西川side
『いやー、あの時はほんとにすみません・・・』
黒尾「ホントですー。」 『う・・・』
おおかたの治療が終わりみんなに謝罪して回った後、1日目同様私は第3体育館組と自主練に付き合っていた。
木兎「まあいーじゃねーか!!」
木兎「今はこうして元気になってるし!!」
赤葦「・・・全て木兎さんのせいですよ。」
木兎「そ、それは・・・」
木兎「西川っ!ホンッットにすまなかった!」
『も、もういいですってば!』
(謝れるの5回目・・・)
私が治療を受けている時、どうやら木兎さんは澤村さんたちに連行されてしこたま怒られたらしい。
(もともと私が行動した事だし、)
(木兎さんは何も悪くないから謝らないで欲しいんだけどなー)
『木兎さんは何も悪くないですよ!』
月島「もうあんな無茶しないで。」
月島「ほんとに肝が冷える。」
『えっなに月島くん!心配してくれたのもしかして!!』
月島「・・・そうだけどなにか」
『え〜?ふふ、ありがと!』
月島「はあ・・・心配させたお詫びとして僕の代わりにブロック飛んで。」
黒尾、赤葦「?!」 『えー???』
少し不服そうにこちらを見る月島くんと動揺している様子のお二人。
(・・・あ、そっか!2人には言ってないや!)
(月島くんには前言ったけど!)
『代わりはだーめー!でも教えてあげる!』
月島「え・・・」
『ほら!嫌なカオしないー!』
黒尾「ちょ、お嬢さん?」 『?』
黒尾「お嬢さんってバレー出来たの?俺初耳なんですけど??」
『あー・・・笑 そんな上手くないですけど!』
月島「よく言うよ・・・」 赤葦「?」
苦い顔をしてから、私を指さす。
月島「言っとくとこのヒト、めちゃくちゃバレー上手いんですよ。」
『え?!勝手にハードルあげないで?!』
木兎「まじか西川?!」
『いや・・・だからほんとに・・・!』
黒尾「まーまー、百聞は一見にしかず」
黒尾「お嬢さんがやってるの見せてー?」
『えっ、えー?!?!』
黒尾さんは私の背中を押しコート内に入れた。反対のコートには木兎赤葦ペア。
黒尾「じゃーお願いしまーす」
『ちょ待っ!!』
『木兎さんのスパイクとかブロックしたら私の腕が折れます!!!』
木兎「大丈夫!弱めに打つから!!」
向こう側から元気に言い放つ木兎さん。
(いや、そのガタイは心配しかない・・・!!)
(そもそも手加減とかできるの、?!)
赤葦「・・・黒尾さん、俺もちょっと不安なんですけど」
黒尾「だーいじょぶだって!」
赤葦「はぁ・・・・・・木兎さん。」 木兎「ん?」
赤葦「優しく打たなきゃ殺します。」 「ェ」
(あかアサシン・・・)
『・・・分かりましたよ!弱めですからね!!』
木兎「よし!じゃあ行くぞー!」
私の心に不安を残したまま勢いよく走り出す木兎さん。
(こ、こわっー!・・・ここら辺かな?)
私はコースを予想して飛んだ。
ドンッ
『っし・・・!!』
鈍い音を立て、ボールは反対がのコートに落ちる。ブロック成功だ。
(てか全然弱くない!!痛いよー!!)
(でもやっぱたーのし!)
私が着地すると、月島くん以外の人が数秒ほど固まってから動き始めた。
黒尾「・・・ちょ、え、は???」
赤葦「・・・・・・?!」 月島「はあ・・・」
一番最初に大声を出したのは木兎さん。
木兎「はっ、はああぁぁ?!」
木兎「にっ西川今どんだけ飛んだ?!」
黒尾「ちょっと?!こんな上手いの聞いてないんですけど?!」
赤葦「・・・あそこまで飛んだのも驚きですが、1発でコース読みましたね・・・」
『え〜?ふふ、褒めても何も出ないですよ!』
黒尾「いや、ガチのマジで。」
月島「・・・ね、このヒト上手いでしょ。」
木兎「ちょっ、ちょーー上手ぇー!!!!」
『え・・・?そんなに、??』
赤葦「ゆりさん最高到達地点何cmかな?」
黒尾「今どうやって読んだんです??」
赤葦さんと木兎さんはネットをくぐって3人に囲まれ質問攻めにあう。
(180越えの男3人に囲まれると圧すご・・・)
『あ、えっ、えっと・・・?』
日向「おーーい!西川ー!!」
私が混乱していると、体育館の扉から日向が顔を覗かせた。
黒尾「おっ!おチビちゃん」
日向「チーッス!」
『日向!どうかしたのー??』
日向「なー!今暇だったらレシーブの練習付き合ってー!!」
『ん!いいよー!すぐ行く!』
木兎「えー??西川行っちゃうのー?」
赤葦「はっ・・・!」
赤葦(しょぼくれくるか・・・?面倒臭い!)
