーいきらい」
ある日。
『ミセス2人失踪か!!??』
というニュースが後日届いた。
コーヒーを嗜みながら、俺は笑う。
「笑精一杯愛してあげてるのにね?」
そういいながら俺はでかい人形を見つめた。
人1人分入りそうな大きなぬいぐるみだ。
そのまま抱きついた。
「ぅ、”」
と声が漏れた。
なので思いっきり殴ってあげた。
うめき声をあげて、何も聞こえなくなった。
そして、少し血が垂れていた。
「愛しの元貴、大嫌いだよ」
そう嘲笑いながら、
俺はぎゅっとぬいぐるみを抱いた。
the end
ちょっとは意外性ありましたかね、…
読切だけど、いいねと感想ちょーだいね!!
コメント
8件
狂ってるの大好き、ありがとう!()
え、まってこういうの好きすぎてやばい
なんやこれ、好きすぎる、、