ジュレカ(妹)からマリネットが記憶喪失になってしまったことを知らされた。
しかし、記憶喪失になる前の彼女から事前にその事を俺と、クワミにだけ伝えられた。
マリネットの最大の秘密…レディバグとしてシャノワールとこの街を守って”いた”と言うことを俺らだけが知っていたからだ。
彼女の一番の相棒だったシャノワールにはこの事を伝えていなかった。彼女の秘密を俺だけ知っている有利な立場についていて優越感を覚えざる得なかった。
彼女のハートを独り占めに彼は知らない内にしているのだからこれくらいは良いだろう?
俺は彼女の元カレで今でも彼女が好きだ。こんな未練たらたらな自分に嫌気が差す。
でも彼女の幸せを一番に願っている。彼女の全てを唯一知っている俺だからこそ彼女にとって一番幸せな人生の道を歩んでほしい。だから今日もそのレールに導く。
「こんにちは、デゥパンさん、チェンさん。マリネットは居ますか?」
「話したいことがあって…。」
俺がそう言うとお二方どちらもにこにこした。
「ええ。いるわよ?ルカ君が来てくれて良かったわ。」
チェンさん(マリネットの母親)が微笑んだ。
「まさか別れ話じゃないだろうなぁ?」
デゥパンさん(マリネットの父親)が心配そうな目をした。
「いえいえ。そんなわけないですよ。」
何せもう彼女に振られてしまった身なのだから。
「マリネット、ルカ君が来てくれたわよ。あがってもらっても良い?」
彼女の承諾が得られたので部屋へ入った。
部屋へ入るとあのブロンド髪の彼の写真が大量に張られていた物らが全て無くなっていた。
彼女の記憶が無いことに実感する。
「やぁマリネット。調子はどう?」
「大丈夫よ。」
大丈夫と言いながら何だか寂しそうなメロディーを心が奏でていた。
「あの…私…」
「記憶喪失みたいであなたの事を何も覚えてないの…だから…その…」
「うん。ジュレカから聞いたよ。ママママリネット。」
「えっ!うそ。私そんな事言ってた!?」
やはり記憶を無くしても同じ旋律の心の持ち主なんだ。
「初めて出逢った時と全く同じ反応をしてたよ。」
「君とはね、君の誰も知らない秘密を知っているよ。」
「俺はそうだな…君の…」
ここで彼女に嘘の事を言うことができる。しかし真実を言うのが筋が通っているだろう。
しかし真実を言うと彼女の過去に触れないといけない。まだその時ではない。
よし、真実の一部だけを言おう。
「悩「秘密の共有者?」
おお被せてきた…。そう言うことにしておこう。
もう俺は彼女にとってそれだけの関係だった事にして、俺の心の中に永久に閉じ込めておこう。
そのために根回しをしておこう。
ピザ屋の店長からだ。
「午後空いてる?」
彼女には絶対にいち早くあって貰わないといけない人がいるのだ。
彼女の返事を聞かずに俺はまた、ピザ配達に戻った。
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