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〜sideルカ〜
一昨日、ジュレカからマリネットが記憶喪失になってしまったことを知らされた。
しかし、記憶喪失になる前の彼女から事前にその事を俺と、クワミにだけ伝えられた。
俺はマリネットの最大の秘密…レディバグとしてシャノワールとこの街を守って”いた”と言うことを俺らだけが知っていたからだ。
彼女の一番の相棒だったシャノワールでさえこの事を伝えられていなかった。
彼女の秘密を俺だけ知っている。流石に俺でも優越感を覚えざる得なかった。
彼女のハートを独り占めに彼は知らない内にしているのだからこれくらいは許してほしい。
俺は彼女の元カレで今でも彼女が好きだ。
こんな未練たらたらな自分に嫌気が差す。
でも彼女の幸せを一番に願っている。だから二人の仲を引き裂こうとは全く思わない。
彼女の全てを唯一知っている俺だからこそ彼女にとって一番幸せな人生の道へと支える。
だから今日もそのレールへと導く。
Y字路にある小洒落たパン屋の前に自転車を止める。
中へ入るとマリネットの父母が働いていた。
「こんにちは、デゥパンさん、チェンさん。マリネットは居ますか?」
「話したいことがあって…。」
俺がそう言うと俺に気づいたらしく、
お二方どちらもにこにこと目線をパンからこちらに変えた。
「ええ。いるわよ。ルカが来てくれて良かったわ。」
チェンさん(マリネットの母親)が微笑んだ。
「まさか別れ話じゃないだろうなぁ?」
デゥパンさん(マリネットの父親)が心配そうな目をした。
「いえいえ。そんなわけないですよ。」
何せもう彼女に振られてしまった身なのだから。
「マリネット、ルカ君が来てくれたわよ。あがってもらっても良い?」
彼女の承諾が得られたので部屋へ入った。
部屋へ入るとあのブロンド髪の彼の写真が大量に張られていた物らが全て無くなっていた。
彼女の記憶が無いことを改めて突きつけられる。
「やぁマリネット。調子はどう?」
「大丈夫よ。」
大丈夫と言いながら何だか寂しそうなメロディーを心が奏でていた。
「あの…私…」
「記憶喪失みたいであなたの事を何も覚えてないの…だから…その…」
「うん。ジュレカから聞いたよ。ママママリネット。」
「えっ!うそ。私そんな事言ってた!?」
やはり記憶を無くしても同じ旋律の心の持ち主なんだ。
「初めて出逢った時と全く同じ反応をしてたよ。」
「からかわないでよー!」
どうしても彼女のことを愛おしく感じてしまう。
彼に渡す前にもう少しだけ、もう少しだけこんな時間が続けばと思ってしまう。
しかし俺は時間を操作する者としての役目を果たさなければ。
「君とはね、君の誰も知らない秘密を知っているよ。」
「俺はそうだな…君の…」
ここで彼女に俺に有利な嘘の事を言うことができる。
しかし彼女は嘘を付かれることは嫌いだ。
あの狐のような人間とは同じには俺もなりたくない。
だから真実を言うのが筋と言うものだろう。
しかし真実を言うと彼女の過去に触れないといけない。
でもまだその時ではない。
彼女に関わらないほんの一部の事実だけを伝えよう。
「悩「秘密の共有者?」
おぉ。まさか被せて来るとは…。そう言うことにしておこう。
この思いは俺の心の中に永久に閉じ込めておこう。
もう俺のは終わったんだ。
ピザ屋の店長からだ。
「午後空いてる?」
彼女にはいち早くあって貰わないといけない人がいるのだ。
彼女の返事を聞かずに俺はまた、ピザ配達に戻った。