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sideルカ
店長に住所を貰い、自転車を走らせて到着した先はアグレスト家だった。
この家はセレブ住宅街の中でも飛び抜けて豪邸な家。
数日前までは人が道路にはみ出す程にごった返していたのに今は静まり返っている。
その静けさがとてつもなく重い空気をまとっているように感じる。
人があふれかえって居たのはとあるヴィランの親玉正体がわかったである。
このアグレスト邸の主人ガブリエル・アグレストが
今まで数多くの市民達を悪者に変え、人々を恐怖に追いやった
**「ホークモス」**だったのだ。
ホークモス…もといガブリエルは今まで正体を隠して悪事に及んでいたが、
一ヶ月前、ヒーローのレディバクとシャノワールの活躍によって、
ガブリエルが悪事に使っていたピーコックとモスのミラキュラスを回収し戦いが終わった。
ここまでが民衆が知っている事実。
ここからは一部の人しか知らないトップシークレット。
ガブリエルが戦いに負けレディバグ側が勝利し、
レディバグがガーディアンとしてピーコックとモスのミラキュラスの回収しようとした所、
ガブリエルが取引を求めた。
取引と言うのはガブリエルの悪事の目的が
最愛の妻、エミリーを生き返らせる為であり、生き返らせたら返すというなんとも
理不尽な内容だった。
でも彼女はとても慈悲深い少女だった。
願いを叶えるのは禁忌のもので使ってはいけないものだったのだが、
それを聞き止める意志が少し揺らいでしまった。
そして彼は父親が敵の親玉であり、母親を生き返らせるためにと告げられ放心状態となっていた。
そんな二人の隙をつきガブリエルは
レディバクのミラキュラスとシャノワールのミラキュラスを使い
エミリーを生き返らせることに成功してしまった。
そして人が変わったかのように潔くヒーロー達にピーコックとモスのミラキュラスを返したそうだ。
しかし、ここで話は終わらない。願い事には代償の付き物。
代償としてガブリエルの秘書であり、
エミリーの親友でもある探検を3人でしていたナタリーが命を落としてしまった。
その事を生き返ったエミリーが知り絶望し、夫のしたことを恨み罵ったが
ガブリエルは全く気にせずに再開を喜んでばかりで
エミリーは生き返って早々別居生活を送った。
彼女曰くガブリエルにも代償があり良心を失ったのだろうと。
その事でガブリエルは息子も仕事も全く手を着けず
狂ったように永遠とエミリーに電話をかけ続けているようだ。
ガブリエルの息子、アドリアン・アグレストはというと、
ヒーロー、シャノワールとして戦って居るときに
「アドリアン・アグレストはセンチモンスターだ」とつげられた。
センチモンスターほとんど人間と同じなのだがは所有者によって作られ、
コアになるものによって操られてしまう、という物だ。
自分が人間ではなかったと聞かされて問いただしたくなるだろう。
しかし、シャノワールの時に聞くと自然と身バレしてしまう。
だからアドリアンのときに聞こうとしたらもう父が狂っていたそうだ。
母が亡くなってからアドリアンを軟禁し、ガブリエルもが引き籠もりになり、
ずっと家に居るのに父ともほとんど交流ができていなかった。
親の愛を与えられなかったアドリアン。
しかしとても冷たいがスケジュールの調節や
父とのコンタクトが取れるように交渉してくれていたりしてくれていた
ナタリーが母親代わりの支えになっていただろう。
でもそのナタリーまで居なくなり、精神が壊れてしまいそうな時
唯一の心の支えが彼の黒猫のミラキュラスだった。
しかしそのミラキュラスは
ガーディアンであるレディバクによって回収された。
彼は父親に見向きもされず、母親にも覚えてもらえず、唯一の心の支えまでなくなり
彼から笑顔という物が失われていた。
アグレスト家の話は以上。
この話は回収された黒猫のクワミ、プラックから聞いたものだ。
願いを叶える代償として使われたはずのてんとう虫と黒猫のミラキュラスは
何故かミラクルボックスに戻っていたそうだ。
魔法はどんなことが起こるか想像もできない。
そしてアグレスト家、アドリアンと来るとマリネットだろう。
マリネットは自分が甘いせいで禁忌が起こるのを許してしまった。
そして1人の人間を殺めてしまったという罪悪感に心が蝕まれて行った。
そうしてしばらくして彼女はもう背負いきれなくなり俺に相談に来た。
俺は彼女の元カレだが彼氏になる前から相談役を担っていたからまぁ。
相棒より元カレ、相談役の俺の所に来てくれたのは嬉しい誤算だ。
そして今の街には警察らもいて平和と言えると彼女を諭すと、
翌日の夜 この世界からヒーローが消えた。
そのとき彼女の瞳のような夜空だったようだ。