テラーノベル
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クマ耳の少年と邂逅してから、1週間が経っただろうか。
だがLatteは相も変わらず歩みを進められないままでいた。
「…」
(…結局収穫はなし。)
思考はただぐるぐると回る。
(…変な奴に絡まれるし…あーもう、最っ悪)
Latteは布団の中で深く、深くため息をついた。
(もう…!!全部めんどくさい、こんな世界無くなればいいのに…)
苛立ちが限界に達し、強く思った。
_Latteは全てを投げ出したくなり、そう心から願った。
出来心だった、そんなことあるはずがないと思っていた。
そうやって願ったって世界は回って、何も変わらず人は日常を過ごしていくのだろうと。
_その時だった。
その時、けたたましいほどに街に響くサイレン音と、街を飲み込まんとする、血のように赤く何度も点滅を繰り返す光が街全体を覆い隠した。
緊急速報、緊急速報です。
反逆者の存在を確認、直ちに処分せよ。
反逆者の存在を確認、直ちに処分せよ。
_そんなアラートが嫌なほど鳴り響き、Latteは慌てて外に出る。
警告を続ける無機質な声と、鳴り続くアラートがあまりにも耳障りで、次第になにも考えられなくなる。
「…!?何が!?え!?」
一瞬、自身の発言がトリガーになったのかと思い、酷く焦る。
「…だーっ!!うるっさ!!ほんとに!! 」
呼吸が安定しなくなり、ここから逃げないとという強迫観念にも近いものに囚われたLatteは、家を早急に出る準備をしていた。
真っ赤になった世界を、気づけばLatteは走っていた。
何があった?何があった?何があった?
焦りが限界に達し、どこに向かうかも分からないその足をただ動かしていた。
「きゃぁあああっ!!!早く!早く逃げて!!」
「おい!押すなクソが!!」
民衆の悲鳴が耳に刺さりながらも、それらを掻い潜りLatteは走っていた。
_どこに行こう?そんな事すら頭にはなかった、もう精一杯だ、考える頭なんて残っていない!
(…ダメ、ダメだ、早く早く早く…早く逃げないと、ヤバ)
警告の音が、ただ繰り返し鳴って、アナウンスが緊急事態を知らせて、それは絶えずLatteの耳に届く。
(…っうるさい!!!黙れ黙れ!わかってんだよんな事!黙れ!)
(うるさい!!今じゃねぇだろ!!なんで!!?)
(ぁああっあぁあ!!誰だよ!!誰が反逆した!?誰が楯突いた!?わかんない!わかんない!!!)
(私は関係ない私は関係ないわたしは…ぁ、ああ、私は関係ない…私は私は!!)
何度も何度も何度も言い聞かせる。
喧騒と警報にかき消されそうな言い聞かせは意味をなさない。
ただ嫌な方嫌な方へ思考は進んでいった。
最早願うことすら反逆となったのか?いつ心は見えるものになった?いや、そんなわけが無い!私は関係ない!私は関係ない!いや、関係あるのか?
自問自答に夢中になり、どこかへ逃げなくてはという衝動性はどんどんと強くなる。
それはまるで執着だ、ひどく気持ちの悪いものだ。
(私はどうしちゃったんだよ!!?神に祈る所かちょっとの出来心すら許されないのか!?遺物か!?なんだよ!!!)
(私を巻き込むなよ!!私は危険な思想なんて無い!!)
(だめだ!!ダメだダメだ!!!)
ぐるぐるぐるぐると思考は回った、今までが嘘とすら思うほどにそれは鮮明に回った。
もう家ですら安息の地ではなくなったのか?怖い、違う、違う違う、
私を疑わないでくれ!!
そう願った、違うと、絶対に私は無罪だと思った。
…警報がなり止む頃、Latteの思考は段々と正気に戻っていく_そして、思い出した。
【皇が憎い?】
そう、アイツだ、絶対にアイツだ。
…アイツしかいないのに、どうして忘れていたのだろう?
___
_5日前の事だった。
「…”善“、もう引き返せなくなるぞ。」
「その名前が皮肉になっちまう前に、こんなことやめたらどうだ?」
やさぐれた40代の男が聞いた。
だが少年は、真っ直ぐと男の目を見た。
決意が燃え上がって、今にもなにか発動しようとでもしているかのようだ。
「…なら”ぜんこぱす”。ぽれの名前はこれでいいでしょ?」
「…ぽれはやるよ。」
「全部アイツらが悪いでしょ。」
「…はぁ、こぱすを付けることで相殺ってか、変なセンス。」
「確かに皮肉にはならねぇけどよ…まぁいいや。」
ぜんこぱすと名を改める少年は少しムスッとした目で男を見つめた。
「第2戦争中にぽれを誘拐して、さんっざん遺物の実験台にしたのはあっちでしょ?ならアイツらは悪だよ。 」
「リィン・システムとか、兵器とかいって、反吐が出る。」
「…はぁ」
男は煙草の煙を吐き出して、大きくため息をついた。
「…お前ら、いいよな?」
男は改めて、周辺の人々に聞く。
「今からすることは危険すぎる、下手したらまた第2戦争みたいなことが勃発するだろうな。」
「………」
静かに、全員の目を1人ずつ見た。
「いいのか?怖気付かないか?」
全員は頷いた。
まるで兵隊のように、そのタイミングは揃いすぎていて、傍から見たらきっと不気味に見えるだろう。
_だが、そんなことはもうどうでもいい、やるしかないのだから、今この時を逃したら、混乱が続くこれを逃したら_
どうなるか、分からないのだから。
Mist-404
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