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「はぁ……」
私は窓際に寄りかかるようにして、静かに息を吐いた。
ちぐさはなにか察したのか、言葉を探すように唇を噛んでいる。
しばらく沈黙が流れたあと、ちぐさは小さく声を震わせた。
「ねぇ、私のこと嫌いになったん? 最近、ずっと冷たいやん……」
私はすぐには答えられなかった。
怖い。
でも今日言うって決めたからにはやるしかない。
教室の外から、グラウンドの掛け声が微かに聞こえる。
遠くの夕陽が、少しずつ窓の縁を染めていく。
「嫌いっていうか……もう、疲れたんやと思う。」
ちぐさの肩が、わずかに揺れた。
沈黙が再び落ちる。
私は息を吸い込み、静かに続けた。
「“さなしかいいひん”って言うけど、それ、ただの依存やん。」
「誰かに甘えるのが悪いんやない。でも、あんたは“全部自分の都合”で人に寄りかかってる。」
「だから人間関係、いつも長続きせぇへんねん。」
ちぐさは目を伏せたまま、何も言わなかった。
窓の外では、夕陽がゆっくりと沈んでいく。
「しかも、“自分の言ってることは絶対正しい”って思い込んでるやろ。間違ってても。」
「思い込みで動いて、のんちゃん※にも迷惑かけてるのに、それにも気づいてへん。」
言い終えたあと、私はふっと笑った。
「もう無理に“仲良し”やってるふり、やめるわ。私、正直になる。」
教室の時計の針が、ひとつ音を立てた。
その音が、私たちの間の時間を区切る合図のように響いた。
※のんちゃん=同じクラスの女の子