コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
注:誤字・雑字等があるかもしれません。ご了承ください。
午後10時。
「ハァ…ハァ…」
暗い闇の中、リオが全速力でで通学路を駆け抜けていく。
「ヤバイ。ヤバイヤバイ!門限過ぎちゃったよ。このままじゃあ殺される!」
リオの家の門限は午後9時。1時間も過ぎている。
母ちゃんは怖い。ちょっとした事ですぐ怒る。門限を過ぎたらなおさらだ。
頭の中で門限を破った言い訳を考えながら、ただただ走る。
家が見えてきた。ゴクリとつばを飲む。叱られる覚悟はできた。
「あっ!」
リオは声をあげる。
暗闇で見えなかったが、直ぐ目の前に電柱があった。このままでは電柱に激突してしまう。
急いで止まろうとしたが、もう遅かった。
ゴンッ…と音を立てて電柱にぶつかる……はずだった。
「痛っ…てあれ。痛くない」
電柱にぶつかったはずなのに痛みがない。おでこを触ってみる。たんこぶもできていない。
勢いよくぶつかったはずなのに痛みがないのも不思議だが、それ以上に不思議なことがあった。
「なっ、はぁ!?」
まぬけな声を上げ、リオは立ち尽くした。
通学路にいたはず…なのに。
そこは壁も床も天井も黄色い、異質な空間だった。
天井には蛍光灯がついていて、常時耳障りな不快な音がなっている。
不安と恐怖ともにどこか懐かしさも感じる。この空間はいったい……?
「なんだよここ…なんか、気味が悪いし…」
さらに不安や恐怖が倍増する。
「ど、どうしよう。歩いてみるか…?」
ここでずっと立ち尽くしているのも得策ではない。戸惑いの色を見せながらもリオは足を進めた。
何時間経っただろうか。いや、まだ数分、数十分しか経っていないのかもしれない。
未だ出口は見つからない。まず出口があるのかもわからない。
「のど…乾いたな」
どこかに飲み物が落ちていないかとあたりを見回してみる。
(まぁこんなところに飲み物なんて…ん?)
この黄色い空間にポツンと一本ペットボトルが置いてある。
恐る恐る近づいてみる。普通のペットボトル。中に何か赤い液体が入っている。
「これ、飲み物かな?でもなんか赤いし…」
ペットボトルを目の高さに持ち上げ、まじまじと見てみる。
「変な色してるし…ラベルも海外のものみたいだし…どうしよう」
うーん。と唸っていると。
ペタ。
…背後から、足音が聞こえる。
ペタ、ペタ
ゆっくりと何かがこちらへ向かってきている。
(なんだ…?)
……嫌な予感がする。
そして、そいつは姿を表した。
「……え」
それはつるのような手を持ったよくわからない生き物だった。
何の生物にも例えられない。それはまさしくエイリアンだった。
「@/1i1○→7×」<○〆1÷4〒1÷」
そのエイリアンがよくわからない奇声をあげる。
そして私に向かって走ってくる。
「う、うわああああああああ!!!」
リオは間一髪のところでそのエイリアンの突進をかわす。
「あ、ああ、に、逃げないと」
リオは立ち上がり全速力で走り出した。それとともにエイリアンもリオを追いかけ走り出す。
「ハァッハァッ…」
どれだけ走ってもそのエイリアンは息切れする様子もなく、相変わらずよくわからない奇声をあげながら追いかけてくる。
細い通路に飛び込む。そこは行き止まりだった。…が
(……あ、穴がある!)
床にポッカリと穴が空いていた。後ろにはエイリアン。前には穴。
もうこの穴に落ちるしか逃げ道はない。
もしかしたら死んでしまうかもしれない。だが、このエイリアンに殺さるよりはマシだろう。
リオは意を決して飛び込む。
冷たい風が頬に当たる。かなりの速度で落ちているようだ。
「うわっ!!」
バランスを崩し、その場に倒れ込む。どうやら無事逃げ切れたようだった。
腰を抑えながら立ち上がると、そこは
倉庫のようなコンクリートに囲まれた空間だった。