美月の出産予定日が近づくにつれ、蒼と美月の生活は静かに、しかし確実に変わり始めていた。新たな命を迎える喜びと緊張が入り混じり、家族としての絆がますます強固なものとなっていた。そして、ついにその特別な日が訪れた。
ある晩、美月はリビングで蒼と未来ノートを開きながら、「もうすぐだね」と微笑んでいた。しかし、その数時間後、美月は深夜に急に陣痛を感じ、蒼を呼び起こした。 「蒼…きたみたい…!」 驚きと喜びで混乱しながらも、蒼は冷静に病院へ連絡し、美月を車に乗せて急いで向かった。
病院に到着し、緊張の面持ちで待つ蒼と、苦しみながらもどこか強い表情を浮かべる美月。彼らはお互いに手を握りしめながら「一緒に頑張ろう」と心の中で誓った。
数時間後、病室に小さな産声が響き渡る。その声を聞いた瞬間、蒼の目には涙が浮かんだ。そして、赤ちゃんを抱いた美月が蒼に微笑むと、蒼は静かに囁いた。 「美月、本当にありがとう。二人でこんなに素晴らしい命を迎えられるなんて…」
美月もまた涙を浮かべながら、赤ちゃんの小さな手を見つめた。 「この子と一緒に、私たちの未来をさらに素敵なものにしていこう。」
退院後、蒼と美月は赤ちゃんを家に迎え入れ、三人での生活が始まった。寝不足の日々や新しいリズムに戸惑うことも多かったが、二人は協力し合いながら、新たな日常を少しずつ築いていった。
ある夜、蒼と美月は未来ノートを再び開き、これまでのページを見返した。そこには、二人が描いた夢や乗り越えてきた試練がぎっしりと詰まっていた。蒼は美月に向かって言った。 「未来ノートは、俺たちの旅の証だね。これからも、このノートにたくさんの思い出を書き足していこう。」
美月は微笑みながら新しいページを開き、「家族三人で幸せを積み重ねていく」と書き込んだ。そして、そのページの端には小さな赤ちゃんの手形が押され、未来ノートはさらなる特別なものとなった。
それから数年が経ち、未来ノートには二人と子どもが共に過ごした思い出や、新たに描いた夢が増えていた。家族三人が笑顔で写る写真がその傍に挟まれていた。
物語のラストで、未来ノートの最後のページにはこう記されている。 「どんな未来が待ち受けていても、私たちは共に乗り越え、共に笑い合う。そして、新たなページを常に開き続ける。」
未来ノートは閉じられたが、その物語は終わることなく、新たな章を描き続けることを約束しているかのようだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!