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めめあべ
阿部→「」
目黒→『』
阿部side
「…っ?!何この匂い」
楽屋まで行こうと廊下を歩いていたらとある部屋から物凄い濃いフェロモンが出ている。こんな強いΩいたっけ?あ待ってヒートだけじゃない、多分ラットも誘発されてる…ってことはここで誰かシてるってこと?大胆だなぁ、やめときなよ。なんて考えているとふっとフェロモンの匂いが弱まって数十秒後にはすっかり消えた。え、待ってここの人たちひょっとして今番になった?良くないことをしているのはわかっているが好奇心が抑えられなくて少し聞き耳を立ててみると聞き覚えのある声の会話が
“…いってぇ、”
“ごめん思いっきり歯立てちゃったから、”
“んや涼太のって印だから別にいいんだけど”
“なんでそんな可愛いこと言うの…”
待って嘘だろゆり組?!ここやっとくっついたのか~!!ごめんなさい取り乱してしまいました。いやでもほんとに良かった、明らかに両想いなのにお互い片想いだと思ってるみたいだったから心配してたんだよね。…俺たちも、こんな風に番になれたら良かったのに
『…阿部ちゃん何してんの』
「!?めめ、しーっ!」
『…?何、』
「後で話すから、一緒に楽屋行こ」
大好きな恋人の手を取って歩き出す。握り返してくれたその手は付き合い始めた頃と変わらず優しくて、大きくて、温かかった
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『俺…さ、阿部ちゃんのこと好きなんだよね』
「え、」
『後悔はさせないし絶対幸せにするから、俺と____ 』
俺には大切な彼氏がいる。きっかけは1年前、めめが俺にだけ何もない日にプレゼントを渡してくれたりデートに誘われたり。あれーめめ俺のこと好きなのかな、俺もめめのこと好きなのかなって思いだした頃に告白されてスタートした交際。凄く嬉しかったけれどあの時ついてしまった嘘を撤回出来ないでいる。
付き合って1ヶ月くらいのときだったかな、あの質問をされたのは
『そう言えばさ、阿部ちゃんバースって…?』
「んー逆にどれだと思う?」
『えーじゃあこれであってほしいと言う期待を込めてβ』
この発言できっと彼はβだから俺がβであることを望んでいるんだと思った。俺は彼の望む性ではない、けれど折角実ったこの恋を無かったものにはしたくなかった。
「正解!なーんの取り柄も面白味もないよね、ごめん笑 めめもβ?」
『ん、そうβ』
ごめんね、理想の彼女になれなくて。
俺のバースは、αだ
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俺には大事な彼女がいる。きっかけは1年前くらい?俺が猛アタックしてやっとこさ射止めた。頑張り屋なとことか、あざといとことか、時々見せる雄な一面とか。何もかもに惹かれて気付けば彼のことしか考えられなくなっていた。彼のことは何でも理解してあげたいし彼に対しては一層正直で居たい。そう思っているのに、俺はあの時ついてしまった嘘を訂正できないまま日々を過ごしている
『そう言えばさ、阿部ちゃんバースって…?』
「んー逆にどれだと思う?」
質問返しは考えていなかった。けれど彼からはα特有の威圧感みたいなものは微塵も感じたことがないし、ヒートを起こしているところや抑制剤を飲んでいるところも見たことがない。何より、今よりももっと関係を深めていくことを考えるとβであってもらわないと困る
『えーじゃあこれであってほしいと言う期待を込めてβ』
これでβじゃなかったらどうしよう。…俺はもう、あんな思いはしたくないから
「正解!なーんの取り柄も面白味もないよね、ごめん笑 めめもβ?」
ほんとにβだった。その言葉を聞いて安堵したと同時に少し残念な気もした。そのときは何故かはわからなかったけれど
『ん、そうβ』
ごめん、嘘つき続けてて
俺のバースは、Ωだ
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目黒side
「…んで聞き耳立ててたらゆり組があの部屋で、こう…何て言うの?」
『…あ、愛し合ってた、?』
「…うん、まあ、そう、」
楽屋へ続く廊下を彼と歩きながらさっきドアの前で真剣な顔をして何か聞いていた理由を問うと熱弁された。要約するとゆり組がくっついて尊い、って感じでいいのかな。俺もいつか阿部ちゃんと、なんて思ってはいるもののそういう場面になれば何かの拍子でヒートが来てしまうかもしれない。そうなってしまうと今まで作ってきたこの関係性が全部崩れてしまうかもしれない、それが怖くて言い出せない。だから1年付き合ってしたのはキスまで。そんなこんな歩いていると楽屋についたため入ると岩本くんと康二がいた
【お疲れ~い】
『お疲れさまでーす』
「おつかれ~」
《お疲れさん!あ、そいやしょっぴーどんなやった?見とらんかな》
『あ…っとね、…阿部ちゃん』
「えー……平たく言えば、番になってました」
【え、】
《ほんま?!?!》
【やっぱ舘さんバース変わってたんだ】
《え、だてバース変わったん?すご…》
バースが変わってめでたく結ばれたらしい。いいなぁ、漠然とそう思ってしまった。俺がαで彼がΩならどれほど良かっただろうか。ずっと彼を守るのは俺がいいと思っていた。絶対に彼を守って見せると決めたのに、俺はΩで彼はβで。やっぱりΩと言うだけで不利になる。神様は不平等だ
【こういうことあるから番って大事なんだろうな】
岩本くんがちらりと此方を見てそう言う。俺たちが付き合っていることは知っているけれど、俺たちの…いや、阿部ちゃんのバースは知らないからだろう。その視線に気付いてか気付かずにか、阿部ちゃんが口を開いた
「俺らはβ同士だからあんま関係ない話だよね、多分舘さまは翔太のフェロモンに何回も当てられてチェンジしたわけだろうし」
このときばかりは彼の思いやりが痛かった
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阿部side
バースという壁を超えてまで結ばれた彼らが心底羨ましかった。一緒に居る歴が長いからこうなったのだろうか、だとしたら俺たちはあと何年一緒に居たら同じようになれるんだろうか。αであるというだけで怖がられ、尊敬されてきたのが嫌だった。自分の本当のバースを言えばメンバーでさえも過去に関わってきたアイツらと同じ反応をするんじゃないかと思った。だから自分にも彼にも、今照にも嘘をついた。俺を、俺のままで愛してくれる人は居ないのだろうか。悶々と悩んでいるとこの負の感情を断ち切るようにして照の声が耳にはいってきた
【今日の撮影全体の分はちょっと延期だって、個人のだけ撮ったら帰っていいぞ】
何その形式、じゃあ俺もめめも終わったから帰れるじゃん、早っ。一緒に帰れるかな、と少しドキドキしながら彼の服の裾をくい、と引っ張って声をかける
「んね、めめ」
『ん?ぁ、阿部ちゃん』
「俺らもう撮影ないよね?」
『そうだね』
「一緒に帰らない?」
小首を傾げて聞くと彼は柔らかい笑みを浮かべた。そのまま手が伸びてきてそっと俺の頭を撫でる。愛おしむように、もっと簡単に言えば俺のことを好きで堪らないと言うように
『もちろん、俺も誘おうと思ってた』
「ほんと?誘い待ちしとけば良かったなぁ笑」
『じゃあ俺から1つ提案ね』
「…?なに?」
『今日、俺ん家泊まらない?』
「え、逆にいいの?」
『全然いいよ笑 よし決まり、帰ろっか阿部ちゃん』
この時俺は気付いていなかった。彼が家に俺を呼んだ理由にも、彼が1年間つき続けていた嘘にも