テラーノベル
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優しく諭すような、どこか大人の余裕を感じさせるその言葉に寂しさを覚えつつも
心の底から満たされるような嬉しさが湧き上がってきた。
(こんな素敵な人に、もっと好きになってもらえるように……)
いつか自分を、もっと魅力的な人間に変えられたらいいな。
僕は小さく、心の中でそう願った。
◆◇◆◇
そんな会話を交わしてから、数日後の週末のことだった。
僕は出先からの帰り道、近くのスーパーで買い込んだ食材のずっしりと重い袋を
両腕で必死に支えながらトボトボと歩いていた。
「あー…めちゃくちゃ重い……」
腕にビニール袋の持ち手が食い込んで痛い。
買い物のついでに、駅前の薬局でヒート用の抑制剤を買い足してきたのは正解だった。
けれど、こんなに大量に買い込んでいるのには理由がある。
ここ数週間、なぜかいつもの薬の効き目が妙に悪いのだ。
これ以上強い処方薬にするのは副作用が怖かったけれど、この体調の不安定さは少し不気味だった。
「さっちゃん?……だよね?」
不意に、少し高い位置から聞き慣れた声が降ってきた。
驚いて顔を上げると、そこには――。
「え?れ、怜治さん……!?」
「やっぱり。こんな場所で会うなんて奇遇だね。買い物の帰り?」
いつもお店で見るエプロン姿とは違う、シックな私服に身を包んだ怜治さんが佇んでいた。
私服姿の彼は一段と大人っぽく、街並みの中でそこだけモデルの撮影現場かと思うほど眩しい。
「は、はい!ちょっと、その……抑制剤とか、色々まとめ買いしてきちゃって」
突然のプライベートでの遭遇に、全身が緊張でカチコチに強張る。
「すごい量だね、それ。腕、真っ赤になってるよ……ほら、半分貸して」
怜治さんは何の躊躇もなく
僕の両腕から特に重そうな方の袋をひょいと奪うように受け取ってくれた。
「えっ、わ、悪いですよ……!僕の荷物なのに!」
「いいのいいの。重そうに歩いてるさっちゃんを見過ごせるわけないでしょ。家どこ?途中まで送るよ」
「えっと、あっちの方向なんですけど……」
お言葉に甘える形で、僕たちは夕暮れの道を並んで歩き出した。
けれど、いつもと違う『プライベートのシチュエーション』と
すぐ隣から漂う怜治さんの香りに、心臓が変なリズムを刻み始める。
「怜治さんも、何か用事を済ませた帰りだったんですか……?」
「うん。今から自分の家に帰るところだったんだ。そしたら前方に、一生懸命大きな荷物を持った可愛い子が歩いてるなと思ってね」
さらりとそう言ってのける彼の横顔に、またドギマギしてしまう。
ふとした拍子に、お互いの肩が微かに触れ合う距離。
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