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雨の日に。

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雨の日に。

3 - いい雰囲気なのはいいことだけど。

♥

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2023年06月27日

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「今日も雨降るっぽいよ」

「そうなん?」



普段電車を使うけれど、数駅だけだから歩いて帰れる距離だ。俺もチャリ通でも良いかもしれないな。

空は分厚い雲で覆われていて、今にも降ってきそうだ。



「この時期は毎日雨だね」

「ジメジメしてて嫌なんよな…。きのこ生えそうや」

「そんな?」



変なこと言うよね、と笑って空を見上げている。俺も釣られて空を見る。




















「そう言えばさ―」

「ん?」

「昨日は大丈夫だった?俺に傘貸しちゃったから…濡れちゃったよね…」

「ああ、気にしなくていいよ」

「でも…」

「家近いんだ、俺。だから大丈夫」



なんだよ、めちゃくちゃ優しいじゃん。こんなの、俺が女子だったら好きになっちゃうんだろうな…

背も高いし顔もかっこいいし、その上優男なんて、完璧にもほどがある。



「…ありがと」

「うん」



歩道を二人で歩くって、なんか良いな。慣れないことだからちょっと緊張しちゃうけど。




















もう一駅分は歩いたと思う。特に方向も言う感じではなかったから、なんとなく自分の家に向かっていた。そう言えば、キヨくんの家はどのへんなんだろうか。



「キヨくんもこっち?」

「いや…」



キヨくんは後ろを指さして



「曲がり角過ぎちゃった」



へらっと笑ってまた歩き出す。

ってことは反対方向ってこと?

やばい…俺全然気が利かへんやん…



「えっ…じゃあ戻らないと…」



雨も降りそうだし、このまま俺んちまで歩かせるわけにはいかないでしょ。



「いいのいいの。俺が好きで歩いてるんだから」

「でも…」



そんな話をしていると、上空の雲が一瞬光った。



「雷…?」

「夕立来そうだな」



ゴロゴロとその音が近づいてくるのがわかった。するとポツポツと雨粒が頭に当たる。その感覚は徐々に狭まっていき、少しずつ地面を濡らしたかと思ったら



ザーーーーーーーーッ



「うわ!」

「こんな急に降ってくるかよ!」


俺は急いで傘を差した。リュックのキヨくんは傘を出すのか難しそうで、どんどんその体を濡らしていく。



「キヨくん」



これ以上濡れないように、自分の傘に入れてあげた。身長差があるから腕を伸ばすのに疲れてしまう。

俺が必死に濡れないようにしているのを見て、ふっと笑って



「ありがと」



と一言。なぜかその瞬間、少し胸のあたりがチクッとなった。なんだこれ…



「雨止むのかな…」

「夕立ならすぐだよ」



服なんてビショビショで、すぐに止んだとしてもこのまま帰ったら風邪を引いてしまう。俺はキヨくんにある提案をした。



「俺んち近いけど…寄ってく?」

「いいの?」

「誰もいないけど…少し服乾かしていったらどうかなって…」



するとキヨくんは俺が持っていた傘を取って、



「じゃあ、お言葉に甘えて」



と言って歩き出した。









To Be Continued…

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