『えー・・・・・・』
(京治さん面倒臭いとか考えてそう・・・)
『・・・んー、あの黒尾さん!この後すぐ終わりにします?』
黒尾「あー、そうね。割とすぐ。」
『じゃあ木兎さん練習終わったら私の方の体育館来てください!一緒に行きましょ!』
黒尾(ズリー・・・)
木兎「えっまじ?!いいの?!」
『もちろん!それではまた後でー!』
(これで何とかしょぼくれは回避かな、!)
赤葦(ゆりさん感謝・・・)
木兎さんと約束して、私は第3体育館を後にした。
・・・『日向ー?そろそろ終わり!』
日向「えー?!」
『また明日やろ!今日は寝るぞー!!』
日向「はーーい!」
日向との自主練も終わり、体育館を出る。
(・・・んーと、あら?)
体育館を1周しても、約束をしていた木兎さんが見当たらない。
(すぐ終わるって言ってたけど・・・)
(ま!忘れちゃったかな!仕方なし!!)
私は違和感を感じながらも、1人で校舎へと戻り着替える。
途中で谷地さんと遭遇した。
『ん!谷地さん!ちょうど良かった!』
谷地「はっはい!どうかしましたか?!」
『実は男子ロッカー室から運ぶものがあるんだけど、なかなかの量でね・・・』
谷地「なるほど!お手伝い致します!」
『ありがとうー!』
快くひきうけてくれた谷地さん。2人で雑談しながら男子ロッカー室まで向かい始めた。
赤葦side
(それにしてもさっきは驚いたな・・・)
(ゆりさんスポーツまでできるのか・・・)
ぼーっと考えながらユニフォームを脱ぐ。
ゆりさんと別れた後、想定以上に練習が長引き、今頃着替えている。
赤葦「そういえば木兎さん。」
赤葦「ゆりさんとの約束はいいんですか?」
木兎「ん?さっき体育館チラ見した時にまだやりそうだったから、」
木兎「かっこよくなってから迎えに行く!」
(覚えてはいたのか・・・良かった)
赤葦「・・・かっこよく、なるんですか?」
木兎「まー俺は常にかっこいいけど!なんとなく今日はシャツの方がかっこいい!」
赤葦「気分なんですね。」
黒尾「その自信はどこから来るの」
木兎「ーーー!」 赤葦「ーーーー。」
いつも通りの雑談をしていると、少し遠くから聞き覚えのある声がした。
(ん・・・?なんか話して・・・)
(・・・!これ、ゆりさん・・・!しかもこっちに来ている・・・!)
ここ男子ロッカー室は一番端。つまりここに来るしかありえない。
(まずい・・・!なんとか止め・・・)
ガチャ 赤葦「あ、」
意外にも早くついてしまったゆりさんと谷地さんによって、ドアが開かれる。
今の状況は上裸3人にほぼ上裸1人。
『・・・・・・・・・』
その場は全員が思考停止してまるで時が止まったよう。ゆりさんはだんだんと理解したのか耳が真っ赤になった。
『やっ、谷地さんダメー!!!!』
谷地「ぶへぇっ!!」
すると同時に、見てはいけませんと言わんばかりに谷地さんの目を勢いよく隠した。
そして谷地さんの強く腕を引き逃走。
『しっ、失礼しましたーっ!!!!///』
黒尾「ちょっ、おい待て!」
なぜか上裸のまま追いかける黒尾さん。
『くくく黒尾さんその状態のままこっちに来ないでください!!💢』
黒尾「いっ、一旦落ち着け!」
『え、ちょ、ほんとに来ちゃダメ・・・』
ガッシャーン!!! 「『どわー!!!』」
なにかに激突したような音が響く。
赤葦「・・・何やってんだあの人たち・・・」
月島「特に寝癖の方。」
木兎「あー!!西川のえっちー!!!」
赤葦「木兎さん黙ってください。」
俺たちは急いで服を着てゆりさんをつかまえ、説明を始めた。
赤葦「・・・って事だね。」
赤葦「まあ今回はこちらが全面的に悪いね。申し訳ない。」
『い、いえ・・・私もすみませんでした・・・』
(照れているのだろうか、目を合わせてくれないな・・・)
黒尾「全くお嬢さんちゃんとしてー?」
『いや普通早めに終わるって言ったらもう着替えなんか終わってるはずじゃないですか!』
黒尾「いやまあ・・・スンマセン。」
『あー、恥ずかしさで死にそう・・・』
黒尾「お嬢さんって男の体にあんまり慣れてない感じ?笑」
『なっ、慣れてるわけないじゃないですか!』
木兎「西川どう?!俺ムキムキ?!かっこいい?!!」
『し、知りません・・・!!』
木兎「えー??じゃあ今見て感想言って!」
『ぎゃああぁぁ!!』
シャツのボタンに手をかける木兎さん。俺は急いで止める。
赤葦「通報されますよ木兎さん。」
『ほっ、ほんとすみませんでした・・・!!それではこれで!!失礼!!!』
谷地「どわぁぁ?!!」
恥ずかしさが限界に達したのか無理やり谷地さんを連れて逃げていったゆりさん。
(はぁ・・・びっくりした・・・)
(次からはちゃんと報告しよう・・・木兎さんはかっこいいから惚れられてしまう・・・)
(ゆりさんはどんな人がタイプなんだろうか)
そんなことを考えながら、俺たちは着替えに戻った。
終わり.
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