コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
だてなべ
※めちゃめちゃ序盤からヤってます
渡辺side
きっと俺は今、欲情しきった酷い顔をしているのだろう。この顔を見られたら、このフェロモンに彼が当てられてしまったら。なんて考えていると今になってちょっとだけ怖くなった。そもそも彼がαになったのは本当の話なのかもわからない。俺を傷付けないための嘘だったのかもしれない。その真相を告げるかのようにゆっくりと扉が開いた
『…ぅ、あ、涼太』
一瞬怯んだように一歩後ろへ彼は後退る。照と同じような反応、バースが変化したというのは本当だったんだろう
「…翔太、近く行ってもいい?」
『…ん、いいよ来て』
情けないことに動くことさえままならないから彼を呼んだ。彼が近付くほどにαらしい香りが強くなっていく。でも他のαとは何か違う、甘くて安心する不思議な香り。呆気に取られているとその匂いが一層強くなり包み込まれて吃驚する。その事実だけで、彼に抱き締められていると理解するのは容易かった
______________________________________
宮舘side
『っあ、りょ、た…ッ~~♡』
「は、ぁ…、翔太…っ」
強すぎるくらいのフェロモンに当てられて彼を押し倒してしまってからこうなるまでに時間はそれほど必要でなかった。見たことのない彼の表情はいつもの数倍煽情的で耽美で止まろうなんて気も起きなかった。誰かが間違えて入ってきてしまったら、とか声が外に漏れてしまっていたら、とかそんなことを考える暇もなかった
『…ぁ、♡、ごめんちょ、っと、…止まって、』
「ぁ、ごめん苦しかった、?」
『そうじゃなくて、』
がっつきすぎたかと一人で反省しているとどうやら違うらしい。言い淀んでいる彼は唇を軽く噛んで伏し目がちに何かを考えているようだった
「…?」
『どうしても…涼太にしか頼めない、こと、があるから。聞いてくんないかなって、』
「俺にしか、?」
このタイミングで俺にしか頼めないこと。…何だろう、検討もつかない。まあ大体なんのお願いでも応えてあげられるだろうと思い話の続きを促すように彼の頬を撫でるとついに何かを決心したのか真っ直ぐ目を見てはっきりとこう言った
『…俺の、項噛んでくれないかな、って』
何を言い出すかと思えばなんか凄いこと言い出したんですけどこの人。彼はその意味をわかっているのだろうか。俺が項を噛んだら、仮に好きな人が他で出来たとしても半永久的に俺と番関係は解消できないと言うことをわかって言っているんだろうか。
「それ…は、」
嫌なわけがない、でも一時の迷いで一生後悔させることなんてさせたくないから。誰よりも大事にしたい人だから、だからこそ決断が出来なかった。でもこの沈黙できっと彼をまた不安にさせてしまっている、早く答えを出さなければ
『…やっぱ、俺じゃダメなの、?』
「…え?」
俺じゃダメなの?聞き間違いではなく、そう言った。反対に聞いてやりたいくらいだ、本当に俺でいいのかと
『やっぱ俺じゃ、涼太の恋人には…番にはなれないよな。ごめ、変なこと言っ』
「ちがっ、違う。」
『違うってなんだよ、』
またこんな顔をさせてしまった、いい加減腹を括るべきだろう。心の中で自分を叱責してから、彼にこの気持ちが少しでも伝わるように、取り違えが無いように。今度は俺が胸の内を明かす番だ
______________________________________
渡辺side
「ちが、違う」
『違うってなんだよ、』
違う?何が違うの、好きじゃないなら期待させるようなことすんなよ。これ以上好きにさせないで。何度無くそうと思っても消えなかったこの恋心は今も尚俺の胸を苦しめる。お願いだから諦めさせて。好きじゃないって、お前のことは友達だとしか思ってないって言葉にしてよ。彼の口から直接聞くまで俺はきっと諦めきれない。彼が息を吸い込んだから、やっと諦めきれると思ったのに
「あのさ、翔太」
『…うん、』
「翔太はほんとに俺でいいの?」
『…へ?』
「翔太の番、ほんとに俺でいいの?」
『…で、って言うか、涼太がいい。』
ここまで言ってもまだ迷っているようだった。何でだよお前煮えきらねえな。ダメ押しでもう一回、言い方を変えて伝えてみる
______________________________________
宮舘side
『…俺は、涼太じゃなきゃやだ』
「そっか、…ありがとう」
彼が俺と番になることを望んでくれているのなら、本当に相手が俺で後悔しないのなら。そう思っていたけれど、こんなのは甘えだ。俺が願ってこうなったのかもしれないのだから絶対に後悔はさせない。再度覚悟を決めて彼と向き合う
「好きだよ、翔太」
『…ん、俺も』
露になった、その白くて綺麗な首筋に歯を立てた