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「教えて下さい」
和華がそう食い気味に答えるとニヤリと笑って「少し長くなるぞ」と言いました。
大日本帝国陸軍様は、他の日本兵達を見に行かないといけないそうで、ここで席を外しました。
後ろの方で青木さんが欠伸をしていたのは内緒です。
「そうだな、どこから話そうか。鈴木、青木、風堂。長くなるんだ、座れ」
愛華さんは後ろに立っている三人に座るよう命令しました。
「和華、ドールはどうして物心付いたときには自国の言語と日本語を知っているか分かるか?」
どうしてか、と投げ掛けられると分からなくなってしまいました。今まで、当たり前だと思っていたからです。
「分かりません」
ションボリとした感じで答えると愛華さんは「問題無い」と言いながら頭を撫でてくれました。
「青木、どうしてだと思う?」
愛華さんは青木さんに答えるように促しました。
「えー、そういうもんだから?」
「そんな訳あるか」
青木さんのあまりにも適当そうな返答に愛華さんは瞬時にツッコミを入れました。
「三人には教えた筈なんだがな」
愛華さんはため息交じりの声でそう言いました。
「すいません愛さん。こいつはガッツリ寝てたので」
「あの時の青木先輩熟睡でしたね」
鈴木さんと青木さんが苦笑いを浮かべました。
「いや、まぁ、九つの子供には難しかっただろうからな」
「それだと八つの私はどうなんですか?」
愛華さんの言葉に対して風堂さんが困ったように笑いながら返しました。
「風堂は賢いから、大丈夫だろう?さて、余談はこれぐらいにするか」
さっきまでの笑顔とは打って変わって愛華さんは真面目な顔になりました。
「鈴木、人間はどうやって言葉を覚える?」
今度は鈴木さんに質問を投げ掛けました。
「親や周りの人が話しているのを聞いてだんだんに覚えます」
鈴木さんは愛華さんの質問にはっきりと答えました。
「そのとうり。ドールだって、生まれた時はまだ赤子だ周りの言葉で覚える」
「でもさ、ドールって生まれた時にゃすでにある程度の体と知識を持ってんでしょ?」
不思議そうに青木さんが尋ねました。
「あぁ、そうだな」
愛華さんは青木さんの質問を肯定しました。
もしかして、フワフワの地面、キラキラと光る星がある紺色の海、ふしぎな人達。そして何より、オカアサンが関係してるのでしょうか?でも、オカアサンは、あれ?オカアサンってなんでしょう?
「ドールだって生まれた時は赤子だと言ったな、それは本当だ」
愛華さんの言葉でさらにこんがらがってしまいました。
「おい、利久斗、しっかりしろ、、、駄目だ、アホの子になってる」
「アハハ、ソラガアオイナァー」
「青木先輩、、、」
「愛さん、続けて良いですよ」
ついさっきまで驚いていたような仕草をしていた鈴木さんはスンってなって、愛華さんにそう言いました。
「青木の言う“生まれた”は、【この地球での事】だ。私達ドールが本当に生まれる場所は此処では無い」
愛華さんは地面を指差してそう言いました。
「じゃあどこで生まれるんすか?」
青木さんが不思議そうに又、尋ねました。
「おかえり、利久斗」
「ただいま、和真」
「先輩方、何時もそのテンポですよね」
そんな鈴木さん達の会話を愛華さんは素通りして、話を続けます。
「和華、ボンヤリとでも覚えていないか?だしか、和華は、『フワフワの上に赤と青と黄色のお花が咲いてます』って言ってたな」
愛華さんは懐かしむようにそう言いました。
「えぇっと、フワフワの地面と、キラキラ光る星がある紺色の海、後は、不思議な人達がいたのは覚えています」
和華は頑張って思い出しながら話しました。
パラオ様は色々あって疲れたのか、和華の膝の上で寝ていました。
「そうか、、、、、、和華、こんな言葉は覚えていないか?『カランコロンの靴は、』」
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