テラーノベル
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「まだお昼休憩には早いでしょ、真奈美?」
「勝手な行動からの、クビ決定だな」
「シャンパンでお祝いしたいから、その準備をしなさい」
「自分が解雇される祝杯準備とは、最後の仕事にピッタリだな」
呑気にくだらないことを言っていられるのも今のうちよ。
私は二人の間を肩でわって、廊下の真ん中を歩く。
「ちょっと、真奈美!無視するの?」
「業務放棄だな」
「そんなに出て行きたいなら、私が放り出してあげるわ」
後ろから私の肘を乱暴に掴んだ遥香の勢いは体当たりのようで、私がバランスを崩すと
「おっと危ない。俺はこっちを持とうか?」
と池田が反対側の腕を持った。
触れられるのは虫唾が走る……けれども、私は振り払い切れない程度に抵抗して二人のやりたいようにさせてやる。
「……っ……」
私が本気で腕を振り払わなかったことをいいことに、思い切り両方の手首を引っ張って歩く二人に引きずられ始める。
これは…手首が痛い。
ぁ……足が掃除機に当たった。
「ぃた……ぃ……」
絨毯の廊下から大理石の玄関ホールまで来ると、硬さからさすがに膝を打ち付けて痛い。
「やめてっ……」
「生意気な家政婦を追い出すだけよ」
「ほら、扉は目の前だ」
ビッ……とエプロンのポケットが何かに引っかかって裂ける音がする。
……あ……靴が片方脱げてしまった……
「何の騒ぎ?」
螺旋階段から奥様の声がしたけれど、このクズはどうでもいい。
遥香が堕ちれば一緒に落ちるに決まっているのだから。
「さようなら、真奈美」
そう言って遥香が玄関ドアを開ける時
「アナタこそ終わりよ、さようなら」
私は顔だけを上げて、はっきりと告げた。
「負け犬の遠吠え?今さら強がっても、所詮底辺の中の底辺でしかないあなたには何も出来ないのよ。大人しくパパと慰め合っていればいいわ。ここはアンタの来るところじゃなかったってことよっ!」
ドアを少し開けて動きを止めた遥香が、気持ち良さそうに大声を出したかと思うと
「ぃ……った……」
思い切り外へと引きずり出された。
痛い……けれど、何だか感じたことのない雰囲気に身を包まれ、私は玄関でうつ伏せに倒れたまま耳をすませ、視線を動かした。
……靴……誰?
二人?
私の視界に映ったのは、黒い革靴と白いスニーカーだった。
コメント
14件
誰❓
誰ーーー!! 皆様、ホントにこのままだと眠れませんよね😣
え!!!Σ(゚ロ゚!(゚ペ?)??? 篤久様と弁護士とか? ちょ、、、やべー、このままだと今日寝れない(笑)😅😅😅 気になりすぎデス💦💦💦